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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
一章 ステイホームはダンジョンで!

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壁走り忍法帖 ~地味スキル【壁走りの術】で最強を目指す?~

修行回とか、需要がなさそうなので走り込みはいつの間に終わっています。

<熟練度が一定値に達しました。スキルレベルが上がりました!>

<【壁走りの術】 1→2>


「キターッ!」


 初の熟練度によるスキルレベルアップ!

 やはり、熟練度は貯まる! スキルレベルも上がる!


 いよいよゲームっぽい。

 いや、使えば身につくってのはむしろ自然なことなのだ。



 さっそく試してみる。

 壁を蹴って駆け上がる。


「さて、【壁走りの術】レベル2の効果のほどは……っと。おお! 走りやすさが違う!」


 壁にくっつく力……疑似的な重力のようなものが前よりも強い。

 逆に、下方向へ働く通常の重力は弱まるようだ。


 さらに壁に張り付ける時間が延長されたようだ。

 これまでは10歩程度だったのものが、倍以上になる。


 おそらく10秒~15秒程度の間、効果が持続する。

 効果時間が切れれば術が解け、地面へ落下する。

 この効果時間が、体感で倍以上に延長された。


 そして、術が再使用可能になるまでの時間も短縮された。

 いわゆるクールダウン時間だ。


 術を解いて数秒たてば、再び【壁走りの術】を発動できる。


 効果時間いっぱいまで壁を走る。

 効果が切れたら術を解いて床を歩く。



 使ったら少し休ませる必要がある。

 連発できないというわけだ。



 レベル2の場合、体感では2秒ほど。

 前はもっと長かった。


 クールダウン時間が短縮された意味は大きい。


「これ、工夫次第ではずっと壁にくっつけるんじゃないか?」


 術が切れたら壁で術を使わずに耐える。

 例えるなら……。

 水に潜って息を止め、苦しくなったら息継ぎするようなイメージ。


 スキルを息継ぎして、再度発動させる。


 つかまる場所があればしがみついてもいい。

 足場があるなら登ればいい。


 そうしてクールダウン時間が過ぎるのを待つ。

 そして再度、術を発動させるのだ。


 幸いこのダンジョンの壁はデコボコとした岩肌だ。

 壁に掴まることはたやすい。

 ボルダリングの優しいコースみたいに、捕まる場所はたくさんある。


 さらに【壁走りの術】にはコストがない。

 疲れたり、魔力を消費しない。

 実質、ずっと壁に張り付いていられる。


「これは……クモのスーパーヒーローに一歩近づいたな!」


 ただ壁に張り付くだけと侮るなかれ。

 高さは強さだ。

 上を取るということは、それだけで強い。

 手が届かない位置であればなおさらだ。


 コウモリに苦戦する理由もそれだ。

 こちらの攻撃の手が届きにくいからだ。


 俺は手裏剣がある。

 だから戦える。

 もし飛び道具がなければ、もっとずっと苦労しているだろう。


 今のところ、飛び道具を持った敵はいない。

 高所へ登ってしまえば、かなり安全になる。


 安全な場所から一方的に【投擲】で狙い撃ちにできるわけだ。

 壁を縦横無尽に飛び回って、手裏剣攻撃する忍者の完成だ。

 夢のスタイリッシュ忍者アクションがいまこそ!


 これで、ゴブリンは完封できてしまうぞ。

 高所からひたすら遠距離攻撃してやれば、ゴブリンは涙目である。

 汚いなさすが忍者きたない。


 コウモリは……飛ぶね。

 壁に張り付いても、さらにその上を行きおる……。


 やはり、天敵! 絶対忍者殺すマン!

 汚いなさすがコウモリきたない!



