表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

351/1503

足音! ストーンサークル! ゴブリンラッシュ!

 三階層は最短距離で進んでいる。

 ドーム状になっている洞窟の中央を突っ切るコースだ。


 ストーンサークルのような巨石が立ち並ぶ場所だ。

 ここにはゴブリンの群れが住んでいる。


 巨石で作られた迷路のようなもので、視界は悪いし道幅は狭い。

 つまり射線が取れない。


「ここは狭いからトウコちゃんは戦いにくいんじゃないかなー?」

「そうでもないっスよ? ここを曲がるとゴブリンがいるっス」


 そういうとトウコは曲がり角を飛び出し、腰だめに拳銃を連射する。

 角を曲がってのぞき込むと、もう魔石が転がっているだけだった。


 ゴブリンの位置がわかっていないとできない動きだ。


「トウコちゃん。なんでわかったの?」

「足音っス! ゲームじゃ常識っスよ!」


 ゴブリンは足音を殺したりしない。

 無意味にわめいたりもする。気配は大きいのだ。


 耳をすませば、ある程度の位置はわかる。



 トウコは【聴覚強化】を取得している。

 このスキルは俺も取得できるが、見送ったんだよな。


 スキルの説明によれば――聴覚が強化される。

 耳がよくなるという効果だ。


 ゲームでは足音を頼りに敵の位置を知る。

 だからガチ勢はヘッドフォンをするのだ。



 ここはストーンサークルの中心、宝箱のある広間だ。

 宝箱の前でトウコが手をわきわきさせている。


「宝箱発見っ! 開けていいっスか?」

「開けていいぞ。ゴブリンが怒るけどな!」


 この宝箱を開けると、ゴブリンが一気に襲ってくる。

 仕掛けとかイベントみたいなものだろう。


「怒る……? まあ、問題ないっス! オープン! ……なんだ。草っスね」

「薬草ね?」


 シソっぽい草が入ってるだけ。薬草だ。

 トウコはそれをダンプポーチへと突っ込む。


「そうガッカリすんなよ。ゴブリンは大好きみたいだぞ? ほら来た!」


 なぜかはわからないが、ここのゴブリンは薬草を狙ってくる。


「アギッ! アギッ!」

「アギャギャ!」


 ゴブリン達が広間を囲む巨石の間からわらわらと現れる。

 よだれをたらし、目を血走らせてやってくる。


 その数、十匹以上。

 さらに増えていく!


「な、なんスか!? 急にウェーブはじまったっスか!?」

「トウコちゃん……最初にゼンジさんが説明してたわよ?」


 急に、じゃねーわ!

 出発前に説明したし、今も怒るって言ったし!


 宝箱開けると一斉に来るんだぞ。

 やっぱ聞いてなかったな!



「んじゃトウコ、頑張れ!」

「うええっ!? や、やるっスよ!」


 トウコは拳銃を抜き撃って、近くまで来たゴブリンを撃ち抜く。

 一匹あたり一射、的確に倒していく。


 しかし仲間が倒されてもゴブリン達はひるまない。


「アギャーッ」


 わめきながらトウコへ殺到していく。



「……トウコちゃんばっかり狙われてますね。大丈夫かなぁ」

「薬草を持ってるから狙われてるんだろうな」


 宝箱から取った薬草はトウコのダンプポーチに突っ込まれている。

 それを狙ってゴブリンが襲いかかるわけだ。


 ゴブリン、薬草大好き説……。



 俺とリンは敵の少ない方向へ移動しながら観戦する。

 近寄って来たゴブリンには手裏剣を打ち込んで仕留める。

 ここでは周り中から敵が湧いてくるからな。


 寄り道せずに中央広場まで来たので、周辺のゴブリンも集まってきている。



 トウコは撃ちきった銃を取り換えながら応戦する。

 しかし、だんだんと距離を詰められていく。


「頑張って、トウコちゃん!」

「うわわっ! 速いっス! 多いっス! ちょい待ちっ!」


 トウコは走り回り、転がりながら銃を撃つ。

 ゾンビに比べてゴブリンの動きは速い。

 体が小さい分、(まと)も小さい。


 トウコはアクション映画みたいに前転しながら撃ったり、くるくると動き回っている。

 元気だなあ……。


 もう数も減ってきたので問題ないだろう。



「はあっ! ちょっ! うららぁ!」


 ちょっと息が上がってきたな。

 運動量がスゴイ。


 俺が戦うときは分身を使うから、狙い(ターゲット)は分散する。

 俺ばかりが狙われることはないんだよな。



 リンは走り回るトウコを心配そうに見ている。


「ゼンジさん。私も手伝ったほうが……」

「大丈夫じゃね? 【入れ替えの術】はスタンバってるからヤバくなったら助けるし」


「はあっはあっ! さ、最後っス! うらあっ!」


 ショットガンが最後のゴブリンを塵に変える。


 周囲にはもう敵はいない。

 これで戦闘終了だ。


 俺はトウコに歩み寄って声をかける。


「おー。助けるまでもなかったな。余裕か?」

「よ、よ、余裕っスよぉー!」


 トウコはやけくそ気味に叫ぶと床に座り込んだ。

 リンがタオルと水を手渡す。


「トウコちゃん。大変だったね。おつかれさまー」

「ほれ、これも飲んどけ。体力回復丸と魔力回復丸だ」

「あ、アザっス。疲れたぁ」


 全部避けきったのでケガはない。

 ケガ無く勝てたんだから完勝だな!


「ナイスファイトだったぞ!」

「かっこよかったです!」


 俺たちの称賛を受けて、トウコはいい笑顔を浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