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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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連戦! フォローしあえる関係!

 リンがトウコへ指示を出す。

 同時に、壁沿いの狭い道をやってくるゴブリン達に手を向ける。


「トウコちゃんはコウモリさんを! ――ファイアボール!」

「リョーカイっス!」


 ファイアボールが炸裂し、二匹のゴブリンが倒れる。


「アァア!」

「ゴブァァ……!」


 倒れたのは隊列の真ん中のゴブリンたちだ。

 焼かれなかった先頭のゴブリンは後ろを振り返ることなく突進してくる。


「アガァァァ!」


 ゴブリンの迫真の叫び声をあげ、さびたナタを振り上げる。


「ふぁ、ファイアボール!」


 焦りながらも、リンは火球を命中させる。

 これは最初の火球よりも大きい。


 ちょっと匙加減(さじかげん)が狂っているかもな。

 焦ると魔力の制御が効きにくくなる。


「ギヤァァ!」


 ゴブリンが炎に包まれる。


 制御が効かないことで威力は高まっている。

 しかし、そのぶん魔力消費が大きいのだ。

 この調子では疲れてしまうぞ。


「グゥ!?」


 後ろのゴブリンは火にさえぎられて前へ出られない。

 これも【火魔法】の良さだ。


 燃え残った火で動きを止め、敵を分断する。



 湖側からは、コウモリの群れが迫る。

 トウコはショットガンを両手で二連発する。


「キキィ!」

「キィィ……!」


 コウモリの大部分を散弾が撃ち落とす。

 硝煙の立ち上るショットガンをホルスターに戻すと、かわりに拳銃を抜く。


「うらららあっ!」


 連射。

 散弾をかいくぐって生き延びたコウモリたちも、これで塵となる。


 さらに後続のコウモリが湖を渡ってやってくる。

 十匹以上だ。



「リン姉! リロードっス!」

「は、はいっ! じゃあ、私が!」


 トウコはショットガンを折る様にして排莢。

 ――はじき出された空のショットシェルが後ろに飛んでいく。


 ベルトに挟んでいた新しいショットシェルを抜き出す。

 装弾数は一発。

 折った銃にシェルを押し込み、元に戻す。


 トウコはまだ距離があると判断したらしく、発砲しない。

 二本目のショットガンも同様に装填し始める。



「ファイヤーボール! ファイアボォール!」


 リロードの隙を埋めるように、リンが火球を連発する。

 ゴブリンに放ったよりは小粒のものだ。


 火球が尾を引いてコウモリの群れの中心へと飛んでいく。

 地底湖の湖面に反射して、きらきらと輝く。


「キッ!」

「キキイッ!」


 コウモリたちはバサバサと羽ばたき、火球をかわすようにコースを外れる。

 だが二発目の火球が数匹のコウモリを巻き込んでいく。


 炎に包まれたコウモリがぼとぼとと落ちていく。

 しかし、倒したのは数匹にすぎない。


「キィッ!」

「いやっ! 来ないでー!」


 リンが手を横に振りながら叫ぶ。

 湖面に弧を描くように火花がほとばしり――消えた。


「あ、あれっ? 失敗!?」


 リンは驚いた表情で固まっている。


 いつものファイアボールの動作じゃなかったな。

 なにか、試そうとしたことが失敗したのか?


「リロード完了っス! うらっ!」


 近くまで迫っていたコウモリをショットガンが一掃する。

 撃ち落とされたコウモリが塵となり、魔石が落下していく。


「あ、ありがとうトウコちゃん!」


 俺は【引き寄せの術】が届く範囲の魔石を手元に寄せる。

 クールダウン時間があるから連発できないのが惜しい。


 一つでも取りこぼしたくない貧乏性である。

 湖に沈んだものを回収するまでは、さすがにしないけどね。



「さて、戦闘終了だな! お互いフォローできてたな!」


 リロードの隙を補ったり、魔法の不発を補ったり。

 自然とできていた。


「あたしとリン姉の相性は――いや、体の相性は最高っス!」

「そうね!」


 スルーしたのかしてないのか!?

 どっちなんだい!?



「そういえばリン。途中で火花を散らしてたやつ、なんだったんだ?」

「あたしも気になったっス! 新技っスか?」


 新技か。実戦で試してみたって感じだな。

 新しいことを試す姿勢はいいね!


 リンはバツの悪そうな表情を浮かべる。


「あれは失敗です。炎でばーっとカーテンを作るみたいな感じにしたかったんですけど……花火みたいな」

「上からどばーってなるやつっスか?」


 ナイアガラ花火ってやつか?

 一列に並んだ垂れ幕みたいに火が流れる。


「そうなんですー! でも、思った通りにならなかったなぁ」

「でもチャレンジしたのはいいぞ!」


 褒めて伸ばす!

 リンはぱっと笑顔になる。


「はいっ!」

「じゃあ、イメージはできてたのに魔法は発動しなかったってことだな」


 魔法はイメージの影響が大きい。

 リンは強い想像力のおかげで、魔法の威力を上げている。


「そうなんです。いつもは思った通りになるのに、なんでかなあ?」


 リンは首をかしげる。

 俺は腕を組んで考える。


 いくら魔法でも、なんでもできるわけではないらしい。

 そりゃそうだな。



 リンはこれまでも、普通じゃないファイアボールを使っている。


 料理に使う炎は長い時間持続する。

 火加減も調節できる。


 天井のコウモリを包み焼きにしたこともある。

 着弾した後の火を操っているように思える。


 イメージ次第で幅広い使い方ができている。

 自由な発想力による【火魔法】の拡大解釈だ。


 拡大解釈はチートの基本である!

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