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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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五階層到着! レベルが上がったらしいぞ!

 俺たちは第五階層へやってきた。

 大きな扉の前、作戦会議中である。


「あ、そういえばレベル上がったっス!」

「お。いくつになった?」


「ハチ! これで下がった分は取り戻したっス!」

「おめでとう。トウコちゃん!」


 レベル八か。

 デスペナで下がった分を取り戻したわけだな。


「スキルはどうなった?」


「前に振ったままっスけど……【射撃威力】【装填】のスキルレベルを上げてるっスね」

「トウコちゃんはいろんなスキルは取らないの?」


 リンは魔法使いとモデルの二つの職業がある。

 簡易モードだからスキルの数は少ないが、できることは多い。


「あたしはほとんど銃関係っスね!」

「攻撃的なスキル構成だよな。それもアリだろう」


 レベルが上がっても、スキルを増やさない。

 すでに持っている銃関連を強化していく方針だ。


「店長はやたらスキル多いっスよね」

「まあな。ソロを前提として鍛えてきたし、器用貧乏路線だ」


 隠密や暗殺では正面きっての戦いができない。

 攻撃だけに偏ってもダメ。

 クラフト系スキルも多い。


 ダンジョンの外で使うことも考慮して……。

 器用貧乏まっしぐらだ。


「店長はダンジョンすら一人で何でもやろうとするんスねえ……さすが社畜忍者っス! ヘンタイっス!」

「社畜いうなや! ヘンタイじゃねーわ!」


 もうブラック労働は卒業したわ!


 リンが俺の手を取る。

 その手はあたたかく、やわらかい。


「もう一人じゃないんだから、無理しないでください。……私にも手伝わせてくださいね!」

「天使かよ! かわいいかよ!」


 リンは顔を赤くする。

 おっと心の声がだだ洩れだ!


「リン姉……自然なイチャつきへの移行……すげえっス!」

「お前の強引な下ネタへの脱線もなかなかだけどな」


 いい雰囲気なんて流れないって。


「違うんスっ! これは体が勝手に! 我慢できない体に……」

「ほら、それよ」


 別にダメじゃないんだけど。

 面白いと可愛いは違うからなぁ……。


「ちがっ! あたしもホントはふつーにイチャつきたいんスよぉー!」


 トウコがすがりついてくる。


「素直かよ!」

「もう一声! もう一声ほしいっス!」


 欲しがるね!

 自然さって、大事なんだなぁ……。


「トウコちゃん、かわいいよ!」


 リンはトウコの手を取って微笑んだ。

 女神かよ!


「うへへー。カワイイいただいたっス!」


 トウコへ顔を緩める。

 まあ、かわいいよ。

 言わんけど。


 俺はトウコの髪をくしゃくしゃと撫でる。


「うへへ。癒やされたっス――いやらしくされたっス!」

「お前、スキあらばぶっこんでくるな……」


 懲りないやつ!


 なんかリンがモジモジしている。

 しゃがみこんで頭をつきだしてきた!


「わ、私も……!」


 上目遣い! ちょっと目が潤んでいる!

 自然に高得点をたたき出してくる!


「お、おう」


 俺はリンの頭をなでる。両手に頭……。

 物理的に両手に花という珍しい図式。


「リン姉もなかなか強引にねじこんでくるっス……!」


「ふふっ……あ、ゼンジさんもどうですか?」

「仕返ししてやるっス!」


 リンが俺の頭にやさしく触れ、トウコが俺の髪をかき乱した。

 円陣を組むように頭を撫でる三人組という謎の図式。


 なにしてんだコレ!?


 ロマンティックでもないし、素敵な絵面じゃないが……。

 悪くないな!



「あー、ボス戦の準備するぞ!」


 いちゃついてる場合じゃないぞ。

 目的はボスの討伐。


「はいっ!」

「ちぇー! なんならこのまま全身撫でまわし――」


 トウコは口をとがらせて手をワキワキさせている。


「そういうとこな! ほら、気持ち切り替えろ! ボスは巨大なコウモリだ! デカくて速くて強い!」


 俺は無理やり話題を変えた。

 俺がツッコまないと脱線が終わらない!


「でもコウモリっスよね? 飛んだとしても銃なら楽勝っス!」

「トウコちゃん! 気をつけないとダメよ!」


「そうだぞトウコ! ザココウモリと一緒にするな。ステータスもあるし頑丈だ。力も強い――」


 俺はけっこう苦戦したからな。

 激戦だったし、死にかけた。


 俺は前に戦ったときの話を伝える。


「ボスコウモリさん……こわそうですね……」

「超音波攻撃がヤバそうっスねえ」


 あんまり説明するとリンが怖がるし、長い説明はトウコが飽きる。

 塩梅が難しいぜ!


「超音波は食らうと立てなくなるから注意してくれ」


「でも、どうやって注意すればいいんでしょうか?」

「避けたりできるもんっスか?」


「……わからん。攻撃が見えるわけじゃないしな。やらせないのが一番だ」


 当たり前だが、音は見えない。


「料理人ゾンビの咆哮は避けようもなかったっスからねえ……」


 声だからな。周囲全体へ届く。

 超音波なら、もうちょい指向性があるかもしれない。


「耳を塞げばいいんですか?」

「単に耳から入ってくる音が問題なのかどうかわからんが……試してみるしかないな」


 超音波攻撃はボスコウモリしかやってこない。

 事前に練習するすべはない。


「予定では俺は手を出さないつもりだったけど、手伝おうか?」

「うーん。不安な気もしますけど……」


 リンは迷った様子だ。

 トウコが口を開く。


「店長がボス倒したとき、レベルいくつだったんスか?」

「一桁だったはず。八くらいかな? 今のトウコと同じだ」


 戦闘力だけでいえば、トウコは悪くない。

 レベルだけでいえば、リンは倍以上だ。


「リン姉は十九っスよね。そしたら二人でいけるっスよ!」

「まあ、数字の上ではそうだが……ゲームじゃないからな?」


 火力やレベルだけがすべてじゃない。

 事故ったら大ケガ――最悪は死ぬ。


 危機感が足りないのがトウコの悪いところだ。

 いいところでもあるんだけどね。


 リンは怖がりすぎる。

 まあ、それが普通なんだけどな。


「でも、やってみましょうか。だめだったらゼンジさんに助けてもらう……でいいですか?」


 お、リンがやる気出した。

 自発性、自信。

 そういうのを身につけてもらいたい。


 そのためのボス戦だ。

 ここで尻込みしていては、もっと強いワニには勝てない。


「よし! じゃあ二人で戦って、ヤバいときは俺も手伝う方針でいこう!」

「はいっ!」

「リョーカイっス!」


 リンが手を上げる。

 なにかな?


「あ、ゼンジさん! けっこう魔法使っちゃったので、休憩したいです!」

「じゃあじゃあ! あたしは宿泊したいっス!」


 トウコがはいはいっという感じで何度も手を上げる。


「休憩しながら、戦いかたを相談しようか!」

「はい!」


 俺とリンはトウコをスルーした。

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