表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

414/1476

検閲と遮断――認識阻害と切り離しに似たもの!?

明けましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いします。

 ハカセいわく、検閲システムを利用してダンジョンや異能者を割り出しているという。


 これは検閲システムの本来の目的ではなくて、副次的な使い方だ。

 公儀隠密では、特異関係の情報を拾い上げて利用しているのだ。



 検閲システムと関連して、言論統制や思考誘導を行うためのシステムあるいは手段があるのだろう。

 それを使うのが政府なのか公安なのか、特異対策課の別部隊なのか……それはわからない。


 あんまり知りたくない気がするぞ。

 知りすぎるのは危険だ。


 権力者(社会や国家)による検閲と言論統制は、世界による隠蔽に似ている。

 知るべきでない情報を認識阻害(ブロック)する。遮断して情報を封じる。

 知りすぎたり、情報を広めるものは消される。切り離し(パージ)だ。


 御庭め……ヤバいものを見せていいって言ってたらしいけど、限度があるんじゃないか!?


 俺はダンジョンだけでお腹いっぱいだ。

 社会の闇とか知りたくなかったぜ。



 ハカセが言う。


「てなわけで、情報のチェックがここの主な仕事なのさー。ヤっバいだろー?」

「検閲システムを使って、異能やダンジョンの情報を集めてるんだな?」


 ハカセは吐き捨てるように言う。


「そう。まさに悪のシステムを使ってね。他人の頭の中を覗いて回るようなものさ。コイツを悪用したらどうなるか、わかるよねー?」


「ああ。相当にヤバい代物だ。でも公儀隠密は……いや、()()()はそれを使うしかない。そうだろ?」


 他人事のようには考えられない。


「そうだよー? 足を使って聞き込み調査なんてやってらんないし、無理だよねー?」


 ダンジョンの情報は隠蔽される。

 認識阻害されるから、人づてに調べることは難しい。

 一般人では知ることができないし、異能者の数は限られる。



 リンがおずおずと言う。


「でも……これって、大丈夫なんでしょうか……?」


 リンは難しい表情を浮かべている。

 不安……あるいは、不信感だ。


 別にハカセに向けて質問したわけじゃない。

 つい口をついて出たという感じ。


 一般的な常識で考えれば、これは悪いことだ。

 通信の自由の侵害。法律で考えたって、いろいろマズい。



 ハカセは皮肉げに言う。


()()()ってなんだろーね? バリバリ違法だし、倫理的じゃないし、不適切で不平等だよー?」


 リンは困惑を深めて、俺に問いかける。


「え、あ……はい。……でも、ダメってことですよね? あの、ゼンジさん、これって大丈夫なんでしょうか?」

「よくないけど、仕方ないと割り切るしかないだろうな。これは必要悪だ。使えるものは使う。忍者ってのはそういうものだし」


 俺はこのシステムの存在を知っても、使用を止める気はない。

 俺たちが使わずとも、既に存在するものだ。どうにかできるものでもない。

 だったら、有用な道具だと割り切って使う。



 忍者は情報を支配する。


 人々の間にまぎれて情報を収集する。

 うわさを集め、また流し、人々の心を操る。

 それの現代版ってわけだ。


 それに、公儀隠密が言論統制や思考誘導まで行ってるわけじゃない。

 その前段階、検閲システムを利用しているだけ。

 ……そのはずだ。

 いや、公儀隠密が使っているとしたら……。



 俺の言葉に、ハカセが満足げに頷く。


「さすが御庭っちのお気に入りだ! 忍者っぽい考え方をするんだねー?」

「これはスパイでも警察でも悪の秘密結社でも同じ考え方だろ? 正論だけじゃ世の中片付かない。だったら汚れた力だって使うしかないんだ」


 正しい意志で、力を使う。

 自分が信じる正義のために動くしかない。


 リンが頷く。

 表情から、すっと迷いが消える。


「ゼンジさんがそう言うなら……そうなんですね!」


 ハカセは少しあきれ顔だ。


「……オトナシっちって、素直過ぎじゃない?」

「そうですかー?」


 さっきまでの迷いや不信感はどこへやら、今は上機嫌だ。


「リンは素直っていうか――」


 ――妄信的(もうしんんてき)かもしれないな。

 俺が間違ってても肯定してくれそう。


 うれしいような、困るような……。

 いや、俺がちゃんとしないといけないな!


「素直……っていうか?」


 言い淀んだ俺に、リンが先を促す。

 期待に満ちた目で俺を見ている……!


「――素敵だね?」

「……わあ、ありがとうございまーす! ゼンジさんもステキですー!」


 リンは幸せそうな笑顔を浮かべる。

 ハカセはそれを見てあきれ顔だ。


「……オトナシっちって、そういう感じなんだねー」

「えっと、そういう感じって……へ、へんでしょうか?」


 リンは気後れした様子で、ハカセの顔色をうかがっている。

 ハカセは皮肉げで――それでも悪意のない笑みを浮かべる。


「ま、素敵だねってことさー」

「ふふ、ありがとうございまーす!」


 少し含みがありそうなハカセの言葉にも、リンは素直にうなずいた。

 素敵で無敵である!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