実験! 収納の秘密を探れ! 入れ物と数量のルール!
いや、満足してる場合か!
まだ【収納】の概要を説明しただけだ。
【忍具収納】の性質はまた別である。
そして検証は途中だった!
「というわけで、俺は忍具収納について調べてたんだ――」
俺はリンにここまでの成果を説明する。
細かい話だが、リンは楽し気に聞いてくれる。
「で、くす玉で試してたんだけど……ややこしいからもう一度整理してみよう」
「はいっ」
俺はリンに説明する。
通常のくす玉は大きく分けて三つのパーツで構成される。
外側の丸い部分。
中身の紙吹雪。
引っ張るヒモ。
祝! 合格! みたいな巻物状の垂れ幕があったりもする。
俺が作る「くす玉」はコウモリ用のチャフだ。
紙やアルミ片をばらまいてエコーロケーションを妨害するための投げモノである。
空中に投げ上げて飛び道具で破壊することで割る。
ヒモも垂れ幕もいらない。
だから俺のくす玉はガワと中身の二パーツである。
検証用に作ったくす玉もヒモなしである。
で、くす玉のなかには紙片がたくさん入っている。
パカっと割ると出てくる紙吹雪だ。
この中身の紙片が一枚一枚カウントされる。
「えーと……中身の紙切れですよね?」
「そうなんだ。それにより数の上限のルールにひっかかってくる」
数の上限は釘で検証した。
三十一個目を手に乗せると収納できなくなる。
つまり数の上限は三十個。
厳密にいえば三十一個目は枠に余裕があれば収納できる。
これまたややこしい。
別ルールとして一枠に収まらないものは二枠使って収納される。
これはあとで整理するのでいったん置いておこう。
「うう。ややこしいですねー」
「だろ? で、ここからがまた細かいんだが……」
くす玉は中身を含めて一個とカウントするのではない。
外側が一。中身は二十九の紙片まで。
「あー。なんかへんな感じですねー。くす玉って中身を含めてくす玉ですよね」
「普通はそうだよな。なのに、ガワと中身が別のものと扱われているんだ。入れ物と品物みたいにね」
【忍具収納】のスキルレベルが3だと三種類の品が収納できる。
三枠と言い換えられる。
一枠ごとの制限は――
――数は三十個まで。
――体積は五リットルまで。
――重さは推定五キロまで。
くす玉は体積が五リットルになるように作ってある。
ガワだけならオーケー。収納できる。
中身に大量の紙吹雪を加えてみたら、収納できなくなったのだ。
紙吹雪の数が二十九まではオーケーだが、それ以上はダメなのだ。
なお、くす玉には貯金箱のような穴をあけていて、そこから紙片を出し入れしながら試した。
毎回クラフトするのは面倒だしコストがかかるのだ。
……なんの検証だよこれ。
「つまり入れ物も忍具収納にしまえるってことだな」
「なるほどー!」
刀と鞘のような入れ物は忍具扱いで許容される。
刀と鞘は別の種類の品物とも言えるけど、ここは許されるんだな。
気難しい【忍具収納】さん。
「手裏剣ポーチに二十九本の棒手裏剣を入れて収納できるってことになる」
「バラで入れるより便利ですねー!」
「これが数の制限だね。三十まで」
「はいっ!」
なんだか教授と助手の実験番組みたいで楽しくなってきたな!




