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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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貧乏性会議! 庶民感覚はぬぐえない……!?

 リンが俺に聞く。


「それで、ゼンジさんは何を買うんですか?」

「ん……俺か。ほとんど買うものはないなぁ……」


 武器や装備は自分で作るし、ホームセンター武器は卒業である。


 クラフト用の素材を買うくらいか。

 木材、金属とか。


 手裏剣にする釘とかケチってるけど、持ってる金を考えたら使い放題だ。

 どうも、発想が貧乏だな。


 ちょっとした道具なら使い捨てにすることもできる。

 といっても、ダンジョンの中に持ち込める道具には限界がある。


 無限の収納なんてないからだ。

 金があるからって、ダンジョンで無双できるわけじゃない。


「ゼンジさんは欲がないんですねー。もっと……」


 リンは顔を赤らめる。

 後半は小声でよく聞き取れなかったな。


「うーん? そういうリンは何に使うんだ?

「あ、私は大きな買い物はしませんね」


「将来のためにっスか?」

「いえ……普通に生活のためですねー。お家賃とか食費とか……なんか恥ずかしいなー」


「あー。リンはバイト再開したばっかりだもんな。欲しいものとかないの?」

「うーん。食材はダンジョンで用意できるので……調理道具ですかね?」


 ダンジョンで手に入る食材は味も品質もいいんだよな。

 肉をスーパーで買ってくる必要はない。


 リンの家庭菜園で採れた野菜は本来の味よりも上である。

 外から持ち込んだ野菜を植えただけだと思うんだが……。

 やっぱり肥料がいいからか。


 魔石やポーションを撒いてたからな。



 調理器具はリンが持ち込んだ品を使っている。


「――じゃ、それ買うか?」

「えっ? 買ってくれるんですか? あ、いえ。今度自分で買いますから!」


 リンが驚き、トウコがはやし立てる。


「店長、ちょっとお金が入ったからっていきなりブルジョワっス!」

「いや、ちがうわ! 成金じゃねーわ!」


「ちょっとおごれば女の子が喜ぶと思ってるっスね!」


 ゲスを見るような眼はやめろ!


「思ってねえよ!」

「私はうれしいけど……そういうのはダメだと思います」


 リンも妙に遠慮しよる!

 そういうのじゃないっつの!


「違うって。共有の金から買うんだよ! そういうときのための金だろ?」

「ああ、そういうことっスね!」

「でも、私のものを買ってもらうのは気が引けます……」


 俺は当然のように言う。


「いや、リンは俺たちのために料理してくれてるだろ? そのための道具を買うのは当たり前じゃないか」

「そうっス! リン姉が作ってあたしらが食べるっス!」


 トウコも当然のように言う。


「それは当然じゃないからな、トウコ?」

「トウコちゃんも手伝ってねー」


「うう……そうっスね」


「そういうわけだから、必要なものを買ってくれ」

「そうですね……わかりました。使わせてもらいます!」


 リンは頷いた。


「調味料とか食材も買ってくれ」

「えっ? そういうのもいいんですかー!? そうしたら、もっとおいしいものが作れそうです!」


 リンは目を輝かせ、ぐっと手を握りこむ。


「じゃ、共用の金はリンのダンジョンに置いておくか?」

「うーん。それは不用心(ぶようじん)じゃないでしょうか?」


 リンは心配そうな顔だ。

 机の上に置いてある現金を見ている。


「ダンジョンの中には誰も入ってこないんじゃないっスか?」

「それはそうだよな? ここに入ってくるなんてよっぽどの状況だぞ? 俺たちのアパートの部屋に入ったうえで、トイレにまで入ってきたってことだ」


 リンは頷く。


「はい。そのうえ、ダンジョン保持者しかダンジョンには入れないんですよね」

「一般人の空き巣にダンジョン内のものを盗まれることはない。だから、銀行より安全かと思ったんだが……」


「じゃあ、リン姉は何を心配してるんスか?」

「なんていうか……どうなるか分からないから……?」


「ん? ……悪性化するって話じゃないよな?」

「ちゃんと間引きしてれば大丈夫っスよね?」


 リンは考え込むような顔で言う。


「うん。そうじゃなくて、ダンジョンが消えちゃうこともあるのかなって」

「ああ、そういうことか」

「どういうことっスか?」


 トウコはじれったそうな顔をしている。


「リンが心配しているのはダンジョンが消えることだ。ほら、大鬼がいた悪性ダンジョンは消えちゃっただろ?」

「ああ、あの衣装ダンスのダンジョンっスね」


「つまり、ダンジョンがなくなる場合もあるんだ。持ち主が死ねばダンジョンも消える」

「も、もちろんゼンジさんが死んだ場合の心配じゃなくて! その……」


「ああ、俺もリンも死なない。そんなとき金の心配なんかしてる場合じゃないしな」

「つまりリン姉は死んじゃわなくてもダンジョンが消えるかもしれないって思ってるんスね?」


「そうよ。だって、ダンジョンって急に現れたでしょ? だったら、急に消える可能性もあるのかなって……」

「うーん。情報がないな。でも、そういう可能性もあるかもしれない」


 金にしろ装備にしろ、ダンジョンごと消えたら大惨事だ。

 潜ってる最中に入り口が消えたりしたらもっと困る。


 ま、これは気にしてもどうにもならない。

 潜ってモンスターの間引きをしなきゃ悪性化しちゃうしな。


「……心配しすぎでしょうか?」

「いや、リンの心配はもっともだ。現金は分散して、俺のところとリンのところに分けておこう」


 全部を一か所に置いておくのは危険だな。

 自分の取り分も一部は銀行、一部はダンジョンにするか。


「あたしのダンジョンにはモノを置いとけないっスからねー」

「外に出たとき排出されちゃうからな」


 持ち込んだ品物を失わないのは便利だけど、こういうときは不便だ。

 俺やリンのダンジョンのように装備を保管したり居住空間を作ることはできない。


「これで金の分配と使い道はいいよな?」

「はい!」

「いいっスよー」


 よし。これで庶民的な問題が解決したぞ。

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