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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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クローゼットダンジョン・第七階層 攻略再開!

 リンとトウコが公儀隠密に入ってから数日。

 クリスマスも終わり、今年もあとわずかだ。


 学生である二人は冬休みに入っている。

 これでダンジョン潜り放題だ!


 数日間、俺たちはダンジョン攻略の準備にいそしんだ。

 そして、今日は俺のダンジョンに潜っている。



 ここまでは危なげなく進むことができた。

 三人だと早いね。


 すでに六階層を突破して、今は七階層の入り口となる階段の安全地帯で休憩中である。

 次の七階層は石畳が敷きつめられた迷宮風の階層だ。


「さて、今日は七階層を突破するぞ! 休憩しながら前回までの情報をおさらいしようか」

「はい!」

「リョーカイっス!」


 二人が元気よく応える。

 この階層に挑戦するのはリンは三回目、トウコは二回目である。

 昨日チャレンジして、一度撤退したのだ。



「前回までの攻略で課題が三つあったんだけど――リン、おぼえてるか?」


 正確には前々回。リンと二人で初めて来たときの課題だな。

 リンが指を折りながら言う。


「罠と、クモさんと、……私、ですね」


 私、と言うときリンは少し気まずそうな顔になる。


「正解。最初に来たときリンはクモを怖がって力を出せなかったんだよな」

「はい……。ご迷惑をおかけしました」


 問題の一つは、クモの容姿だ。

 どうしても生理的に嫌悪感を覚えてしまう。

 デカいクモがリアルに動いているのは――気持ちわるい。

 強さ的には問題はない。クモの糸にさえ気を付ければ倒せる。



 二つめの問題。

 それは、リンが怖がりなことだ。


 モンスターは怖い。当たり前のことだ。

 リンは想像力が豊かだからか、恐怖も人一倍感じるようだ。


 俺やトウコは少し感覚がマヒしているかもな。

 いや、俺だってさすがにクモは気持ち悪いけど。



「いや、怖がるのは当たり前だ。もう慣れたか?」

「い、今もちょっとこわいですよー!? でも……もう大丈夫です」


 リンは少し青ざめた顔に決意をにじませる。

 俺は頷く。


 トウコは平然としている。

 むしろ緊張感がなさすぎるくらいだ。


「あたしのダンジョンのほうが怖いからっスね! ショック療法になったんじゃないっスかね?」


 ボス戦ではショックが強すぎておかしいことになってたけど……。

 本人はあんまり覚えていないらしい。


「良くも悪くも、冷蔵庫での経験が()きたか」

「そうですねー。でもあそこは、ホラー映画みたいでニガテです……」


 冷蔵庫ダンジョンでも同じ問題に直面した。

 だけどリンは乗り越えた。

 あれ以来、モンスターに過剰な恐怖を抱かなくなった。



「じゃ、残りの課題だが……。トウコ、罠についてはどうだ?」


 トウコが勢いよく言う。


「トゲっ! トゲが飛び出してくるやつがヤバいっス!」

「正解だ。床のタイルにスイッチがあって、踏むとトゲが飛び出す」


 スイッチになっている石畳(いしだたみ)を踏むと罠が発動する。

 石畳はでこぼこしていて、どれがスイッチかは見てもわからない。


 罠が発動すると石畳の隙間(すきま)から鋭いトゲが飛び出す。

 トゲの長さはまちまちだ。


 分身に刺さったときは(もも)を貫通した。

 分身に痛覚はないが、見た目にはかなり痛そうである。


「踏んでも、避けれないことはないっス!」

「発動に少しタイムラグがあるからな。走り抜ければ食らわない」


「だからって、無理しちゃだめだからね、トウコちゃん」

「わかってるっス!」


 昨日ここに来たとき、トウコは戦闘中に罠を踏んだ。

 だが【緊急回避】スキルでローリング(ドッヂ)回避した。


 分身で罠をチェックして進んでいたので、移動するときは安全だ。

 だけど、戦闘中は足元に注意を払えない。

 安全な足場から外れる場合があるのだ。


 罠は回避できても、敵の前で(すき)はさらせない。

 そういうわけで出直して、今回は入念に準備してきたのだ。



 リンは少し不安げだ。


「私はよけるのは自信ないですねー」


 俺とトウコは素早く動ける。ステータスのおかげだ。

 リンは敏捷のステータス補正がない。


「というわけで、これを使って攻略するぞ!」


 俺は入り口に用意しておいた攻略用の秘密道具を指さす。


「ゼンジさん、それが言っていた罠対策アイテムなんですね?」

「運動部がグラウンドで使うやつに似てるっスね」


 壁に立てかけてあるのは――忍具である。

 朝のうちに作成して運んでおいた。


「前回は棒で床をつつきながら進んだけど、今回はもっと効率がいいぞ!」

「棒よりも幅が広いからですか?」


 長い棒の先に横棒がついていて、大文字アルファベットのティー()のようになっている。

 土を平らにならすのに使う道具に近い。


 これは熊手の亜種である。

 熊手は竹などを加工して落ち葉などを集める道具だ。

 忍者も使いそうな品である。つまり忍具!

 【忍具作成】で作れる道具である!


 トンボ、レーキ、地ならし棒などと呼ばれる道具……を改良したものだ。


 グラウンド整備に使う別の道具、いわゆるコンダラ。これは正式名称ではない。

 整地ローラー。これにも少し似ている。

 それぞれの特徴をあわせ持っているのだ。


 俺が用意したのは、罠を発見するための道具なのだ!

久しぶりにクロウのダンジョン攻略です!

三章の前半くらいの続き。二百話以上前……!?

参考までに前回は「七階層! 走れ! 戻れ! つきさされ!?」あたり。

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― 新着の感想 ―
[一言] コンダラはローラーのことじゃないかなぁ
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