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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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帰還、その前に! 回収しておくこと!

<経験が一定値に達しました。レベルが上がりました!>


 お、レベルが上がったぞ!

 苦労した甲斐があった!


 やっぱり、直接戦うと経験値の貯まりがいいのかも。

 痛い目を見るほど、経験が積めたりしてね。


 スキルの割り振りはあとで考えよう!



 魔石を拾い上げる。

 料理人ゾンビは確実に倒した。灰になった。


 ゾンビは確実に息の根を止めておかないと安心できないからね!

 魔石も出たことだし、もう復活する心配はない。

 安全確認、ヨシ!



 帰還用の転送門が現れた。

 これで帰れる!

 でも、まだ帰らない。


 転送門は一定時間で閉じてしまうが、少し時間がある。


 この時間に確認したいことが三つある。


 一つ目、トウコのボス撃破報酬の確認。

 二つ目、【忍具収納】の中身の検証。

 三つ目、自律分身を消して、経験を受け取る。




 リンと自律分身は何か話している。

 リンの様子はいつも通りだ。

 さっきまで怖がっていたのに、いまは平然としている。


 自律分身は腕を痛めているので辛そうだ。

 でもまずはトウコの治療だ。



 トウコを手招きする。


「え? なんスか?」

「いいからこっち来い」


 外に出れば治るはずだが、いま治しておこう。

 耳が聞こえないままでは不便だ。


 収納からポーション手拭いを取り出す。


 使い終えた手拭いはここに置いていくつもりだ。

 【忍具収納】の中身の検証をするためである。


 このダンジョンでは身につけていた装備品は外に出ると元の状態に戻る。

 服が切れても、上着を脱ぎ捨てても、外に出ると復活する。


 ――では、収納の中身はどうなる?

 中身を置いていった場合、収納の中に復活するのか?


 予想では、復活しない。

 収納のアイテムは対象外だと思う。

 そうでなければ、収納で持ち込んだアイテムは使い放題だ。


 アイテム増殖バグである。

 ゲームじゃあるまいし、そんなことできないはずだ。



 ぶらぶらとやってきたトウコの耳に手拭いをあてがう。

 しみ出した回復薬が耳を癒す。


 冷たかったのか、トウコが飛び上がって驚く。


「ひやっ!? ちょ、入れる前に言ってほしいっス!」

「いや、聞こえないから言っても伝わらないだろ」


 トウコが納得したように頷く。


「あ、そうっスね! その通りっス!」

「ほれ、次は反対の耳だ――」


 トウコはにやけた顔で耳を向ける。


「この穴にどうするっスか? その濡れたやつを入れちゃうっスかぁ?」

「いちいちめんどくさいわ! ……ポーションを耳に使う!」


 早くしないとポーションが揮発するだろ!


「前は喉に突っ込まれ……今回は耳に……! 店長はヘンタイっスね!」

「ヘンタイじゃねーわ! 変な反応はヤメロ!」


 トウコがヘンな場所ばっかりケガしてるだけだ!

 俺は逆の耳を治療し、ついでに顔のススやホコリをぬぐってやる。


「へへ……ちょっとくすぐったいっス」


 トウコは嬉しそうにゆるく笑って身を任せている。



 使い終えた手拭いをその場に置き、トンファーを収納する。

 槍はもう収納してある。



 自律分身が俺を見る。

 両腕は折れたままで痛々しい。


「なあ(本体)! そろそろ解除してくれるか? 腕が痛むんだ」

「おっと。そうだったな。すまん、(自律分身)!」


 わざとじゃないが、ちょっと放置してしまった。

 その痛みの記憶は俺に帰ってくるわけだが!


 自律分身は小声で言う。


「……今回の記憶はちょっとショッキングだから気をつけろよ」

「ショッキング? あ、咆哮か?」


 恐怖をもう一度味わうことになる?


 自律分身は首を振ると、なんとも言えない気まずい表情を浮かべる。


「ま、見ればわかるよ」

「ああ、わかった。おつかれ俺!」


 俺は頷いて術を解く。

 自律分身が消える。



 記憶のフィードバックを受け取る前に、いったん保留する。


「トウコ。確認することがある」

「なんスか?」


 このために耳を先に直したんだ。


「ボスの初回討伐ボーナスはどうだった? もらえたか?」

「あー。えーと……ないっスね?」


 トウコはあいまいな表情を浮かべる。


「ない? アナウンスが流れなかったか?」

「ないっス」


 宝箱も見当たらないな……?

 俺のダンジョンとは違うのか?


 必ずもらえる保証はないけど……このあたりは共通の仕様だと予想している。


「俺の場合は【自律分身の術】と【意識共有】だったんだけど……スキルが増えてないか?」

「うーん。ないっぽいっス……」


 さっきより歯切れが悪いな?

 目も泳いでいるし……どうした?


「おいトウコ。なんで目をそらす?」

「あ、レベルなら上がったっス! 十になったっス!」


「お、そりゃよかったな。そしたら第二職業が……」

「あの、ゼンジさん。門が小さくなってきましたけど……大丈夫ですか?」


 リンが不安げな様子で言う。

 おっと! そろそろ急がないと!



 同じ部屋にいたし、だいたい同じものを見たと思うが……。

 省略せずにちゃんと見てみよう。


 意識のフィードバックを受ける時間はある。

 体感は長いが、実際には短い時間だ。

 転移門が消えるまでには動けるようになるはず。


「じゃあ、記憶を受け取るから、ちょっと頼む。もし閉じそうになったら、門に押し込んでくれ!」


 一人で取り残されたくないしね。

 帰りそこなっちゃ困る。


「はいっ! まかせてくださーい!」

「リョーカイっス!」


「あ、そうだ。トウコは第二職業で何が選べるかチェックしといてくれ。では!」

「リョーカイっス」


 二人に任せて、俺は自律分身の記憶(ビジョン)を読み取る――

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[一言] ソッカースキルテニハイラナイノカーザンネンダナー
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