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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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突撃! トウコの晩ごはん……全部乗せ!?

 冷蔵庫ダンジョンのボス討伐を終えて休憩タイムだ。

 トウコのダイニングキッチンでくつろいでいる。


 リンが席を外したタイミングでトウコにリンの思い込みの件を伝えた。

 言うべきかは迷ったんだけどね。


 トウコは黙っていられない。

 口が軽いとかおしゃべりとは違う種類のものだ。

 考える前に行動する。

 思ったことをすぐ口に出すし、態度にも出る。


 嘘をついてもすぐにバレる。

 反応はわかりやすい。


 ある意味では素直なんだよな。

 欲望にも素直すぎるけど……。

 長所と短所は表裏一体ってことだ。ままならん。


 伝えておかないと、知らずに余計なことを言ってしまう。

 詳しく話さず、思い込みを壊さないようにと、うまく言い含めておいた。


 スキルや魔法は思い込み(イメージ)が重要だ。

 トウコはサブカルチャーのお約束をわかっている。

 おかげですんなり納得してくれた。



「あ、晩ごはんはあたしが用意するっス」

「え? めずらしいな?」


 だいたいリンが料理している。

 俺もたまに作るが、簡単な品になる。


 トウコが料理したことあったっけ?

 ……ないな!


 食う係かよ!


「ピザ好きっスよね? 大好物っスよね?」

「まあ、好きだよ」

「私も好きですよー」


 トウコが頭をかいてニヤける。


「でへへー。好き、いただきましたー」

「……」


 まあ、いいだろ。訂正しないであげよう。

 だいたい合ってる。前も言ったし。

 せっかく喜んでるならケチをつけてもしかたない。


「じゃあ、具はなにがいいっスか?」

「俺は肉がいいな!」

「私はなんでも大丈夫ですよー」


 トウコは携帯を取り出す。

 手慣れた手つきで操作する。


「じゃ、注文しよっと! トッピング全部乗せっス!」

「……作るんじゃなくて頼むのかよ! デリバリーかよ!」


 俺は明るくツッコんでおく。


 トウコのいつもの食生活、か。

 外食や宅配ばかり。

 ……当然ながら今日も、親は家にいない。


「そりゃそうっス。料理できないんで!」

「そっか。じゃあ今度一緒にお料理しようね!」


 リンが笑顔で言う。

 天使かよ! 癒されるよ!


 トウコが笑顔で言う。


「やたーっ! 全部入れ料理作るっス!」

「ヤメロ! メシマズフラグは立てるな!」


 そういうのは結構です。

 どう料理したらマズい料理なんて作れるんだよ。

 ファンタジーかよ!


「ちゃんと美味しい料理つくりましょうねー」

「頼むぞ、リン」


 後ろから見守るんだ! 食生活を守れ!

 いや、俺が監視するか……?


 トウコは店でもホール専門だからな。

 キッチンもレジもやらせていない。


 ホールは常に忙しいから、小回りのきくトウコはそっちに入れている。

 店の人手不足は深刻なんだよな……。



 リンが会話の切れ目を待っていたように切り出す。


「そういえばゼンジさん。新しい職業決めたいんですけど……。今、いいですか?」

「お、決まったか?」


 レベル二十になったから、第三職業が取れる。

 どれにするか迷っていたんだよな。


 料理人、中級魔法使い、中級モデルから選ぼうとしていたはずだ。


「料理人はどうでしょうか?」

「ふむ……」


 料理人か。料理を作るの好きだしな。

 これだけ中級職業じゃないのは気になる。


 中級忍者は有用だった。

 並んでいる術は強力だ。

 単に威力があるだけじゃなく、できることが増える。


 といって初級の忍者も、便利なスキルは多いけどな。

 料理人は、どんなスキルが使えるんだろう?



 考えをまとめている俺をよそに、トウコが言う。


「料理人も強そうっスね! 料理人ゾ……ブリンみたいで!」


 ゾブリン……ゴブリンゾンビかな?

 でも、ちゃんと禁止ワードを避けた! えらい!


「モデルも防御力で戦闘に向いていたし、料理人も戦えそうだよな」


 俺やトウコが大ケガする攻撃でもリンは耐える。

 料理人ゾンビも強かったし、料理人という職業は悪くない選択かもな。


 ちゃんとリンも考えてるんだろう。


「えっと……美味しい料理が作れたらいいなーって」


 考えてなかったー!?


「え? そんなんでいいんスか?」

「だって……ダンジョンで食べられるかわからない食材があったでしょ?」


 あったな。

 食べていいかわからないもの。毒があるもの。

 味がおいしくないもの。


「砂スライムゼリーとかアカシアとか?」

「そうです。ちゃんと料理したら食べられるんじゃないかって……ダメでしょうか?」


 そっちの方向で、ちゃんと考えてたー!


 モンスター食材やファンタジー材料の扱いか。

 食べられないものを食べられるように料理する。

 食材から特殊な効果を引き出す……とか?


「いいと思う。やりたいものを選ぶべきだ。じゃないと力を発揮できないだろ?」

「でもどうせ戦わなきゃいけないっス! ジョブ(職業)選択やステ振りは慎重にやるべきっス!」


 ゲーマーの感覚だとそうだな。

 俺もそう思う。


 職業もスキルも後戻りのできない要素だ。


 ステータスの補正は職業で決まる。

 キャンセルはできないし、途中で変更できない。


「まあ、トウコの言うこともわかる。だけど最適なジョブ(職業)なんてわからないだろ?」

「そうっスね。シューターはステが微妙っス……」


 シューターは敏捷しか上がらない。

 忍者は敏捷に加えて体力も上がる。

 モデルは生命力。魔法使いは魔力と知力。


 スキルは職業やステータスの影響を受けている。

 でも、どんなスキルが選べるかは選んでみないとわからない。


「だろ? たぶんシューターは銃を使えることが強みなんだ。ステだけじゃないってことだ」

「シューターも捨てたもんじゃないっスね!」


 トウコがどや顔でボケる。

 思ったこと全部言いよる!


「……()()だけに()()たもんじゃないって?」


 リンがふき出した。


「ふふっ……()()()()()もんじゃないって……あはは」


 ()()()()()にかかってる冗談なの!?

 案外、高度なボケだ!

 俺のツッコミ力不足だったかもしれん。


 トウコはウケが良かったことにご満悦だ。


 いや、面白くはないよ!?

 リンのツボがおかしいんだ!


「……だから料理人にも強みがあるはずだ。リンには天職だろうしね」

「天職……ゼンジさんがそう言うなら間違いありません! 決めちゃいますねー」


 ダンジョンの外ではステータスウィンドウが出せない。

 といって冷蔵庫ダンジョンには入りたくない。


「じゃ、アパートへ帰ってからだな」

「はーい」


 というわけで、リンの第三職業は料理人に決まった!


 これで、料理上手の現役モデル引きこもりストーカー魔法使い女子大生になるわけだ。

 何者だよ!?

没タイトルシリーズ

■第三職業は料理人で!

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