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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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重いコンダラ……いや、軽い!? 罠発見マシーン!

没タイトルシリーズ

■この世に存在しない道具!? ないものは作るしかない!

 俺は用意した道具を手にとる。

 朝練で作成しておいたものだ。

 もうテストも済んでいる。


 地ならし棒をダンジョン用に改良した品だ。

 トンボと整地ローラーのいいとこ取りした品である!



「よく見てくれ。これはただの地ならし棒じゃない!」


 俺が手にした道具の先端をトウコが指さす。


「あっ! 先っぽにローラーがついてるっス!」

「でも、それにしては大きいですね?」


 見た目としてはトンボに近い。整地ローラーとのあいの子だな。

 トンボの先端にローラーをつけて押す感じだ。


「ただ転がすだけならもっと小さくていいけどな。これは重さも重要なんだ」


 整地ローラー(コンダラ)とは違う。

 あちらのローラーはかなり大きくて重い一つのパーツである。

 それを引っ張って、重さで地面を平らにする。


 ……いや、引っ張っちゃダメなんだっけ?

 自分が平らにされちゃう事故が起きてしまう。押さないとダメだ!


 実際使ったことはないけど、たぶんドラム缶を横に転がしてるみたいなサイズ感だと思う。重さ数百キロはあるらしい。


 だが、これは小型である。

 大きなローラーひとつではなく、小さなローラーが複数ある。


 筋トレするときに使うダンベルやバーベルをイメージすると近い。

 横棒(シャフト)に脱着可能な円盤状の穴の開いた重りを通すアレだ。


 横棒を軸に、車輪のように複数のローラーが並んでいる。

 さらに、ローラーはそれぞれが独立していて、軸に対してぴったりとくっついていない。


 俺は棒を前に構えて、石畳の上を転がす。

 ローラーが床の上を転がる。


 手ごたえは少し重い。

 この重さによって、床を押す――罠を()むことができるのだ。


 ある程度の力をかけないと罠のスイッチは作動しない。

 表面を撫でただけじゃダメである。



 リンは感心したように言う。


「なるほどー。このローラーの重みで床を押すんですね!」


 トウコは先端を指さす。


「でも、なんかガタついてるんじゃないっスか?」

「そりゃわざとだ。遊びを多めにしてあるんだ」


 棒とローラーの間には少しスキマがある。


 トウコが横からローラーと棒のスキマをのぞき込む。


「あ、たしかに穴がちょっと大きいっスね!」

「石畳はでこぼこがあるからな。ぴったりしてると、へこんでる石畳を見逃す場合があるんだ」


 リンが言う。


「あっ、浮いてしまってスイッチを押せないんですね?」

「そうだ。高い部分だけに乗って、低い部分を押せなくなる」


 ローラーが長い一本ではなくて、複数のパーツに分かれているのもポイントである!


 リンが拍手する。


「よく考えてますねー。さすが先生!」

「この形になるまでに、けっこう試行錯誤したんだ」


 ただの熊手では軽すぎてスイッチが押せない。


 重くて大きい整地ローラーだとコストがかかってしまう。

 そもそも、デカくて重いものをダンジョン内で使うのは無理がある。


 ある程度の重さがあり、それでいて持ち運べる軽さ。

 段差にも有効な構造。


 バネでローラーが引っ込む方式も考えたけど、没にした。

 複雑なので作成コストが増えてしまう。



 トウコがローラーの先端を押す。

 弾力があって少しへこむ。


「このローラー、ゴム製なんスか? ちょっとやらかいっスね」

「表面はゴムで覆ってある。そうしないと音がうるさくなるからな」


 リンがローラーを手で回す。


「小さくしたらマッサージローラーみたいですねー」

「顔をコロコロするやつ? いや、コリをほぐすやつか? 言われてみれば似てるな」


 顔の輪郭を補足する美顔ローラーとか小顔ローラーと呼ばれる品かと思ったけど違う。

 俺の作ったものとは似ていない。


 ヨガローラーとかヨガポールとか筋膜(きんまく)ローラーなんて呼ばれる品のほうだ。

 筋膜リリースとかコリほぐしなんかに使う。


 リンが笑顔で頷く。


「コリをほぐすほうです! ヨガの教室に置いてあるんです。あれ、気持ちいいんですよー」

「へえ、あたしやったことないっス! 筋膜処女っス!」


「……ツッコミにくいボケはやめろ!」

「膜だけにっスね!」


「トウコちゃん……ちょっと!」


 さすがにリンまでツッコんだ!

 品性! 品性が足りないよ!?



 トウコが床に寝そべる。


「――トウコ、なにしてんだ?」

「そのゴムのついた先っぽでグリグリしてほしいっス! さあどうぞ!」

「どうぞ、じゃないわ! あんまり気を抜くなよ!」


 敵がいないとはいえ、ダンジョンの中だ。

 おふざけが過ぎるぞ!


「あ、でも帰ったらマッサージ用のローラーって作れませんか?」

「リンまでなに言いだすんだよ……多分作れるけど」


 最初にマッサージローラーを作ろうとしたら無理だろう。

 だけど、すでに類似品を作った実績がある。

 【忍具作成】君もイヤとは言うまい。


 段階を踏めば、多少、ほんのちょっぴり忍具っぽくないものも作れてしまう。

 世の中に存在しない品なら、こうやって作るしかない。


「じゃあ、帰ったらお願いしてもいいですか……?」


 上目遣いで頼まれちゃ断れない!


 でも普通に売ってる品だったら買ったほうが早い。

 幸い、それを買うくらいの金はあるんだし。


「いいけど、美容器具なら買えばいいんじゃないか?」

「その……ゼンジさんが作ったものがいいなって……ダメですか?」


 リンは頬に手をやって、顔を赤らめる。

 断る理由なし!


「よし作ろう!」


 トウコが手をあげる。


「じゃあじゃあ、あたしも! 電動でマッサージするやつを作ってほしいっス!」

「作らん! ていうか電気で動くものは作れん!」


 忍具かどうか以前の問題だわ!

■修正履歴

コンダラ(整地ローラー)は押して使うのが正しいので「引く」描写を「押す」に修正。


■補足

罠探しローラーの挿絵を活動報告に載せました。

ローラーの数は四つにしたほうがよかったかもしれない。

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[一言] コンダラは引っ張ると死にますよw
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