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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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偵察結果と作戦会議!

 元居た場所へ戻るのは簡単だった。

 目印を頼りに進むだけ。


「戻ったぞ!」


 俺は皆に声をかける。

 判断分身はもう時間切れで消えてしまっている。

 自律分身はまだ居て、御庭と話している。


「おかえりなさい。大丈夫でしたか?」

「おかえりっス! お土産は?」


 リンは心配そうな表情を浮かべ、トウコは手を差し出している。


「ケガはない。土産もない!」


「クロウ君。なにか見つけたかな?」

「ああ、ボスらしきデカい鬼がいた。そっちはどうだった?」


「うん。転送門から外に出るのは問題なかったよ。ちゃんと帰れる」

「それなら安心だな。さて、見てきたものを話すぞ――」


 大鬼と会話を試みた部分は省いて、ざっと偵察結果を伝える。


「その大きな鬼がボスと見ていいだろう。――クロウ君たちで倒せそうかい?」

「ま、倒せるだろう。ナギさんが手伝ってくれればもっと簡単だけど」


 ナギさんは御庭のほうをちらりと見る。

 御庭が言う。


「クロウ君たちで無理なく倒せるなら、戦いぶりを見たい。手伝うのはかまわないけどね」

「じゃ、俺たちだけでやるよ」


 御庭は笑顔で頷く。


「さすがクロウ君! じゃあ、見物させてもらうよ!」


 今回の悪性ダンジョン攻略は面談代わりのチュートリアルみたいなもの。

 俺たちの実力を見せるのにちょうどいいのだ。



「さて、これから大鬼と戦う。作戦はあるが、まずは状況を聞かせてくれ」

「はい」

「リョーカイっス」


「まずはトウコ。弾丸は集まったか?」

「拳銃弾が二十発くらいで、ショットシェルが十発くらいっス!」


 最初の戦闘でドロップさせた拳銃弾を拾ったのと、その後の戦闘で増えたんだろう。


「シェルは散弾か?」

「全部、バックショット(鹿撃ち弾)っス!」


 鬼をまとめて倒すなら、散弾を使う。

 スラッグ(単発)弾のほうがよかったんだが、しょうがない。


「マグナムは出せるか?」

「いけるっス!」

「じゃ、出してくれ。少し遠めを狙って撃つことになる」


 トウコがマグナムを出す。


「ふう……オッケーっス!」


 やや疲労感が見える。やはりコストが重いようだな。



「次はリン。魔力はどうだ?」

「節約していたので、充分にありまーす!」


 リンは元気よく答える。

 ちゃんと予定通りに動いてくれているな。


 冷蔵庫の時のような怯えはない。

 慣れたのか? あるいは……。

 ひとまずは安心と言ったところだ。


「じゃあ、このあとは節約しなくていい。デカい鬼が来たら本気でぶっ放してくれ!」

「わかりましたー!」


 魔力が十分あるなら、もう勝ったようなもんだ。

 ……まあ、油断はすまい。


「俺はどうする?」と自律分身。

「二人の背後を守れ。万が一、近寄られた場合は頼む」と俺。


 自律分身はあくまでフォローである。



「よし! じゃあ作戦を伝える。シンプルだ。遠くから撃つ! それだけ!」

「うえぇ? なんか雑っス! そういうの作戦って言うんスか?」


 トウコはうさんくさそうな顔で俺を見ている。

 まあ雑な作戦だけどな。それで充分なんだ。


「もっと言えば――近寄らせずに遠くから撃つ作戦だ。俺が敵を引きつけて、二人が遠くから撃ちまくる。簡単だろ?」

「それって……ゼンジさんが危ないんじゃないでしょうか?」


 リンは心配そうに眉を寄せる。

 でも心配無用!


「もちろん分身を使う。俺も距離を取って戦うぞ」

「それなら安心ですね!」


「ふーん。そんな簡単なんスか? まあ、楽なのは大歓迎っス!」

「楽に勝てる相手だと思うぞ。真面目に戦ったらちょっと面倒だけどな」


 俺はさらに詳細を二人に説明した。

 話を聞いた二人から異論は出なかった。



「あ、御庭。忍具作るけど見る?」

「見たい! さ、やってくれ!」


 俺は偵察のついでに道中の敵を暗殺してきた。

 それに、御庭と自律分身が回収していたから、魔石はそれなりにある。


 素材は持ち込んでいないので、手持ちの品を使おう。


「まず、素材を用意する。とりあえず金属ってことで、ウォレットチェーンとカラビナを使う。それから魔石。これを使ってクラフトするんだ――忍具作成!」

「おお! 光が集まっていくね!」


「さて、クナイができたぞ!」


 普段使ってるものよりはちょっと雑なつくりだ。

 だけど、投げる分にはこんなもんで充分。


「おお……! ちょっと触ってみてもいいかな?」

「いいぞ。ほら」


 俺がクナイを手渡すと、御庭は指でつついたり、振ってみたりする。

 左右の手で持ち変えたり、指先で回したりしている。

 刃物の扱いは巧みだ。


 鬼と戦うときは素手だったけど、刃物使い(ナイファー)なのかな?


「御庭って、武器は刃物を使うのか?」

「僕は刃物に限らず、なんでも使うよ。たとえば銃なんかもね!」


 御庭はスーツの上着の下に吊るしているショルダーホルスターを見せる。

 そこには自動式オートマチック拳銃が収められている。


 トウコがそれを指さして言う。


「銃! 実銃っスね!? ちょっと撃ってもいいっスか?」

「この銃はここでは使えない。引き金を引いても撃発しないんだ」


「え? なんでっスか?」

「あ、それは俺も聞きたい」


 ダンジョンの中では銃が使えないとは聞いていた。

 その理由が気になっている。


「いわゆる文明の利器、機械の類は使えなくなる。爆発物や銃弾も機能しないのさ」

「携帯電話や電池類もダメだよな? なんでなんだ?」


 御庭は肩をすくめる。


「さあ? それは僕らにもわからない。異能が弱まるのと同じように、そういう場所なんじゃないかな」

「そうか……まあ、ダンジョン自体が謎のカタマリみたいなもんだしな」


 異能だってスキルだって謎の力だ。だけど使える。

 俺だって自分のスキルが動く仕組みは説明できない。


 トウコが御庭の銃を指さす。


「じゃ、弾だけもらえないっスか?」

「弾だけ? あ、トウコ君の銃で撃つってことかな? ふむ。それは興味深いね」


 御庭が拳銃のマガジンから弾丸を一発取り出す。

 トウコがリボルバー拳銃に装填して引き金を引く。

 ――不発。


「あー、やっぱダメっスね!」

「トウコ君の弾丸を僕の銃で撃つのも試したいけど……口径が合わないね!」


 御庭はトウコの拳銃――シングルアクションアーミー風の銃を見て言う。

 トウコは首をかしげる。


「ピストルの弾なんて、同じようなもんじゃないっスか?」

「いや……そうもいかないよ。僕のは九ミリで――」


 俺は手を上げて御庭の言葉を遮る。

 トウコはピストルの弾丸を雑に考えているようだ。

 その雑な意識がうまく作用して、口径の合わない弾丸を装填できている。

 このへんは明確にしないほうがいい。


「――まあ、試すのは今度にしよう。さて、そろそろ始めるぞ。鬼狩りだ!」

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