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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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草原はシューティングレンジ!? ぶっ放せ! マグナム弾!

 トウコがマグナム銃を構える。


「んじゃ、さっそくぶっ放すっス!」

「ちょっと待て! この部屋でやるなよ!?」


 俺は手を上げて制止する。


「え? なんでっスか?」

「ここは洞窟だぞ? 音が反響してうるさいし、弾が跳ねるかもしれん!」


 洞窟の壁にはオウトツがあって、どう弾が跳ねかえるか予想できない。

 ケガしたり置いてある装備品が壊されては困る。


「んじゃ、リン姉のダンジョンならいいっスね!」

「ああ、そうしよう」



 俺たちはリンのダンジョンに移動した。

 ここは広々した草原だ。

 試し撃ちにはもってこいの射撃場(シューティングレンジ)だ!



 リンは拠点で朝食の準備をしている。


「あれ? もうちょっとかかりますよー」

「ちょっと銃の試し撃ちしてくるっス!」


「すぐ戻るよ」

「いってらっしゃーい」



 拠点を少し離れて、敵を探す。


「んじゃ、新しい銃を出すっス――うぅ!?」


 トウコがマグナム銃を出し――その場にうずくまった。


「おい。どうした!?」

「……ちょっと、魔力が……」


 銃創造のレベル4は消費魔力が重いようだ。

 さっき俺のダンジョンで出したものと合わせて二連続の使用になる。

 トウコはレベルが低い分、魔力の最大値も低い。


「ああ、魔力酔いか。ほら、これでよくなるはずだ!」


 収納から手拭いを取り出して、俺を見上げているトウコの頭に手拭いを乗せる。


「わぷっ!? な、なんスか……?」

「魔力回復ポーションをしみ込ませた手拭いだよ」


 手拭いからしみ出したポーションがトウコに吸収されていく。


「あー。楽になったっス! でもこれ、もったいなくないっスか?」

「はじめて引き換えたアイテムだから、効果のほどを知りたくてな」


 いきなり実戦投入せず、確認しておきたい。

 トウコの様子を見る限り、ちゃんと効果はあるようだ。


 元気そうにニヤけた表情を浮かべている。

 なにニヤけてんだ?


「うへへー。店長のはじめてをもらっちゃったっス!」

「……ヘンな言い方はよせ! で、どれくらい回復した?」


「全回復した感じっス!」

「そりゃよかった。また引き換えておこう」


 ポーション系はハズレなし!



「お、あそこにスライムがいるぞ」


 俺が指さした先へトウコが銃を向ける。

 両手でしっかりと保持している。


「うらっ!」


 銃声がいつもより大きく響く。

 銃が跳ね上がる。


 狙いは正確。

 スライムの中心を撃ち抜いた弾丸は、そのまま突き抜けていく。

 衝撃で大きな穴が開き、スライムは弾けた。


 まるで銃の威力を確認するために使う弾道ゼラチン(バリスティックゲル)みたいだ。

 でも弾道ゼラチンは人体の強度に近いので、スライムの方が柔らかい。


 今回も軽々と貫通してしまったので、一匹じゃ足りない。

 スライムを集めて並べたら威力が測れるかもしれない。


「おお……すげえな!」

「スライムじゃ柔らかすぎてわかんないっスね!」


 普通の弾丸だと小さな穴が開くだけ。

 いまのは拳大くらいの穴が開いていた。

 周囲の粘液ごと核を跡形もなく撃ち抜いた。


「いやいや、どうみても通常の弾丸より威力があったぞ!」


 スライムはもう塵になっている。

 これくらい威力があれば、核を撃たなくても倒せるかもしれないな。



 宝箱からは一発のマグナム弾が出てきた。


「ちゃんと弾丸も手に入るっスね!」

「一発か……。これはショットガンより増やすのが難しいな」


 ショットガンの散弾なら、敵をまとめて吹き飛ばせる。

 マグナム弾の場合は一発で一匹しか倒せない。


 貫通させて二枚抜きを狙うとか?

 ちょっと難しいかもしれないが、試してみるしかない。


 しかしトウコはがっかりした様子はない。

 むしろ大喜びだ。


「増えなくても、貴重なマグナム弾が減らないんスよ! これはいけるっス!」

「あ、そうか。マグナム弾が手に入るだけで儲けものだな!」


 マグナムは強力だけど弾が手に入りにくい。

 ゲームではそういう設定が多い。

 ちゃんと手に入るだけでもありがたいってことだ。


 【弾薬調達】は手に入る量が微妙だと思っていた。

 だけど、シェルやマグナム弾も手に入る。

 そう思えば強スキルなのかもしれん!



