俺の人生は残り一割かもしれない……!?
本日二回目の投稿です。
また、13時から30分くらい古いバージョンで公開していたものを削除して再投稿しました。
失礼しました。
「明日にでも職業やスキルは試すとして……今日はお開きかな?」
トウコがリンの手を引っ張って立たせる。
「リン姉! お風呂どうっスか? ウチのは広いっスよ!」
「え? でもお着替えも持ってきてないし……」
風呂に入ったら新しい服に着替えたいって意味かな?
……下着とか?
リンは忘れてるけど、濡らしたパンツだしな。
ダンジョンから出たので今は汚れてないけど。
おっと。つい思い出しちゃったわ。忘れてあげよう……。
トウコはぐいぐいと風呂場へと引っ張っていく。
「あたしの服を貸すっス! それならいいっスよね?」
トウコは手を離さない。
リンは少し困った顔をして……トウコに笑いかける。
「そうね……じゃあ、入らせてもらおうかなー」
リンが俺のほうを見ている。
期待のまなざし……。
「店長もどうっスっか? 三人で――」
「――いや、やめとく」
トウコの親が帰ってきたらどうすんの!?
人の家で風呂ハーレムしてるやべー奴だよ。
いや、自宅でもヤバイけど!
「美少女二人とお風呂に入れるチャンスを逃すなんて……人生の九割は損してるっスよ、店長!」
「一割しか残ってないのかよ!」
「じゃ、気が向いたらどーぞっス!」
「向かねえわ! はよ行け!」
俺は追い払うように手を振る。
トウコは口をとがらせる。
リンは期待するように、俺をじっと見ている。
「ちぇー。カタブツっス! チキンっス!」
「真面目なのがゼンジさんのいいところだから……」
リンは残念そうにチラチラと振り返りながら風呂場に向かった。
ふう。やっと行ったか……。
あんまり誘われると理性がヤバいわ!
【狂化】しちまうぞ!
忍べ俺!
なんか疲れたな。
冷蔵庫に入ると、精神的に疲れる。
この空いた時間に一人でチャレンジするのはどうだ?
時間の流れが違うから、その気になればもう一度潜ることもできる。
いや、ないな。
ふと頭によぎった考えを、首を振って打ち消す。
一人でクリアできるか挑戦してみたい気持ちもある。
でも集中力が持たない。死んで経験値を失うのは無駄だ。
スキルを振るためだけに潜ってもしょうがないし。
やるなら、確実に勝つつもりじゃないとな。
今日はおとなしくしておくか。
二人が戻ってくる。
上気した肌はつやつやと輝いている。
「いいお風呂でしたー」
「店長も入ってきたらどうっスか? 女の子のエキスが染み出ていい感じっスよ?」
ナニソレ……。
「入りづらいわ! って、なにその服……?」
トウコは短パンにパーカー姿だ。
リンは――
「あたしが貸したごく普通の部屋着っスけど、なにか?」
トウコが片目を閉じて合図してくる。
ははあ……。
たしかにごく普通のけしからん服だ!
リンが着せられているのは――
――ぴちぴちのタンクトップだ。
「……ちょっときついですー」
「そりゃ、あたしの服っスからね! 小さいのはしょうがないっス!」
胸の部分がきつそうだ。
そして布地を胸に取られて、へそが見え隠れしている。
普段のリンは肌を見せない。
これは露出度が高い!
下はピタッとしたスパッツ。
くびれた腰が強調されて最高に……ごく普通だ!
「へ、へんですよね?」
リンは服の裾をひっぱって、へそを隠そうとする。
生地が引っ張られて胸が押しつぶされる。
「……いや、似合ってるよ!」
「そうっス! バッチリっス! うへへ」
トウコが手の甲でよだれを拭う。
「そ、そうですか? えへへ」
リンは受け入れて照れる。
チョロかわいい!
「さて、店長もお風呂へどーぞ! 着替えは用意しておくっス」
「じゃ、入らせてもらうかな。……俺にヘンな服を着せようとするなよ?」
「……まさかぁー。そんなことしないっスよぉ」
トウコは目をそらした。
風呂を上がる。
脱衣場には男物のパジャマが置かれている。
普通の服だった。
……父親のかな?
着てもいいのか、これ。
俺は自分の服に袖を通してダイニングキッチンへ戻る。
「あれ? パジャマに着替えなかったんスか? もう寝る時間っスよ!」
「……お前、泊らせようとしてるよな?」
俺やリンの家と違って、トウコの家に泊まるのは……ありかな?
……いや、どうかな?
「え? なにかマズイっスか? どうせ親は帰ってこないっス!」
とはいえ、さすがに男が泊まるのはナシだろう。
人の家だし!
「……俺は帰るよ。自分のダンジョンでやりたいことがある」
「ええー!? 店長の家じゃないからいいっスよね? 入り浸ってないっスよね?」
トウコが俺の手をつかんで引き止める。
悲しそうな顔をするなよ……。
「いや、そういう問題じゃなくてだな……」
「それに、明日は土曜日っスよ! 解禁日っスよ!」
解禁日?
ああ、学校が休みの日は泊ってもいいって話だった。
といっても、アパートにみんなで移動するのも微妙……。
俺が困っている様子をみて、リンが切り出す。
「トウコちゃん。私は泊っていくからねー! おしゃべりしよう!」
ナイス!
トウコを一人にするのもかわいそうだしな。
リンがいれば寂しくないだろう。
トウコは飛び上がって喜ぶ。
「いえぇーい! じゃ、店長また明日ー!」
「……おう」
なんか、釈然としない!
アレ……? 俺がちょっと寂しいんだが……。
ちびロンティー→タンクトップとか、微修正




