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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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できることと、やりたいことは違う? 手抜きではない!

 トウコの個別の条件は問題ない、ということになった。

 問題の気配しかしないけど……。



 御庭が俺たち三人に向けて話す。


「トウコ君の条件は以上だね。さて、次に報酬の話だけど……」

「お賃金(ちんぎん)の話っスね!」


 目を輝かすな!

 こっちが恥ずかしいわ!


 御庭は無視して続ける。大人の対応だ。

 トウコの対応に慣れてきたようだな。


「君たちへの報酬はチーム単位で支払うようにしたい。金額は月に最低で二百でどうかな?」

「二百……万円っスか!?」

「それは……もらいすぎじゃないでしょうか?」


 トウコは目を輝かせ、リンは少し引いている。


 たしかに月に二百万という金額はデカい。

 だけど、俺一人の場合は月に百万と言われていた。


 一人で百万なのに三人で二百万になるのか……?



 火力で考えるなら、俺より二人のほうが上だ。


 戦力で考えれば、足し算にはならない。

 俺一人の場合より三人のほうがよほど大きい。

 三人なら俺一人の場合に比べて三倍以上の戦いができる。


「御庭。なぜその金額になるんだ?」

「クロウ君一人でも月百万で約束しているのに、という意味かな?」


 俺は首を振る。


「いや、金額が少ないってことじゃなくて、根拠が知りたいんだ」

「それは、一人で動いてもらうのとチームで動いてもらうのでは働き方が違うからだね」


「だが御庭、チームで動いたほうが戦力は高くなるよな?」

「そうです! 一緒ならがんばれます!」


 リンは激しく同意する。


「愛と絆の力……いや、愛と欲望のおもむくままっス!」

「そうね!」


 トウコが余計なことを言ってリンが激しく頷いた。


 同意したの? スルーしたの?

 どっちなんだい!?



 御庭はそれをスルーして続けた。

 俺たちの扱いがわかってきたようだな!


「君たちのチームワークは認めるよ。でも僕はクロウ君の個人での任務遂行(すいこう)能力を高く買っているんだ」

「俺個人の……?」


 俺は首をかしげる。

 俺の評価が今関係あるのか……?


「たとえば、さっきの悪性ダンジョンはクロウ君ひとりでも潰すことができたよね?」


 御庭は鋭い目線で俺を見ている。


 ああ、そういうことか……。


 実のところ俺は、一人でもあのダンジョンをクリアできた。

 火力も戦力もいらない。

 戦闘すらいらなかったかもしれない。


「そうだな……。あのダンジョンなら俺は一人でボスを狩れただろう。まあ、結果論だけどな」



 トウコはきょとんとしている。


「え? 店長ってそんな強いんスか?」

「あ、私わかりました! 隠れて近づいてやっちゃうんですね!」


 リンは興奮したように両手を上から下へぶんぶんと振っている。

 俺は頷く。


「ああ、そうだ。あのダンジョンは木や枯れ葉で隠れ放題だったし、霧まで出ていた」

「ステルスプレイっスね! それなら店長無双っス!」


 トウコが納得顔で頷く。


 【隠密】と【暗殺】だ。

 敵に斥候タイプはいなかったから、見破られないだろう。

 ボスは知能が低く、咆哮のような範囲攻撃がなかった。


 ずっと俺のターンである。



「さらにボスは単純な頭しか持ってなかった。だから暗殺できただろうし、しとめられなくても分身を囮にすれば一方的にやれた」

「うえぇ? じゃあなんで、そうしなかったんスか?」


 トウコは不思議そうな顔をする。

 リンが言う。


「それは……私とトウコちゃんの紹介……面談のかわりだったから……ですよね?」

「まあ、そうだ。別に手を抜いてたわけじゃないぞ? 俺たちは三人一緒に働きたいんだから、三人での動きを見せておきたかったんだ」


 今回、俺は自分が活躍したかったわけじゃない。

 御庭に二人を評価してほしかった。


 どこを見てもらいたいかってこと、見せる面をどこにするかということ。

 こんなのは隠しておくべきことだ。

 バレてしまうとちょっと、格好がつかない。忍べていない。


 御庭はよく見ているなあ……。



「あー、そうだったんスね!」

「さすがゼンジさんです! ぜんぶ考えてたんですね!」


 御庭がにこやかに言う。


「そういうクロウ君を僕は評価している。一人でできることと、三人でできることは違う。できることと()()()()()()も違う。その使い分けができているね」

「そうですよ! ゼンジさんはすごいんですよっ! 御庭さん、わかってくれましたか!」


 リンの興奮が最高潮に達する。

 過剰評価がすぎるだろ!


「リン……なんか恥ずかしいからやめて!?」


 今日は俺を褒める日なのか!?

 あんまり褒めると爆発四散しちまうぞ!?


 さらにトウコまでもが俺のことを尊敬した目で見ている。


「店長……楽をしてたわけじゃないんスね……。見直したっス!」

「サボってねえよ! なら、見直す前はどうだったんだよ!」


「そりゃー、店長は最高だと思ってたっス!」

「あ、そう」


 なんだ、それならそうと、普段から敬えよ!

 照れるだろ?


 トウコがびっと親指を立てる。


「だから火力がしょぼくても問題ないっス!」

「しょぼいとか言うな! 俺は器用貧乏型なんだよ!」


「クロウ君はどんな状況にも対応できる万能型だよね?」

「おいおい、マジで俺はそろそろ死ぬのか? あんまり褒めるのはよせ!」


 過剰なヨイショは危険だぞ!

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― 新着の感想 ―
[一言] 某○ィズ的な忍者でいえば決して弱いわけではないんですけどね… 今のままでも暗殺クリティカルとかありそうですし そのうち死点とか見えてそこを突けば一撃とかいけそう
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