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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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ハイテク忍者屋敷!? 高セキュリティエリアに潜入しよう!?

 隠し扉の先は廊下になっていた。


 長い直線の廊下に監視カメラがある。

 カメラは首を振らない固定式で、死角のない配置。


 俺は、隠れ潜む隠密忍者の目線で見る……これは、デキる!

 バレずに潜入するのは難しいだろう。

 回転扉とか落とし穴はないが、これはハイテク忍者屋敷だ!


 スキルを使ったら、どうだ?


 そういえば、【隠密】を使った状態でカメラに映るとどうなるんだ?

 ぼやけて映るのか? 効果がないのか?

 試してみたい……!


 いや……隠蔽の影響を受けるとすればマズいぞ?

 あとで御庭に聞いてみよう!



 廊下の先にも電子錠(キーロック)がある。


 また別の番号を入力して、ウスイさんがドアを開く。

 厳重である。


「――さて、中へどうぞ。ここがオペレーションルームです」


 ドアをくぐる。


「こんにちはー」

「ど、どうも、おじゃましますー」


 俺たちが声を上げても、返答はない。


 誰もいないわけじゃない。

 パソコンに向かって、五人の男女が作業をしている。


 誰もこちらに注意を払わずに黙々と作業を続けている。


「……あれ? もしかして超忙しいとか?」


 死んだ目で仕事をしている感じ……。

 ここは社畜の巣窟なのか!?


 しゃべりかけちゃまずい雰囲気?

 いや、そうじゃない。


 ウスイさんが説明してくれる。


「いえ、彼らはあまり私語を好みませんのでお気になさらず」

「あ、そういうことですか」


 彼らは認識阻害者なんだ。


「……なんだか、会社みたいですねー」

「たしかに、情報系のベンチャー企業みたいだな」


 リンの言う通り、室内は会社のオフィスのようだ。

 打ち合わせスペースにホワイトボード。

 観葉植物なんかも置かれている。


 もっとこう……スパイの作戦指令室みたいなものを想像していたんだけどな。


 ディスプレイだらけの机に座っている男が声を上げる。


「やあ、来たねー。御庭っちから聞いてるよー。ヤバいものでも見せちゃっていいってさ。ちょっと作業のキリが悪いから待っててくれるかなー?」


 こちらを振り向かずに、ディスプレイを見たままだ。

 指先はキーボードの上で踊っている。


 やせ型で背の低い男性だ。

 十代後半だろうか。

 責任者にしては若いが、彼の机だけ他と違うから特別な待遇の人物だろう。


 机の上にはアニメキャラのフィギアが飾られている。

 美少女系とロボット系が混在するカオスな空間だ。


「よし、終わりっと。さて、おまたせー」


 男はゲーミングチェアに座ったまま回転して、こちらに向き直る。

 彼はほかの人たちと違って表情がある。


 ウスイさんが彼に向って俺たちを紹介する。


「ハカセさん。こちら、クロウゼンジさんとオトナシリンさんです。御庭さんに言われて案内しています」

「よろしくクロウっち、オトナシっ……ち?」


 ハカセさんは俺たちを眺める。

 リンに視線を送って……その視線が揺れる。


 うん、そりゃそうなるだろう。

 生理現象のようなもので、回避不能の罠のようなものだ。

 目線はバレるというけど、正面から見ると……バレバレだな。


 十代の若者には抗えまい!

 いや、俺も抗えないけど!


 スレンダー巨乳女子大生なんていうファンタジーの存在を目にすれば当然そうなる。

 魔法使いより希少種なんじゃないの。


 俺は硬直してしまったハカセさんに助け舟を出す。


「……よろしく。ハカセさん」

「あの……ハカセさん、よろしくおねがいしまーす」


 続いてリンがややぎこちなく会釈すると、ハカセは顔を赤くしながら復帰した。


「うわあ、リアル美少女が三次元世界に降臨しているよー。いや、これは現実か!?」

「え、三次元って……?」

「間違いなくここは現実だぞ。俺も最初は二次元の存在かと疑ったもんだ」


 そういう時期が俺にもありました。


「あー。いや、ごめん。俺っち、ずっとここに居るからさ、対面で人と会うのは久しぶりなんだよねー」

「ずっと? ここに住んでるのか?」


 ハカセさんは頭をかいて笑う。


「まあ、ちょっとワケありでねー。ま、ここは居心地いいよー」

「そうか。ハカセさんはここの――」

「あ、ハカセはあだ名みたいなもんだからサンはいらないよー」


 ハカセは手をひらひらと振っている。

 俺は軽く頷いて呼び名を改める。


「そうか、ハカセ。君はここの責任者なのか?」


 落ち着きなくイスを左右に回しながら、彼は言う。


「そうだよー。ここは公儀隠密の情報戦部門で、俺っちはまとめ役だよ。別に役職とかはないけどねー」

「へえ。そういえば俺も役職なんてないな」


 ファミレス店では店長だったけど、今はマネージャーと呼ばれてる。

 だけど、そういう役職があるわけじゃない。


「まあ、呼び名なんてどうでもいいよー。偉そうにしたって、やってることはみんな同じなんだ」

「そうだな。なにをやるのか、できるかが大切だ」


「ここでは情報収集、分析、連絡調整なんかをやってる。あっちの彼らは無口だけど、仕事はしてくれるよー」

「彼らは認識阻害者なのか?」


 俺たちに興味を示さず、作業を続けている人たち。

 ウスイさんは達観した坊さんみたいだけど、もっと機械的と言うか……。


「ご明察。深めに記憶を失っちゃって、自我が薄い感じだねー。だけどそのぶん物覚えがいいから、ここで働いてもらってるんだよー」


 認識阻害者、しかも重度。

 そんな状態でも働ける人たちが、ここで仕事をしているんだ!

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