<熟練度が一定値に達しました。スキルレベルが上がりました!>

<【歩法】 1→2>


「おっ! 歩法も来た!」


 【壁走りの術】のための走り込みのおかげで【歩法】も上がった。


 この二つはセット感がある。

 【歩法】がなかったら【壁走りの術】は使いこなせない。


 壁を走るのは難しい。

 【歩法】の熟練度も自然と上がってくるわけだ。


 【歩法】レベル1は、知識を与えてくれた。

 足の動かし方、体重移動などが理解できるような地味な効果だった。


 しかしレベル2は違う。

 動きが補佐されるというか、身体が軽くなるような感じがある。


 アシスト付き自転車みたいな感覚。

 すいすいと無駄のない動きができる。


 本来以上の加速がつくというか……。

 重力とか慣性のような物理法則を無視している感じさえする。


 オリンピックに出場したら競歩とかで上位が狙えるぞ。

 壁走りでボルダリングも金メダル確実だな。


 おそらく、不自然な動きにツッコミが相次いでしまうだろうけど。

 世界初のスキル使いとして、全世界から注目を浴びてしまう。


 ……それは困る。オリンピックへの出場はなしだな。

 いや、外でスキルは使えないからそもそも無理だけど。


 使えたとしても、世を忍んで暮らすのが俺のモットーだ。

 目立ちたくない。

 ひっそりと暮らせればそれでいい。



 これまではスキルポイントを使ってスキルを身に着けてきた。

 1レベルあたり5ポイントしかスキルポイントは得られない。


 熟練度でスキルレベルが上がるなら、貴重なポイントを節約できる。


「てことは、広く浅くスキルを振っていくべきか?」


 新しいスキルはスキルポイントで取得する。

 持っているスキルは熟練度で上げていく。


 ポイントを節約しつつ、成長もしていく。

 いいじゃないか!



 でも、器用貧乏まっしぐらだ。


 一人でダンジョンに潜っているから、しかたない部分だ……。

 いろんな状況に一人で対応しなければならない。


 しかし、手を広げすぎると中途半端になってしまう。


「ソロプレイの限界か。ぼっちにはキビシイ……」


 全体の方針としては広く浅くでいい。

 しかし、尖がった部分がないといかん。


 強敵が現れたときに対応できる、一点突破の頼れるスキル。

 そういうものが必要だ。


 現状で最大レベルの【壁走りの術】で危機的状況をどうにかできるだろうか。

 ……怪しい。



 【隠密】【暗殺】に特化するのはアリ。

 だけどコウモリみたいに欺けない相手にはもろい。

 振ったポイント分の強みが生かせなくなる。



 【投擲】特化もいい。

 【隠密】とも【壁走りの術】とも相性がいい。

 長距離攻撃手段はこれに決まりだ。



 近接攻撃は【打撃武器】を取っているが、これはいずれ刀などに乗り換えたい。

 バットには愛着を感じている。

 だがいつまでも野球忍者では締まらない。


 今のところ、威力には満足している。

 【打撃武器・威力強化】はこのままでいい。


 熟練度でのレベル上げに期待して保留。



 【身体強化】系も熟練度で上げたい。

 ステータスの底上げは全体に関わってくるので地味に効果は高い。

 攻撃にも防御にも移動にも関わってくる。


 とはいえ、1レベルあたりの上昇幅は小さい。

 ポイントを振るなら、不可能を可能にするようなスキルに振りたい。

 ゼロからイチの差は大きいからね。



 【回避】【危険察知】などを特化して、安全を確保するのもいい。

 現状で、危うい部分はあっても致命的な被弾はしていないのは【回避】【危険察知】のおかげだ。

 上げるのが望ましいが、火力も必要なので今はポイントをつぎ込めない。


 ゲームみたいにヒットポイントとか防御力みたいなものがないからな。

 当たり所が悪ければ死んでしまう危険はいつでもある。


 忍者という職業では防御を高める類のスキルは選べないんだろう。

 当たらなければどうということはないの精神で行くしかない。


 忍者は全裸の方が強いと相場が決まっている。

 レベルを上げてからの話ではあるけど。


 【回避】系のスキルレベルを上げれば再現できるのかな。



 【回避】を極めたら、全裸にマフラーってことになるか。


 顔を隠したいから特別なマスクをかぶって……。

 これが私のピロピロだ! とか言うんだな。


 ないない。


 頭に浮かんだ想像を打ち消す。

 変態忍者仮面になってどうする。


 仮に効果が得られても、服は着るぞ!

こんなにも壁にこだわる主人公、きっと他にはいないはず……。

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― 新着の感想 ―
[一言] まぁ、見る人はいないから、いいけど、変態仮面忍者はあかん(笑)
[一言] 鎖付き分銅とか自作したらいろいろ抵抗できそうだけど
[一言] 忍者イコール全裸 忍者イコール変態が真理ですかな ウィザードリィ的に考えて。 それにしても、転職とかできたらソロプレイでも攻略ができそうなんですがどこかのシステムで転職できないか探してみたほ…
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