脱線! システムさんと自律分身の違い……?
リンの【サポートシステム】――システムさんは発動したままダンジョン外へ出られる。
別のダンジョンに入っても、発動したままついてくる。
俺の【自律分身の術】――自律分身は外に出せない。
発動したあと、転送門を潜れず弾かれる。
ダンジョンの中で出せば、自律分身はそこに残る。
外へも他のダンジョンへも移動することは出来ないのだ。
たとえ、自律分身の効果が切れても、クールダウン時間を置いたとしても、【意識共有】のフィードバックを行うまでは、新しい自律分身を出すことはできない。
なぜなら、【自律分身の術】と【意識共有】はセットで使う能力だからだ。
自律分身の意識は、幽体離脱とか情報の転送みたいに、ダンジョンを出て俺のいる場所へ飛んできたりはしないからな。
【自律分身の術】のルールも複雑だよなぁ。
ところで、別のダンジョンで自律分身を出して、そこに俺が戻れなくなったらどうなるんだ?
二度と術が使えなくなるんじゃないの。
その場合はたぶん【意識共有】をオフにすればいいんだろう。
つまり、その自律分身の意識をフィードバックできなくなる。
経験を捨てる――だけの問題じゃあない。
自律分身は俺自身の意識をコピーしている。
俺自身である自律分身の意識が消失するということ。
つまり死。
その自律分身は俺に戻れずに死ぬ。
そんな使い方はしたくない。
取り残されたほうの俺が報われない。自分で自分を殺すようなものだ。
どうしようもない場合を除いて、回収する前提でしか使わない。
ちなみに【自律分身の術】は、トウコのダンジョンだと違う挙動をする。
死んで復活したとき、クールダウン時間を無視して再度発動できたのだ。
あのとき、自律分身は常に俺より先に解除していた。
自律分身を残して俺が死んだことはない。
たぶん……トウコのダンジョンは入ったときの状態を保存している。
復活時はその状態を読み込んで復活する。
ゲーム的に考えれば、セーブしてロードしたみたいになる。
死んで復活した俺は【自律分身の術】を使う前の俺。
不思議なことに経験値、レベルは変化している。
減ったり上がったりして外へ排出されている。
当たり前だが、意識は死ぬ前の自分と連続している。
死ぬ前のセーブをロードして記憶が失われたりしない。
謎である。
ダンジョンのルールは不思議がいっぱいだ。
冷蔵庫ダンジョンのルールは常軌を逸している。
常識でははかれない。
脱線が過ぎたな!
冷蔵庫ダンジョンの特例的な話は置いておこう。
話を戻す!
自律分身を出している状態では、他のダンジョンでは出せない。
俺の体の中に入って、ついてくるわけじゃない。
逆に言えば、置いてくることができる。
別行動が可能だ。
【サポートシステム】とは扱いが違うのだ。
まあ、脱線だな。
収納とは違う話だけど、気になったからね。
ダンジョンの外では【忍具収納】の一枠目だけが使用可能だ。
枠を連結している場合はどうなるんだろう?
手裏剣ポーチに棒手裏剣を三十本入れる。
これで数のルールにより二枠消費される。
二つの枠を連結、結合した状態だ。
表計算ソフトでセルを結合したみたいな感じ。
「そういえば、二枠を結合した場合に外で取り出すとどうなるんだろうな?」
「あ、気になりますね! 順番も関係ありますよね?」
リンの言う順番とは、この二枠消費――枠を結合した部分が一枠目になるかということだ。
以下の二パターンが考えられる。
一枠目と二枠目を結合、三枠目が通常。
一枠目が通常、二枠目と三枠目が結合。
「よし、確認しよう!」
「はいっ」
一度外へ出て確認する。
結果――
一枠目が通常の場合だけ取り出せた。
一枠目と二枠目を結合している場合は、スキルレベル2相当にならないと扱えないんだろう。
あたりまえだが、半分だけ取り出せるなんてことはない。
収納する一枠目は結合した枠にしてはいけない。
一枠目に収納するのは忍者刀かクナイがいいかな。
火力を考えれば忍者刀になる。どうせなら鞘もセットにしたい。
とっさの状況で使うなら抜き身のクナイがいいかもしれない。
たとえば縄で縛られたときにクナイを出してロープを切ったり。
街中で刀なんか出したら大事件になってしまう。
一応はクラフトで作った品だけど、見た目はただの刃物だ。
隠蔽の対象になるかは不明である。
人に見られて切り離しされるかはさておき、銃刀法違反で逮捕される心配がある。
クナイなら手に隠せる。
まあ、このあたりは行き先や状況で考えるかな。
まだ検証は途中だし、最後にまた考えよう!
①一枠目と二枠目を結合、三枠目が通常
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②一枠目が通常、二枠目と三枠目が結合
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