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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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職業、ゾンビ。取るべき態度は当然……?

没タイトルシリーズ

■ゾンビカミングアウト!?

 ついにトウコは秘密を吐露した(ゲロった)

 第二職業は()()()だった!


 ……意味が分からん!


「ちょっと待て。ゾンビ!? 職業がゾンビか?」


 ゾンビって仕事じゃないだろ!?

 種族じゃないか?

 いや……状態なのか!?


 落ち着け。ちょっと混乱しているぞ!



 トウコの表情は暗い。


「何度も確認したから間違いないっス。なんどもなんども……」


 トウコが断言する。

 その声は震えている。


「確認って……ステータスをだな?」

「そうっス。職業のとこにしっかり書いてあるっス……ゾンビっス……」


「だ、大丈夫よトウコちゃん。だって強いし死なないし……ね?」


 リンも慌てた様子だ。

 ゾンビもそう悪くない……というフォロー。


 しかし、トウコは立ち上がって大声を上げる。


「大丈夫じゃないっス! あたしは人間じゃないっ!? バケモノなんだ!」

「落ち着け! 急にどうした!」


 御庭は変異者を始末するのが当然と考えていた。

 犬塚さんは変異者を(かたき)として追っていた。


 トウコは変異しかけていた。

 俺もリンもとっくに知っている。


 なんでいまさら隠すんだ?


「急じゃないっス! ずっと……あの日からずっとなんスよ!」

「冷蔵庫に閉じ込められた日のことか?」


「そうっス! 店長を食べた日から……あたしはバケモノになったんスよ!」


 あの日……トウコのダンジョンが悪性に近づいた日。


 やっとの思いで料理人を倒して、俺は外に出た。

 だけどトウコはダンジョンから出られなかったんだ。


 そしてトウコは変わり果てた姿になっていた。

 レベルが下がりすぎたためだ。

 そして……俺の()()()を食うことで人間に戻った。


 でも、犬塚さんはトウコの匂いを嗅いで――


「あの人は変異って言ってたっス! もうダメだって! 半端な状態は続かないって!」


 たしかに犬塚さんはそう言った。

 だけど、ほとんど人間だとも言った。


 変異が進まなければいい。


「落ち着け! トウコは変わってないだろ? 人間だ!」

「でもっ! ステータスにしっかりゾンビって書いてあるっスよ! 半端なゾンビとか、ほとんど人間なんて書いてないんス!」


 ステータスウィンドウ上で文字として明確に突きつけられたから不安になったのか?

 それとも俺が職業を追及したから?


 リンが言い聞かせるように言う。


「ただのダンジョンの職業でしょ? ……トウコちゃんはトウコちゃんよね?」

「リン姉はモデルで料理人で魔法使いっス! 実際そうっス!」


「私は現実には魔法使いじゃないよ。ゼンジさんも忍者じゃなくて……ゼンジさんでしょ?」

「俺は俺だ。トウコはトウコだ。別に職業でどうにかなるわけじゃない! ゾンビの力が使える職業を手に入れただけだ」


「そうよ。強くて、それに死なないなんてすごいじゃない!」

「……だけど……リン姉はゾンビのこと嫌いっスよね! あたしのことも怖いっスよね!?」


 トウコは涙を流して悲痛な声をあげる。


 ああ……それが引き金か!

 冷蔵庫ダンジョンでのリンの様子だ。


 リンはゾンビを露骨に怖がっていた。

 普通の感覚なら、ゾンビは怖いものだ。


「たしかにゾンビは怖いけど……トウコちゃんはちがうよ!」

「そんなわけない……我慢してるだけっス……」


 トウコはリンにびくびくした目を向ける。


「もちろん俺も怖くないぞ。かじられた俺が言うんだ。間違いない」

「はは……そうっスね」


 トウコは引きつった笑みを浮かべる。


「それに……これでダークヒーローになれるぞ!」

「ははっ……ゾンビの力を手に入れたぞーってやつっスか!」


 悪魔じゃないけど。


「ああ。人間をやめるぞー! ってやつだ。最高にハイだろ?」


 吸血鬼じゃないけど。


「うん……そうかもっス……でも……」


 トウコは言いよどむ。

 リンが手を取って促す。


「でも?」

「……あたし、こんなでもいいっスかね? 一緒に居ても、いいんスかね?」


「いいに決まってるだろ! お前の居場所はここなんだから!」

「そうよ。なにがあっても三人一緒よ!」


 トウコが笑う。涙が流れる。


「そうっスよね……なんかちょっと、怖くて……。でも心配することなかったんスねえ……」

「ああ、そうだぞ。確認なんかしなくても、ちゃんとここが居場所なんだ。恥ずかしいセリフを何回も言わすなよ。欲しがりめ!」


 いまさら、当たり前のことだ。


「へへ……そうっスね!」


 トウコは顔をくしゃくしゃにして笑う。

 涙と鼻水とヨダレで大変なことになっている。


 感情で涙を流すのは人間だけ。

 なら、トウコは間違いなく人間だ!


「話せてよかったねトウコちゃん」

「……なんか、スッキリしたっス。ずっとモヤモヤしてたんで……」


「よくトウコが今日まで黙ってられたもんだな。……今度はすぐ相談しろよ?」

「リョーカイっス!」


 さっぱりと、トウコが笑う。


 やっと、調子が戻ってきた!

 軽い調子で笑っていてこそ、トウコらしい!

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― 新着の感想 ―
[一言] とりあえずタコさんウインナーに職業ゾンビって何?って聞けばいいんじゃね?
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