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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
一章 ステイホームはダンジョンで!

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分身忍法帖 ~自分が二人いたらいいのに? ……それ、できます!~

 【分身の術】が熟練度レベルアップでレベル2になった!


「たしか、レベル2は実体のある分身が出せるんだよな」


 もう一度確認してみよう。

 ステータスウィンドウを操作して、次レベルの情報を見る。



 --------------------

 【分身の術】

 レベル1:実体のない分身を生み出す。

 レベル2:分身は実体を持つ。分身を出現させる位置、強度、動作が変わる。

 レベル3:分身を出現させる位置、強度、動作が強化される。


 レベル3への必要ポイント:4

 --------------------



「お、レベル3はさらに強化される感じか。そして、次への必要ポイントが高いっ!」


 次のレベルに必要なポイントは4!


 やはり、倍々に増えていくんだな。

 にくいぜ、スキルシステム。



 【分身の術】レベル2を検証してみた。


 これまで分身は自分に重ねるようにしか出せなかった。


 レベル2では、離れた場所を指定して出せる!


 距離としては二歩程度。1メートル前後だ。

 短い距離とはいえ、レベル1に比べて格段に使い道がある。


 たとえば先が見えない曲がり角などで、自分は隠れたまま分身だけを先にさらす。


 そうすれば、敵がいれば分身へ反応するだろう。

 その隙に壁を登るなり隠密して潜むなりと戦術の幅が広がる。


「おお、出た。リアルだな。それに……動かせるみたいだ!」


 分身が動かせる!

 これは画期的だ。


 出した位置から移動こそできないが、その場で動かすことができる。


 自分の身体をリモートで動かすような感覚。


 ためしに、手を振らせてみる。


 無表情でこちらに手を振る分身は少し不気味だけど、ちゃんと動く。


 簡単な動きは思いのままだ。


「でもすこし、動きが鈍いな。ステータスが反映されていないのか……?」


 素早く手を動かそうとしても、人間並みの動きまでしかできない。

 まあ、それでも十分だな。


 分身はあくまでも俺とは違う存在だ。

 感覚を共有しているわけではない。


 分身に目はついているが、それが俺に伝わってはこない。


 音もそうだ。

 感覚も伝わらない。


 これは、分身がやられても俺がやられるわけじゃないってことだ。

 ダメージのフィードバックはない。

 安心だな。


「お、消えた。十秒から十五秒くらいか。前は五秒前後だったから、かなり延びたな」


 もういちど、あたらしい分身を出す。


 分身は俺本体から見えている範囲でしか操縦できない。

 見えない状態で動かしても、まともには動かないな。


 当然だけど、分身は考えて勝手に動いたりしない。

 操縦をやめると、棒立ち状態になる。

 俺の知性までコピーしてるわけじゃないみたいだ。


 ある程度の短い動作を自動で繰り返すこともできる。

 呼吸をしたり、あたりの様子をうかがうような簡単な動きだ。



 指定したポーズで、離れた位置に出せる意味は大きい。


 これまでの分身は実体がなかった。

 触れた部分は霧のように薄れて消えてしまっていた。


 しかし、今度は実体がある。

 敵の横や背後に分身――つまり気配が現れれば無視することは難しい。


 しゃべらせることはできないが、衣擦れや足音は起きる。

 敵の近くに出せば、意表を突くこともできるだろう。


「おー、触った感じはリアルだな。匂いは……ある!」


 しかし、自分の匂いをクンクンする絵柄……どうなんだろうな。


 レベル1の分身と違って、触ることができる。

 触れば感覚もあるし体温もある。匂いもあるし、音も立てる。


 これは……触れるとかき消えてしまう立体映像のようだった分身に比べると格段の進歩だ。


 触ったくらいでは消えない。肩を叩いたくらいでも消えない。

 強めに叩くと、霧散する。


「なるほど……ある程度の強度はある。そしてある程度の動作もできる!」


 つまり、使いようによっては攻撃にも使える……はずだ。


 武器を振る動作くらいはできるだろう。


 服や装備は俺と同じだ。

 武器も持っている。だが、非常にもろくて攻撃には使えない。

 カラダ以外のパーツはハリボテのようだ。


 ためしに、ボクシングのミット打ちのように差し出した手にパンチをさせる。

 ちゃんと衝撃のあるパンチが打てている。

 二度ほどパンチを打たせると、分身は消えてしまう。


「ん……。ああ、パンチの反動か」


 パンチが俺の手にあたるとき、同じだけの衝撃が分身にも伝わっている。

 そのために耐久力が消費される……という感じか。


 パンチを数発でも、かなり大きなアドバンテージだ。


 ソロでダンジョンに潜っている俺は、単独行動だ。

 当然、敵の攻撃(ヘイト)はすべて俺に向かう。


 それを、分身が受け持ってくれる。

 実態を持って動くということは、それだけの意味がある。



 実地テストとしてゴブリンやコウモリを狩る。


 コウモリのエコーロケーション(反響定位)に対して無力だった分身レベル1。

 しかし実体のあるレベル2は、超音波を透過せず、その体で反射する。


 つまり、コウモリから分身が認識される。

 これまで通じなかった分身が通じる、ということだ。


 もちろん、超音波を受けただけでは分身は破壊されない。


 さらに、分身は俺の服装もコピーしている。


 つまり……コウモリ対策として用意したマフラーも装備しているのだ。

 装備品はハリボテにすぎない。しかし、マフラーの幻惑効果はかわらない。


 攻撃を受ければマフラーはすぐに破壊される。しかし分身は残る。

 一粒で二度おいしいのだ。


「すげえぜ……分身の術レベル2!」


 これをさらにレベルを上げればどうなるか……。

 期待が高まるぜ!



