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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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ポーション連打で強敵に挑むのは……どうなの!?

 簡単な食事と長めの休憩を入れる。


 体力や魔力の回復には時間が必要だ。

 二人には各種丸薬を飲ませている。


 俺は【瞑想】で充分だ。



 トウコは丸薬を口に放り込むとけげんな顔をする。


「店長。なんかこの丸薬……しけってないっスか?」

「え? 変な味するか?」


 今日作った新品ってわけじゃないけど……。

 そう古いもんじゃない。


「いや、味は変わんないんスけど……」

「効果が感じにくいってことかなあ? 私もそう思ってましたー」


 作り置きした薬は薬効が弱まる。

 現実の薬にだって使用期限はあるけど、【薬術】で作ったクスリは、足がはやい。


 スキルや魔力を使っているからかと思っている。

 床に置いたアイテムが塵になって消えてしまうように、少しずつ揮発するのかもしれない。


 密閉した瓶にしまっているが、多少の劣化は避けられない。

 早めに使い切るのが一番だし、なるべく新しく作るのがいい。



「そうっス! さっき食べたのより弱いっスねー」


 さっきの丸薬と作った時期は同じだ。

 悪くなってるはずはない。


 いや、まてよ……。

 ああ、そういうことか。


 思い当たるふしはある。


「たぶん、間を開けずに()()()を食べてるからだな」

「えっ? たくさん食べちゃダメなんですか?」


 ちょっと悲しそうなリン。

 いや、量っていうか、時間の経過。


 食べたければ普通の兵糧丸(おやつ)をお食べ!


 俺はリンに丸薬を渡す。

 リンは笑顔になる。


 俺は話を戻す。


「同じクスリを連続で飲むと効果が弱まるっぽいんだよ」

「スキルの再使用可能(クールダウン)時間みたいなもんっスかね?」


「たぶんそうだ。体がクスリを受け付ける限界があると思う」

「お薬ばっかりに頼れないんですねー」


 俺は魔力と体力は【瞑想】で(まかな)っている。

 ケガはあまりしない。

 クスリを連続で使うのは(まれ)だ。


「ポーションも同じっスか?」

「試したことはないけど、そうなんじゃないか? ポーション連打でゴリ押しするのはムリだと思う」


 試してないのはもったいないから。

 あと、ケガしないと試せないから。


 ポーションを何本も使って戦う状況……ヤバすぎるだろ。

 そうなる前に逃げるべきだな。


「いざというときに効かないとヤバイっすね!」

「治癒薬は特にそうだな。無駄打ちはしないほうがいい。魔力回復なら大事故はないけどね」


 効果がなくなるわけではないが、半減してしまう。

 さらに連続で使えば効果はもっと減る。



 リンは申し訳なさそうな顔で言う。


「困りましたねー。まだまだ魔力が足りないです……」

「戦闘や検証で魔力をたくさん使わせたからな」

「あたしの疲れは取れてきたっス。でも、もうちょい休憩っスねー」


 攻略のテンポは悪くなるが、無理して進んで事故りたくない。

 ゆっくりするのも悪くない。


 魔力の自然回復はかなり遅いのだ。

 だいたい一時間で最大値の一割くらいだ。


 明日に差し支えるから、そんなに待っていられない。

 でも、じっと待つ必要はないのだ!


「同じクスリじゃダメだが、回避策はある!」

「おっ! どんなっスか?」


「簡単なことだ――違う丸薬(クスリ)を使う! リン、これ食べてみて」


 同じクスリは効果が弱まる。

 しかし丸薬にはバリエーションがある!


 渡したのは()()魔力回復丸だ。


 普通の丸薬のほかに、効き方を選べるのだ。


「あっ! 今度はちゃんと効いてます! ぽかぽかしてきましたー」

「普通の丸薬のほかに即効、遅効、強力の丸薬があるんだ。なんとこれは別アイテム扱い!」


 材料も効果も似ているが、別アイテム扱い。

 回復アイテムを何度も使えるわけだ!


「うわあ、せこいチートっス!」

「せこいって言うな! 巧妙と言え!」


 チートじゃなくて創意工夫である!


 トウコはあきれ顔だ。

 対して、感心したような顔でリンが言う。


「さすがですね! 先生!」

「うむ!」


 素直にほめられたほうが嬉しいね!


 トウコがリンのマネをして言う。


「さすがっス! センセー!」

「ちょっとバカにしてるだろ、お前……」


 トウコは舌を出した。

 てへぺろじゃねーわ!


「じゃあ、作戦立てましょうか!」

「二人で話し合ってみてくれ。俺は必要なら助言するから」

「リョーカイっス!」


 二人は意見を出し始める。

 こういうのも練習だよね。


 トウコはほっといてもしゃべるんだけど、リンは会話は苦手気味だ。

 オタク系ボッチと奥手系ボッチとの違いだな。

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― 新着の感想 ―
[一言] お薬の効果減退時間はクールタイムに近い概念っぽいですね
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