実銃が欲しいけど……立ちはだかる法律の壁!?
祝 投稿一周年!
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御庭はトウコへ向き直る。
「トウコ君。本物の銃をダンジョン領域で使いたいってことかな?」
ダンジョン領域……転送門の外側であれば銃が使える。
「それもあるっス! だけど、まずはいろいろと試してみたいんスよねー」
さっき試したとき、スキルで生み出したトウコの銃では御庭の弾丸は撃てなかった。
では実銃でトウコの弾丸が撃発できるのか?
このへんは、俺も気になっていたところだ。検証したいね。
だが、御庭は首を振る。
「悪いんだけど、実銃をトウコ君に持たせるのは難しい」
「うえぇ? なんでっスか!? さっき弾丸は貸してくれたじゃないっスか!」
この理由は明白だ。
さっきはダンジョンの中だった。今は外にいる。
――日本では銃の所持はできない。猟銃でも許可がいる。
「普通に法律の問題だよ。銃刀法違反になるからね」
「そりゃそうっスけど、公儀隠密の権力でひとつ、なんとかなんないっスか?」
御庭は肩をすくめる。
「僕らは非公式の組織だからね。国や警察そのものじゃない。表向きの権力を持っているわけじゃないんだ」
「そうっスか……ちぇー」
「僕も銃を使うけど、警察や公安の身分を持っているから咎められないんだ。だけどトウコ君のような学生が銃を持っているのがバレたら、言い逃れできないよ」
そもそもトウコだしな。警察の前で銃をゴトっと落としたりしそう。
そこまでアホではないと信じたいが……。
「実銃はやめとけ、トウコ。実銃には隠蔽の力は働かないんだからな!」
「その通りだよクロウ君。ダンジョン領域内なら銃声は漏れないけど、外で使ったらニュースになっちゃうね!」
銃声だけじゃない。
薬莢を拾ったり、弾痕を残さないように立ちまわる必要もあるだろう。
そういえば、トウコの家で大河さんが撃たれたことがあった。
あのときは銃声が聞こえなかったけど……。
「御庭。トウコの家で大河さんを撃ったよな? 銃声がしなかったと思うが、どういうことなんだ?」
「うちの窓をぶち割った奴っスね!」
「あれは仲間の能力のおかげさ。コードネームはザ・サイレンサー! 音を消す異能だよ!」
御庭はしたり顔で発表する。
ナギさんは小さくため息をついた。
「おお、ザ・サイレンサー! かっけえっスっ!」
「だろう? だけど、彼女は人見知りだからトウコちゃんとペアを組ませるのは今は無理かな」
トウコは口をとがらせて残念そうな顔をする。
「ちぇー。最強のコンビになれると思ったのにぃー」
「たぶん、すでに銃使いと組んでると思うけどな」
銃を撃つ人と、音を消す人のペア。
音を消す異能では単独での戦闘力は微妙だろう。
「うん。組んでいるのはコードネーム、ザ・スナイパーだ!」
「キター! スナイパーっ!」
トウコにはコードネームのウケがいいようだ。
御庭もニコニコだわ!
「割れた窓や壁の穴も、御庭たちが後片付けしてくれたよな」
「そうそう。銃を撃つと後片付けが面倒なんだ。外で銃を運用するには、それ相応の準備が必要だよ」
そんなこと、俺たちにはできない。
公儀隠密のリソース不足の問題もあるけど、いつでも俺たちをサポートし続けるのは難しいと思う。
リンが言う。
「トウコちゃんがつかまっちゃったら大変です!」
「うっ! そうっスよね……」
トウコが銃をぶっ放したらすぐにバレてしまうだろう。
俺たちはそれをフォローできない。
ムリしてまで実銃を使わなきゃいけない理由はないはずだ。
自前のスキル銃があるんだからな。
現実的に考えたら、銃を持ち歩くのはダメである!
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