 前に特化スキルをどうするか悩んだことがある。


 広く浅く取得する方針は変わらない。

 だが、一つの特化スキルは持っておきたい。


 一点突破の頼れるスキル……それは、分身の術に決まりだ!


 分身の術は応用の幅も広い。

 俺のめざしたい忍者の方向性としても合致する。


「よし! ポイントを振ってレベル3にするぞ!」



 --------------------

 【分身の術】

 レベル3:分身を出現させる位置、強度、動作が強化される。

 レベル4:分身を出現させる位置、強度、動作が強化される。


 レベル4への必要ポイント:8

 --------------------



 ポイントを振って、スキルレベル3になる。

 ポイントは9持っていたので、残ポイントは5となる。


 次レベルへは8ポイントだ。

 今は上げられない。


 レベル3はさらに射程距離が伸びて、強度が増す。

 動作もより複雑な動きができるようになる。


 二メートルほど先へ出すことができる。

 歩かせたり走らせることができる。

 つまり、その場から動くことができるようになった。


 その場から動けるということは、デコイ(おとり)としての価値が大きく増す。


 先行させて、自分は後ろをついていくことができる。

 自分の居ない方向へ分身を走らせれば、敵を引き離すこともできる。


 しかも、効果時間が一分近い。


 遠隔操作もできるから、分身に戦わせることもできる。

 強度もレベル2よりも硬く、強い衝撃を与えなければ壊れない。


 手打ちのパンチ程度では壊れない。一般人が本気で殴れば壊れる程度だろうか。


 もうちょっと強度があれば、分身を戦わせて自分は後ろで見ているだけ……なんてこともできるだろうか。夢が広がるな。


 よし。残りのポイントは温存しておこう。


 久しぶりにステータスを確認する。



 --------------------

 名前 : クロウ ゼンジ

 レベル: 6

 筋力 : C

 体力 : B

 敏捷 : B

 知力 : C

 魔力 : C

 生命力: C


 職業 : 忍者

 スキル: 

  【忍術】1

   【壁走りの術】2

   【分身の術】3(1より増加)


  【隠密】1

   【隠術】1

   【消音】1

   【致命の一撃】1


  【暗殺】1

  【投擲】1

  【歩法】2

  【身体強化・敏捷力】1

  【身体強化・筋力】1

  【身体強化・体力】1

  【暗視】1

  【回避】1

  【受け身】1

  【危険察知】1

  【忍具作成】1


  【打撃武器】1

   【打撃武器・威力強化】1

   【フルスイング】1

 (残ポイント:5)

 --------------------



 スキル振りは分身で充分だろう。


 一応、現時点で気になっているスキルは以下だ。

 今は取らないけど。



 【聴覚強化】

 耳がよくなる。

 とはいえ、スキルの説明を読んだだけでは効果は曖昧だ。

 超音波を聞き取れるかはわからない。

 普通に考えたら、無理に思えるので保留。

 スキルレベルを上げれば可聴域(かちょういき)も広がるかもしれない。

 でも今は要らない。


 【擬態(ぎたい)】は隠れるための能力だ。

 他のものに姿を似せる。

 背景や生物など。自分の体表面の模様が変化する。


 カメレオンや一部のタコのように、自分の模様を変えることができるようだ。

 蛾も羽の模様で狙われないように隠れるらしい。


 スニーキングミッションのお供にはよさそう。

 このダンジョンのコウモリはエコーロケーション特化型のようなので、視力では欺けない。

 取得は見送る。



 【鑑定】(かんてい)【次元収納】(アイテムボックス)も選択肢にあがってくれない。

 早く生えろ!(取得可能になれ)


 レベルが足りないか、職業上無理なのか?

 焦らしよる……。



 さて、三階層の攻略に必要なものがそろってきた。


 ひとつはコウモリ対策。

 これはマフラーと分身の術だ。

 分身の術によってマフラーの効果も倍増だ!


 もうひとつはケガ対策。

 無事に帰るために必要だ。対策は治癒薬と薬草だ。

 治癒薬はすでに一つ持っている。


 リアル・ダンジョン攻略記によれば薬草も治癒薬も問題ないらしい。

 あとは効果を試すだけ。


 さっそく試してみよう。

 まずは薬草だ。


「モノリスへ行って、引き換えよう!」


 モンスターを狩って魔石を補充しつつ、モノリスへ向かう。


 回復効果が十分なら、三階層攻略へ打って出るぞ!

読んでいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] おはようございます。 >分身=サンは実体あり つまり『クソデカ魔物に遭遇 → 分身呼び出し、懐にハバネロ玉&混危玉を忍ばせる → クソデカ魔物に「俺様お前丸かじり」させる → 魔物の口内…
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