表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

319/1470

偵察結果と課題の整理! 問題山積み……!?

 砂スライムと角ウサギを狩りながら帰る。

 俺たちは第一エリアの拠点へと戻ってきた。


 ここは安全である。

 俺たちは荷物を置いて食卓に座った。


「ふう。二人ともお疲れ」

「うぃーっス!」

「はい。お疲れさまです」


 俺もさすがにちょっと疲れたな。

 けっこう長いこと潜っていたんだ。



「これで、第四エリア踏破じゃないっスか!?」

「ああ。今回はなかなか調査が進んだな!」


 リンはその時のことを思い出し、表情をころころと変えながら話す。


「そうですねー。でも、アカシアの木があったり……砂のスライムさんも! それと大きなワニさん……怖かったですよねー!」



 今回の調査――


 第四エリアでは、アカシアの木の発見。

 アカシアの木は、毒や薬になる。


 砂スライムはこれまでのスライムと違う特徴があった。

 奴らは砂に隠れて襲いかかってくる。


 そして、第五エリアにもたどり着いた。

 第五エリアは雨季で、川がある。

 ボスらしきワニは巨大で強敵だとわかった。



「どうせならボスも倒したかったっス!」

「でも……遠くから見たのに大きくて、すごく強そうでしたよね……大丈夫かなあ……」


 トウコは強気。リンは弱気のコメントだ。


「大丈夫じゃないと思うぞ。自律分身はなすすべもなくやられたからな。なにか対策すればいいってレベルじゃなかった」

「勝ち目なしって手ごたえっスか? 料理人(ブッチャー)と比べてどんな感じっスか?」


 冷蔵庫のボスともきわどい戦いだった。

 だが、あれは戦う余地があった。


「ワニのほうが料理人(ブッチャー)よりずっと強いな」

「うえぇ!? マジっスか! 料理人もたいがいな強さだったんスけどねー」


「料理人の攻撃は避けられる。こっちの攻撃もなんとか通っただろ? でもワニはデカくて素早いんだよ! デカさって強さだからな?」

「ふつうデカいやつってノロいもんじゃないっスか?」


 足が弱点だったり、力は強いけど鈍重だったりする。

 でも体がデカいってことは力もあるってことだ。

 手足の筋肉も十分。つまり素早く移動できる。


 実際目にしたアイツは機敏(きびん)だった。


「デカいけど遅いなんてのは漫画の話だ。実際の動物はたいてい人間より速い。走っても逃げられないんだぜ!」

「えー? そうなんスか?」


「トウコちゃん。私もキリンとかゾウも人間より足が速いって聞いたことがあるわ! ワニは……どうなのかしら?」


「ワニは素早いイメージだけど、どの程度なんだろうな。あとで調べよう」

「私も調べてみますね!」


 ダンジョンから出たら調べよう。

 すぐ調べられる現代の便利さよ。


 見た目が似てるから、現実の動物を参考にしてもいいだろう。


 さらにファンタジーなステータス補正があるとすれば……。

 うーん。

 現実の動物よりも厄介だと考えなきゃいけないだろうな。



「明日にでも再チャレンジっスか?」

「いや……やめておこう。いま戦っても無事に勝てる気がしない」

「ちぇー。おあずけっスかー」


 トウコは口をとがらせる。


 大ケガするとか、誰か死ぬなんてことになったら意味はない。

 無事に帰ってきてはじめて勝利である。


 雑に命を張ってはいけない。


「でも……放っておいていいんでしょうか?」

「うん? あー、ワニがもっと強くなるってことか?」

「そうです。どんどん強くなっちゃったらもっと勝てなくなりますよね?」


 ワニはおそらく成長している。

 時間が経つほど強くなるだろう。


「そうかもしれない。だけど、いきなり強くなるわけじゃないはずだ」

「あいつ、けっこうレベル高い感じっスよね。なら強くなるにしてもゆっくりだと思うっス!」

「そうだ。これはゲーム的な感覚だからリンには馴染みがないかもしれないけど……ザコ狩りしていてもレベルは上がりにくいんだよ」


 適正レベルってやつだ。

 弱い敵を倒しても経験値効率が悪い。


 ワニからみて角ウサギはザコだろう。

 角ウサギの経験値などたかが知れている。

 ワニのレベルが数日で上がるなんてことはない。


 リンのレベルがほとんど上がらないのもそれが理由だろう。

 すでにレベルが高いため、現状の敵では経験にならないんだ。


 毎日スライムを狩っていたリン。

 毎日角ウサギを食っていたワニ。


 どこかで成長は鈍化する。


 なら、新しい刺激が必要だ。

 もっと強い敵。違う環境。


 俺の場合、ゴブリンばっかり狩ってもレベルは上がりにくいと感じる。

 でも同じザコ敵でも、ゾンビでレベルは上がった。


