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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
一章 ステイホームはダンジョンで!

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時間管理をちゃんとしなかった末路がコチラ……!?

やけに時間が過ぎるのが早いこの頃……。

 熟練度ポイントでのスキルレベルアップがあることが確認できた。

 スキルポイントで新しいスキルを取得して、持っているスキルは熟練度で上げる。

 広く浅く上げていく方針とした。


 さて、新しいスキルは何を選ぼうか……。


 ――その時、俺は大変なことに気が付いた。


 胸のあたりがスッと冷たくなるような感覚が俺を襲う。


 財布やカギを失くした時に感じるヒエッ! 感だ。


「……マズイ! やっちまったかもしれん!」


 このままでは取り返しのつかないことになってしまう!

 すでに手遅れか……いや、まだ間に合うはずだ!


 ダンジョンの中ではスマートフォンが機能しない。

 時計を持ち込んでも針が止まる。


 時間を知る手段がないのだ。

 疲労感はステータスの体力のせいで外とはちがってくる。

 魔力の検証で普段は感じない魔力疲れも起きている。


 腹時計……腹の減り具合から考えると、かなりの時間が経過したはずだ。

 持ち込んだ携帯食はすでに食べつくした。

 食事の時間はとっくに過ぎている。


 優先順位を取り違えてはいけない。

 スキル取得も検証も、いつでもできることだ。


 もっと優先することがある!


 俺は、全力で出口を目指す。

 その距離は、焦りからずいぶん遠く感じられた。


「オトナシさんとの約束が! うるおいの時間がっ……!」



 拠点部屋へ戻り、アパートへ通じる黒い水面へ飛び込む――


 ――が、入れなかった。


 俺は出入口を通れず、はじき返される。


「んん!? 通れないぞ! ……って、魔石だ!」


 落ち着け俺。

 ダンジョン産のものは持ち出せないんだ。


 モノリスに入れてこなかったので、魔石は腰袋の中だ。

 はやる気持ちを抑え、腰袋とナタを外して収納箱に入れる。


「これでよし!」


 俺は再び黒い水面へ飛び込む――


 ――が、入れなかった。先ほどと同じようにはじかれてしまう。


「アレ!? ナンデ!?」


 魔石は確かに置いたのに、ほかに何か……!?


 落ち着け俺。

 ダンジョン産のものは持ち出せないんだ。


「……マフラー! これはダンジョン産扱いだ! スキルで作ったからか!」


 スキルが作用しているせいか、魔石とマフラーが混ざったものだからか。


 疑問が浮かぶが、いまは調べている時間はない!


 マフラーを収納箱に投げ込むと、水面に跳びこんだ。



「通った!」


 アパートの部屋に飛び出し、時計を確認する。


 アナログの壁掛け時計は9時過ぎを指している。


 間に合った……!?

 まさか夜の9時じゃ……ない!

 外は明るい。朝だ。セーフ!


 「また明日……」とだけで具体的な時間は約束していない。


 でも、普通に考えたらいつもの時間、ゴミ出し時間だ。

 ゴミ出しの時間はだいたい8時前。

 少し遅刻感もある……。


 そうだ。肉じゃがの鍋も返さねば……。


「よしよし。洗ってある。偉いぞ昨日の俺!」


 店の癖で、食べ終わったら自動的に片付けるしくみだな。


 洗い場は常に清潔に保つ。飲食店の基本だ。


 清潔……?


 ――俺は愕然とした。


 鏡の前に立つ。


「なんということだ!」


 鏡に映っていたのは、汗で湿ったシャツ、ところどころ擦り切れた服を着た……汚い忍者の姿だ。


 風呂に入って、着替えなければ!

 ヒゲも剃って……。


 ぴんぽーん。

 ドアチャイムが鳴り響く。


 うおっ! はかったようなタイミング!


「は、はーい! ちょっと待ってください!」


 とりあえず返事をしながら、服を着替える。

 最低限、服くらいはちゃんとしておかねば!


 男子に求められるのは清潔感だ。

 そんなの気にしないよ、という人が居てもそれは……ただしイケメンに限る、が省略されているのだ。



 あまり待たせてはいけない。

 なんとか新しい服に着替える。


 ドアを開いて、笑顔を取り繕う。


「お、おまたせしました!」

「……お荷物です。こちらにサインをお願いします」


 ……届いたのは昨日発注した地下足袋(じかたび)だった。


 こっちかい!


 いや、待ってたけどさ。

 満面の笑みで迎えるほどじゃないよ!

 配達員さんもちょっと引いてるじゃないか。


「あ、はい。……どうも」


 ちょっとテンションを下げつつ、ハンコを押して荷物を受け取る。


「ハイ、たしかに。ありがとうございましたー」

「ありがとうございましたー」


 挨拶には自動的に返事をしてしまう飲食店の習慣。

 たまにコンビニとかでも店員に反応して声を出してしまいそうになる。



 そのとき、オトナシさんの部屋の玄関が開く。


 今の配送業者さんとのやりとりが聞こえたのかな。

 このアパート、壁が薄いからな。


 様子をうかがいながら、オトナシさんが顔を出す。

 小さく頭を下げて、挨拶をしてくれる。


 彼女は……怒ったり悲しんだりしている様子はない。

 セーフっ……セーフだっ!


 遅刻野郎の汚名は免れた!


「おはようございます、クロウさん」

「おはよう! オトナシさん」


 俺は顔をほころばせて、彼女に挨拶を返した。


 やっと、本命の登場だ!

【第19部分】一生分の幸運を使い果たしてしまったら……!?

からここまで同じ一日の出来事です。


主人公の過労が心配になった方はブクマ・評価お願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] お、ぎりぎりセーフ⊂(・∀・)⊃ 間に合ったからセーフ 汗だくでも、セーフ(笑)
[気になる点] アパートでオトナシさん 下の名前気になりますね
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