パーツだけなら違法ではありません!?
本日二話目!
銃を借りることはできなかった。
銃刀法違反だから、しょうがないね。
トウコが思いついた顔で言う。
「じゃあじゃあ! 銃のパーツだったらどうっスか? 違法じゃないとこだけ! 先っぽだけ!」
トウコはさらにごり押した!
御庭は首をひねって少し考える。
「うーん? たしかに違法じゃないパーツならいいか」
「例えばマガジンなら問題ないと思うんスけど……」
これは俺も聞いたことがある。
たしか、銃弾を発射するためのパーツがダメだったはず。
たとえば銃身は違法だ。先っぽはダメじゃねーか。
日本では銃や弓矢の規制が強い。
クロスボウも所持が禁止されると聞いた。
たとえばおもちゃの拳銃でも、実弾が発射できてしまうとダメである。
エアガンでも威力が強いものは違法になる。
普通に売られているエアガンでも、たまにうっかり規制値を超えたりするらしい。
逆に言えば、所持できるパーツもある。
グリップとかスコープはエアガンに取り付けることもできるし、売ってたりする。
「そうだねトウコ君。マガジンなら渡しても問題ないよ」
御庭の言葉にトウコは頷く。
「マガジンならあたしの銃に使えると思うんスよー!」
「ちなみにマガジンと言ってもいろいろあるけど……希望はあるかい?」
弾の口径もそうだし、銃ごとにも違う。
トウコはこのへん、雑に考えてるからな。
「ハンドガン用で!」
やっぱ雑だったな!
ゲームだと弾丸の種類は大雑把なことが多い。
それに、敵を倒してバラの弾を拾ったのに、撃つ時にはマガジンに入っていたりする。
当然、マガジンに弾を一発ずつ込める描写もない。
御庭は少し困った様子で、スーツの脇から銃を抜く。
オートマチック拳銃からマガジンを抜いて、トウコに見せる。
「こういうのでいいかな?」
「そうそう! これっス! もらっていいっスか?」
「弾丸を抜いてからならいいけど……管理はちゃんとしてくれるかな?」
トウコは喜んでマガジンを受け取る。
「やたーっ! 外では使う気ないんで大丈夫っス!」
「御庭、いいのか?」
「うん。クロウ君がしっかり監督してくれるだろうからね!」
ですよね! トウコは俺の部下扱いだもんな!
責任は上司のものである!
「うわあ……。なくすなよ、トウコ!」
「リョーカイっス! さっそく試すっス!」
トウコは銃を手の中に生み出す。
ここはダンジョンの外なのでスキルレベルが低下しているが、問題ない。
いつもはリボルバー拳銃だが、今回はオートマチック拳銃だ。
これまでマガジンが一つしかないことがの問題だった。
リロードに時間がかかっていたのだ。
予備のマガジンがあれば、交換するだけで素早く次の弾が撃てる。
「この銃のマガジンを抜いて弾丸を取り出して……入ったっス!」
トウコはスキルの弾丸を込めた実銃のマガジンを、スキル銃に差し込む。
「あれ? 入るのか!?」
「そりゃそうっス! あたしの銃のカタチは想像通りになるんスよー。マガジンに合うように創ったっス!」
【銃創造】はイメージ通りの銃を創り出す。
いつもはそれっぽい銃を出しているが、現物を見れば実銃の規格に合わせることもできるわけだ。
俺の【忍具作成】も洗脳……じゃない、励ましの言葉を投げかければ頑張ってくれる。
イメージ次第である程度までの融通が利くんだ。
「なるほど。銃にマガジンが合わない心配してたけど、銃のほうを合わせて作ったのか」
「わあ、トウコちゃん。すごいねー!」
リンが拍手を贈る。
トウコは得意げに銃を回転させる。
あんまりトウコを調子に乗せてはいけない!
「あ、ここで撃つなよ! 絶対に撃つなよ!?」
俺は調子に乗ってぶっ放す前に注意しておく。
ここは寺の境内で少し市街地から外れているとはいえ、銃声はマズいだろう。
「フリっスか? 撃てばいいんスね? ――って、ウソウソ! 帰ったらダンジョンで試すっス!」
ふう……さすがに心得ていたな。
銃を使ってふざけるのはナシだ!
御庭が仕切りなおす。
「さあ、話を戻そうか。他に、トウコ君から条件はあるかな?」
「まだあるっス! これは店長とリン姉には秘密なんスけど、そういうのもいいっスか?」
ええ? なんだよ秘密って……。
俺たちには言いにくいことでもあるのか?
しかも、要求が多いぞ。欲張りすぎじゃね!?




