シーチキン玉とかみかみ吹雪玉!? ナニソレ!?
ていうか収納の話じゃないところで躓いたわ!
なにやってんだ俺。俺たち!
まず【忍具作成】で作れなければ忍具でないことは確定だ。
砂玉、ゼリー玉は作れた。
シーチキン玉は作れなかった。
トウガラシなどを入れた目つぶし水玉は作れた。
食品だからダメってわけじゃない。
「ゼリーは砂スライムのゼリーを使ったけど、食べ物扱いじゃないのかな? ファンタジー素材だからか?」
「また謎が出てきましたね、先生!」
シーチキン玉がダメならゼリーもダメそうなんだけどな。
「ゼリーはゲル。シーチキンはゼル」
「ゾルじゃないですか、先生?」
間違えたわ! ゼリーと混ざったわ!
「うむ。頭がこんがらがってきたな……」
「でもシーチキンって……魚の身をこまかくして油につけたものですよね? そもそもゾルなんでしょうか……?」
どこまでがゾルなんだ……?
「ええ? そういわれると微妙に思えるな。マヨネーズはゾルらしいんだよ。流動性がある個体のようにも思えるけど……」
「マヨネーズはゾルでも、シーチキンは別のような……」
「シーチキンマヨネーズにひっぱられてたかな、俺」
もはや収納とは関係ない気がしてくる。
シーチキンとはなにか……。
「なんの話でしたっけ……」
「……うん。シーチキンはどうでもいいね」
きりないぞ!
これは追求しないでおこう。
「とりあえず収納できるか試してみるぞ」
「はい!」
いま調べたいのは作れるかどうか、忍具かどうかじゃない。
収納できるかどうかである。
「砂玉――オーケー! ゼリー玉――オーケー! 目つぶし水玉――オーケー!」
「収納できましたね。こぼれなければいいのかなー?」
穴の開いたくす玉に入れた水はダメ。
穴の開いていない水玉はアリ。
砂やゾル、ゲルなどの流動性のあるものも密閉されていればオーケーと。
「でも砂ってさ……何粒よ? どう考えても三十以上ある。タラコと同じで数えない感じかな」
「目つぶし玉と同じなんじゃないですか? ひとつのまとまりなんですよ」
「目つぶし玉はトウガラシとかコショウがいろいろ入っているけど、粒も小さいし数えない。目つぶし玉という一つの忍具ってことだな」
「そうだと思います! 中身が小さいと数えないとか……」
うーん。中身のサイズか。
ありそうだな。
「あ! ゼンジさんやってほしいことがあります」
「ん。なんだ?」
「大きいくす玉だとダメでしたけど、小さいくす玉を作ってもらえませんか?」
「小さいくす玉……?」
またくす玉かよ!?
「えーと。目つぶし玉とか水玉みたいな感じで……小さいくす玉を作って……その中に、細かい紙切れをたくさんいれて……」
「ふむふむ」
「それが成功したら、小さいものは数えないってことになりませんか?」
「ああ、そうだな! 作ってみよう!」
小さいくす玉……紙吹雪玉を作ってみた。
ガワは紙とペットボトル素材の二種類だ。
素材の違いを試すために二種である。
中身はかなり細かめの紙切れだ。
とうぜん、三十枚よりもずっと多い。
「さっそく収納してみるぞ。紙紙吹雪玉――オーケー。ペットボトル紙吹雪玉――オーケー!」
「あはは……かみかみ吹雪玉って……!」
ツボに入ったらしく、リンが笑いだす。
どちらの紙吹雪玉も収納できた。
数が三十以上ある小さな紙片は数の制限にかからない。
――小さいものは数えない。
「実証されたな! 小さくすると紙の数はカウントされない。ひとまとまりとみなされる!」
「やりましたね、ゼンジ先生!」
あ、まだ実験ごっこ続いてた!
「うむ。実験成功だなリン君! ……ところで目つぶし玉はひとつのアイテムとみなされる。イレモノ扱いじゃない。つまり入れ子のルールに反しないよな?」
「はい! 手裏剣一本と同じ扱いですよね!」
イレモノの中にイレモノは入れられない。
投げモノは中身のあるモノだが、イレモノ扱いじゃない。
つまり、投げモノならイレモノの中に入れられる。
投げモノポーチに入れて二十九個まで持てるわけだ。
これはかなり有利!
【忍具収納】さんの隙である!
さらには、大きなくす玉の中に投げモノを二十九個入れることもできるのではないか……?
研究がはかどった!
「すばらしいぞリン君!」
「はかどりましたね!」
忍具博士と助手の検証は続く……。
このあと、めちゃくちゃ出し入れした!
 




