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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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ビニール袋と天ぷらと天職……!?

 トウコにスライムゼリーを投げていると、自律分身が時間制限で解除された。

 記憶がフィードバックされる。


「おっ――もうじきご飯ができるらしいぞ。一度戻ろうぜ」

「リョーカイっス!」



 第二エリアの端まで行ったついでに第三エリアで角ウサギを狩ってきた。

 行きがけの駄賃ってやつだ。


 そういえば角ウサギの正式名称は『角兎』だとわかっている。

 モノリスがなくても鑑定があればわかる。

 リンのサポートシステム(システムさん)は【物品鑑定】を持っている。


 これでドロップアイテムを調べれば、持ち主の名前もわかるわけだ。

 たぶん【生物鑑定】とかもあるんだろうな。


 今のところ俺は取得できない。

 選択できるスキルはなにか条件があるんだよな。


 たぶんステータスの影響だと思う。

 俺は敏捷と体力が高い。

 トウコは敏捷だけ。

 リンは知力と魔力と生命力だ。


 鑑定系を取得するのに知力が必要だとしたら、俺たちはムリってことになる。

 職業によってもスキルは影響を受けるみたいだから、そっちに期待だな。


 忍者は万能だと信じよう!



「ただいまーっス!」

「これ、お土産。肉とゼリーだ」


 俺はビニール袋に入れた品を渡す。


「おかえりなさい。――わあ! ゼリーはデザートにしますね!」



 ファンタジーな草原でビニール袋を取り出すと雰囲気崩れるんだよね。

 でも便利。


 ダンジョンの中にビニールやペットボトルは持ち込める。

 このあたりの条件もよくわかっていない。


 スマホなどの電子機器は持ち込めるけど使えない。

 壊れたわけじゃなくて外に戻れば使える。


 システムさんの言う「規格が異なる。または持ち込み、持ち出し制限されている」と似た制限だろう。

 電子機器は「持ち込めるが使えない」んだと思われる。


 ペットボトルなどの合成樹脂や洋服に使われる化学繊維はダンジョン内に持ち込める。

 当たり前だが使える。

 火薬も持ち込めるし【忍具作成】で煙玉などに加工して使うこともできる。


 試してみても弾丸や銃は【忍具作成】で作ることはできなかった。

 銃は忍具じゃないから作れないのか、ダンジョンのルールで作れないのかはわからない。

 銃忍者もアリなんじゃないかと思うこの頃の俺。


 御庭と話してると忍者とはなにかわからなくなってくるんだよな。

 忍者は自由で幅広いものだ。


 リンやトウコが公儀隠密に入れば、魔法忍者と銃忍者になるわけだし。



「今日は天ぷらにしましたー。どうですか?」


 野菜の天ぷら盛り合わせ。

 コメは外で炊いたものを持ち込んでいる。


「おお、サクサク。()げ具合もバッチリだな!」


 ほどよくカラッと上がった(ころも)が口の中で弾ける。

 味の濃い野菜はタレや塩をつけなくてもそのままで十分だ。


 トウコは口いっぱいに頬張(ほおば)るようにして食べている。


「うまっ! うますぎるっス!」

「トウコの食レポはいつも同じじゃないか?」

「うまいもんはうまいっス! いいじゃないっスか!?」


 それをリンは笑顔で見守っている。


「二人とも美味しそうに食べてくれるからうれしいです!」

「リンは作ってるときも楽しそうだよね」


 自律分身の記憶のなかでも楽しそうに料理していた。


「お料理するのは楽しいですよ。よろこんでくれるかなーって思うと作りがいありますね!」

「天職かもしれないなあ。店でキシダも褒めてたよ。即戦力どころか期待以上だったってさ」


 うちのファミレスには過剰戦力とも言える。

 高級料理店でも通用するんじゃないか。


「天職ですか。でも自分一人のときは簡単なものしか作らないですし。ゼンジさんたちに食べてもらうのが好きなんです」

「俺もリンの料理をずっと食べてたいなあ……」


 天職っていうか天使だよな。

 食の女神かもしれぬ!


「あうっ!? ずっと……!」


 リンは赤い顔で固まっている。

 トウコがぎょっとした顔で言う。


「店長……プロポーズっぽいこと言うっスね!? たらしっス!」

「え? 食いたいもんは食いたいんだ。それでいいだろ?」


 前の俺ならもっと自重していた。

 変なことを言わないようにしたかもしれない。


 でも、俺は踏み込むことにしたんだ。


 当たり前の日常がいつまで続くかわからない。

 悪性ダンジョンにしろ世界の隠蔽にしろ、危険は多い。


 失ってはじめて日常の大切さを知る、なんてバカげている。

 最初っから大切で、毎日が貴重なんだ。


 リンは顔を両手でおおってふらふらしている。


「あぅ……ずっと……ずっと……!」

「リン姉ぇー。おーい!」


 トウコが顔の前で手を振るが反応はない。

 リンはしばらくフリーズしていた。

没タイトルシリーズ

■草原ダンジョンの調査・第二エリア その2

■大切で貴重だとはじめから気付いているべきなんだ!

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