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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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炎の料理人! 料理は愛情で作ります!?

 草原ダンジョンの拠点に戻った。

 料理はすっかり準備されている。


 柔らかい草原の日差しを受けて、ほかほかと湯気を上げている。



「いただきます!」


 俺たちは声をそろえて言うと、料理をいただく。


 メニューはダンジョン産の素材をふんだんに使ったものだ。

 野菜のツナサラダ。色とりどりで目でも味わえる。

 ウサギ肉のから揚げの甘酢炒め。


 まずは野菜を口に運ぶ。

 ドレッシングはニンジンをすり下ろしたものだ。


「おお、うまい!」



 トウコはから揚げから行ったー!

 口いっぱいに頬張る。


「うまっ! いくらでも食べられるっス!」

「おかわりもあるので、ゆっくりたべてねー」


 リンはにこにこと見守っている。


「これ……職業のおかげか? すげえ美味いな!」

「職業は取りましたー。だけどスキルは取っていないので……どうなんでしょう?」


 リンは首をかしげている。

 料理人を取っただけでは味に影響しないか?


「料理の腕だけでこれか……さすがリン!」


 スキルなしでこの味!?

 このうえスキルが乗ったらどうなっちゃうんだよ!


「ふふ。ありがとうございますー!」


 リンは頬を染めて喜んでいる。


「まだ料理関係のスキルは振らないのか?」

「ポイントが足りなくて、まだ振れないんですー」


「あ、簡易モードだから必要なポイントが高いのか……」

「そうなんですー」


 簡易モードでは、詳細モードの基礎スキルに相当するスキルしか取得できない。

 基礎スキルを取ると、その関連スキルが全部使用可能になる。

 特化できない代わりにいろいろできるのだ。


 そして必要なスキルポイントが十ポイントになる。


「あとどれくらい必要なんだ?」

「あと三ポイントですね。次のレベルで振れると思います」


 簡易モードは便利だけど、小刻みに触れないのは歯がゆいね。


「じゃ、頑張ろうな」

「はーい。がんばりまーす!」


 リンは両手を胸の前で握って、頑張るポーズをする。


「ところでトウコちゃん。どうかな?」

「おかわり欲しいっス!」


 すかさずトウコは空になったから揚げの皿を突き出す。


「――はい。どうぞー」

「サンキューっス!」


「いまリンが聞いたのは【捕食】の件だと思うけど、どうなんだ?」

「あ、そっちっスか。とくに変化はないっスねー」


 捕食したとき、力を得る。

 なんともあいまいな効果だ。

 今回の食事での体感はないらしい。


「そうなんだー」


 リンはちょっとがっかりした表情だ。

 ダンジョン産の野菜や角ウサギの肉を食べただけでは効果がない?


「今は消耗してないからか?」

「そうっスねえ。あ、眠気は覚めたっス!」


 たぶんそれは関係ないと思う。


「ま、ケガしたり疲れたときに試してみるか」

「やっぱ、生でモンスターかじらないとダメっスかね?」


「それも試してみるか……? 候補は角ウサギかな?」


 スライムは生食禁止だ!


「うえぇー!? それはまた今度で……」

「生のお肉を使った料理もいいかもしれません。考えてみますねー」


 ウサギ肉の刺身とか?

 火を通したらダメ、なんてことあるんだろうか。



「あ、そうだ。リン。料理人の職業で上がったステータスを教えてくれ」

「はい! 上がったのは――体力でしたー!」


 リンは両手を広げて発表する。


「お。ということはリンは体力、知力、魔力、生命力に補正があるんだな」

「ぜんぶBですねー」


 筋力と敏捷以外は強化されている。

 肉体的な戦闘には不向きだけど、全体に高水準だ。


「バランスいいっスね! ちな、ゾンビは生命力が上がったっス!」


 アンデッドなのに生命力上がるんだな……不思議だ。

 でもタフになる、死ににくくなるという意味では納得できる。


「知力下がったりしてないか? 大丈夫か?」

「疑いの目はやめてほしいんスけど!? ステータス上は問題ないっス!」


 ステータス外では問題あるのかよ!


 いや、影響はありそうだ。

 トウコの口元がゆるくなってヨダレをたらしているのは、ゾンビになってから。

 元からそうだったわけじゃない。


「トウコちゃんは敏捷と生命力がBね?」

「そうっス! なんか、あたしだけ少なくないっスか!?」


 たぶんシューターは銃を扱えることに力を割いている職業なんだろう。

 ゾンビは……。


「ゾンビで体力や筋力が上がってもいいのにな?」

「あー。でもそしたら、敵も強くなっちゃうっスね」


 敵のゾンビと同じ職業だとしたら、そうなる。



「さて、そろそろ御庭に会いに行くか!」

「緊張しますー」


 リンは自信のなさそうな表情だ。

 最近は改善してきたとはいえ、コミュ障だもんね。


 トウコはそわそわした様子で言う。


「あー。もう時間っスか? まだ【銃創造】を試したいんスけど……」

「あれ? マグナム以外にも出せるのか? てか、そろそろ出ないと間に合わないんだが……」


 ご飯に夢中過ぎただろ。早く言え!

 トウコはあせったようにスキルを発動させる。


「ちょっとだけ! ちょっとだけ見てほしいっス! こんな感じで――!」

「おお、水平二連(すいへいにれん)ショットガンか!」


 現れたのは短銃身(ソードオフ)の水平二連ショットガンだ。

 銃口が横に二つ並んでいる。


「引き金も二つあって、どっちを撃つか選べるっス!」

「わあ。かっこいいねー!」


 リンはトウコへ拍手を贈る。


「単純に二発撃てるから火力が二倍だよな」

「そうっス! 両手に持つよりリロードもしやすいっス! ……撃ってみてもいいっスか?」


 トウコはねだるような表情を浮かべる。


「うーん。タクシーで行けば間に合うな。じゃ、ちょっと試し撃ちしてから行くか!」

「やたーっ!」


 俺たちは拠点を離れて歩き出した。

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