 トウコは手首をさすっている。


「痛めたか?」

「大丈夫っス! でも手首にガツンとくるっスね!」


 ケガはしていないようだ。


「両手撃ちでもそうなるのか?」

「マグナムなんで! 反動が強いのはしょうがないっス!」


 反動が強いとはよく言われている。

 でも実際に、それほど強いものなんだろうか?

 これもイメージかもしれない。


 威力も反動も強い。そういうイメージ。



「ちなみにショットガンのスラッグ弾と比べるとどうだ?」

「試してみるっスかねー!」


 俺たちはスライムを探す。

 草むらに潜んでいたスライムを発見した。


「あ、いたっスよ! うらっ!」

「おおー!」


 スラッグ弾がスライムの中心を撃ち抜く。

 大きくえぐれたスライムが地面に飛び散って染みとなる。


「おお、強いな!」

「あれ? 威力は同じくらいっスかね?」


 結局一撃なので、大差ないと言える。

 今回のほうがスライムはより大きくえぐれている。

 弾丸が大きいからかな。


「どっちかといえばスラッグ弾か?」

「そうスか? マグナムのほうが強いと思ってたんスけど……」


 マグナムが強いという思い込みは守りたい。

 だが、ショットガンが相対的に弱くなっては困る。

 調整が難しいところだ。


 ここで俺はあえて、ショットガンの威力を()す。


「一発の威力ならショットガン。でもマグナムは六連発だから……」

「六発合わせたらマグナムのほうが強いっスね!」



 そういえば、ショットガンの反動はどうだったんだろう。

 これまで、あんまり苦労していなかったよな。


「ショットガンの反動はどうなんだ? マグナムより軽いか?」

「シャッガンのほうが制御しやすいっス」


「へえ、そういうもんか」

「一発撃って終わりなんで、あんまり気にならないっスね」


 なるほど。単発だからか。


 マグナムの場合は六連発。連続して撃てる。

 次の弾を撃つために反動を制御しなきゃならない。


「マグナムは連射できそうか?」

「うーん。片手だとキビシイかもしれないっスねー」


 トウコはマグナムを片手で構えて引き金を引く。

 大きな銃声。

 反動で腕が大きく跳ね上がる(マズルジャンプする)


 腕をもとのポジションに戻して、再度射撃。

 跳ねる。戻す。射撃。


「やっぱり跳ね上がっちゃうっス! 手も痛いっス!」


 トウコは銃を持ち変えて、手をぶらぶらさせる。

 手への負担もあるんだな。


「連射するには練習するか、両手で撃たないとダメか?」

「それか、スキルっス。【安定化】のレベルあげよっかなー?」


 【銃器】の【安定化】スキル。

 射撃時のブレを抑える効果があるらしい。

 反動を制御して姿勢を安定させる。


「それがいいかもな。反動でケガしてたら戦えないし」

「そうっスねえー。あと三ポイントしかないけど――あ、取れるっス!」


 スキルレベル二から三に上げるには四ポイント必要だ。


「これも熟練度で稼げてたか? いいぞ!」

「いやー。死なないっていいっスね! 熟練度システム最高っス!」


 トウコがしみじみと頷く。


「うん。そうだな……」


 死なないで攻略を進めれば、レベルも熟練度も上がる。

 当たり前のこと。

 トウコはその当たり前をやっと味わえているんだな。


「ポチったっス! じゃ、これで試してみるっス!」


 トウコは片手でマグナムを連続で撃つ。

 さっきより反動が抑えられている。


「慣れてきたし、イイ感じっス!」

「よかったな。このスキルでショットガンの反動も軽減されるんだろ?」


「そうっス!」


 マグナム専用のスキルではなく、銃全般に作用する。

 【安定化】は全体を底上げしてくれそうだ。


 火力が出るスキルではないけど、間接的には火力を上げる。

 こういうのって重要だよな。


 ザコ敵には通常の拳銃。

 強敵にはマグナム。

 まとまった敵や素早い相手にはショットガン。


 どれか一つではなく、使い分けが大切だな!

 SAAは普通、45ロングコルト弾を使う。

 ということは、ほとんど357マグナム弾と近い威力を誇る。


 トウコはSAAを「普通の弾丸」を撃つ銃と考えているので「普通の弾丸」を生成している。

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― 新着の感想 ―
[一言] 火薬の量を半分に減らしたマグナム弾でスライム倒して 空薬莢に残りの火薬と手作り弾頭(忍具のツブテ?)をセットする事で手作業で弾数を倍にするみたいな裏技出来そう ワニ対策に弾薬の備蓄は必要だも…
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