 トウコも冷蔵庫でレベルが上がりにくくなったと言っていたな。

 同じ種類のモンスターばかりを狩っていると経験値が入りにくくなるのかもしれない。


「そうなんですね……。じゃあ、ちょっとくらい大丈夫なのかな?」

「大丈夫だよ。俺たちがもっと強くなればいいだけだし」

「力を合わせてボコボコにしてやるっス! 数はこっちが上っス!」


 トウコがぐっとこぶしを握ってパンチを繰り出す。


 囲んでボコす。

 まあ……そうなんだが。


「言い方! 悪役の小物(こもの)感が出ちゃってるぞ!」

「キレイごと言っても勝てないっスからねー」


 トウコはへらへらと笑っている。

 その軽い態度には重みがある。


 勝てない相手と戦い続けてきたからこそたどり着いた考えだな。

 泥臭(どろくさ)くても卑怯(ひきょう)でも、手段は選ばない。

 生き残って勝つのだ。


 泣いても祈っても、敵は容赦(ようしゃ)してくれない。

 ダンジョンは甘くない。


「まあ、そうだけど……トウコちゃん。言い方が誤解されちゃうというか……損しちゃうと思うの」

「勝てばよかろうっス! そうしないとリン姉のダンジョンがヤバいっスからね!」

「また言い方っ! ――でもその通りだ。勝たなきゃな!」


 友情! 努力! 勝利!

 求められるのはそういう展開ですよ。


 だけどキレイごとじゃ勝てないんだ。

 (きずな)や愛で急に強くなったりしない。


 それに俺たちには絆や愛は充分ある!


 とか考えただけで妙な感じ……。

 自分で考えたことに恥ずかしくなって顔が(ゆる)む。


 トウコが目ざとく指摘する。


「……店長、変顔してどうしたっスか? エロいこと考えたんスか?」

「考えてないわ!」


 リンは俺を見て小鼻をふくらませて顔を赤くしている。

 俺がエロいこと考えたと想像したのかな!?


「……」

「考えてないからね!? か、勘違いしないでよね!?」


 誤解だよ!?

 もっと恥ずかしいこと考えていただけです!



「ともあれ、今はワニと戦わない。勝てるようになったら再挑戦だ!」

「リョーカイっス!」

「はい。でも、どうやったら勝てるんでしょうか? ……私はボスと戦ったことがないからわからなくて……不安です」


 リンは自分の身体を抱くようにして言う。

 自信がないんだろう。


 俺のダンジョンに潜ったときもゴブリンやコウモリにおびえていたからな。

 クモは俺も怖い。


 冷蔵庫のゾンビなんか、もっと怖いぞ。

 怖さになれる練習も必要なんだな。

 これは前々からの課題だ。


 ボスを倒せば自信もつくかな?


 ボスコウモリはそろそろリスポーンしてるはずだ。


「それなら俺のダンジョンのボスと戦ってみるか?」

「あ。あたしもやるっス! どうせうちの料理人に比べたら楽勝っスよ!」


 トウコが自信満々に言ってのける。


「まあ、料理人は強かったけど……コウモリさんは強敵なんだぜ?」

「しょせん動物っスよ!」

「ワニも動物だっての」


 動物をなめてはいけない。

 そもそもモンスターである。


「トウコちゃん。油断してはダメよ!」

「うんうん。そうだぞ!」

「――コウモリさんは顔がコワいの!」


 リンは迫真の表情だ。

 違う。俺が言いたいのはそこじゃない!


「強さにも油断しないでくれよ!? 飛ぶしデカいんだよ!」

「ふーん。まあ、見てのお楽しみっスね!」


 トウコはニヤリと笑う。

 軽いよ! 危機感持って!?


「大丈夫か? 伝わったか?」

「はいっ! 気をつけますね!」


 リンはいい返事を返す。

 でも、たまにズレてるからなあ……。



「じゃ、明日はボスコウモリ戦だ。リンがボス戦に慣れるためだから、俺はなるべく手を出さないぞ」

「はい。……がんばります」


「あたしはいいっスよね? シャッガンのサビにしてやるっス!」

「銃にサビがつくのかよ……」


 普通は刀のサビである。


 リンが不安げな顔で俺を見る。


「えっ!? ゼンジさんは一緒じゃないんですか?」

「あ、もちろんついていくぞ。ヤバくなったらフォローする」

「はぁ。よかったぁー」


 リンは安心したようにほっと胸をなでおろす。


「店長が手を出す前に瞬殺してやるっス!」

「ま、できるならやってくれ」


 あんまり瞬殺だとリンの経験にはならない。

 でもまあ、瞬殺されるコウモリさんじゃないのだ。


 なぜかコウモリさんを心中で応援してしまっている俺。

 我がライバルが弱いわけない!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 先手は取れそうだから毒をキメたいところです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