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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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草原ダンジョンの調査・第一エリア

 晩飯までの空き時間に草原(トイレ)ダンジョンを回る。

 簡単な地図を()きながらエリアを調査するのだ。


 リンのダンジョンは俺のと違って階層で分かれていない。

 階段のような明確な区切りがない。


 そのかわりに見えない境目(さかいめ)がある。これをエリアと呼ぶ。

 エリアが変わると地形や温度すらも変わる。


 このエリアは太陽の日差しが柔らかく、ぽかぽかと心地いい。

 でも、サバンナエリアは真夏のように暑い。

 もしかすると、寒いエリアとかもあるのかもしれない。



「んじゃ、俺たちはぐるっと回ってくるわ」

「行ってくるっス!」


 俺とトウコはリンと自律分身に声をかけ、拠点を出発する。


 トウコは薄着だ。

 場所によっては暑いからな。


 気に入ったのか、今回もホットパンツだ。

 その上に買って持参したミリタリー調のホルスターを巻いている。


 俺はいつもの草原ダンジョン用装備だ。

 ナタと釘があれば充分。奥地へは行かない予定だ。


「私はごはん作っておきますね!」

「無茶するなよー」


 リンたちが手を振って見送っている。

 二人は晩御飯の準備だ。自律分身も手伝う。



 ダンジョンに入ってすぐは第一エリアだ。

 ここは小高い丘と草原になっている。


 丘の上に大きな一本の立派な木が立っている。

 その木の元にダンジョンの出入り口、転送門(てんそうもん)がある。


 すぐ近くには家庭菜園(さいえん)のような畑がある。

 ナス、キュウリ、トマト、ピーマン、ニンジンなど、外から持ち込んだ野菜が植えられている。


「この畑ってリン姉が作ったんスよね?」

「そうだぞ。季節に関係なく収穫できるチート畑だ。どうなってんだろうな?」


 肥料に秘密があるのだ。

 魔石をばらまいておくと、成長が早まる。


 味も濃く、おいしくなる。


 原理は不明だ。

 かなりファンタジーだよなあ……。


「野菜のくせにおいしいっス! ナマイキっス!」

「生意気ってなんだよ……。野菜嫌いか。食べないと大きくなれないぞ」


 美味しく食えるんだから生意気じゃなかろう。


「肉食ってればいいんじゃないっスかね? タンパク質で!」


 野菜より肉のほうが育ちそうな気はする。


「そうかもしれん。でもバランスは大事だよな。肌が荒れたりするんじゃね?」

「そうっスかねえ? あんまり気になったことないっス」

「若さか……」


 俺も十代のころとは体調が違ってきているんだよな……。


 でもこの頃はチート野菜のおかげで体調がいい気がする。

 リンとダンジョンのおかげだな!


「ちょっと触ってみるっスか? 生足ウホホしてもいいっスよ」

「……しねえわ!」


 トウコが足を強調するようなポーズをとる。


 トウコの肌は陽光を健康的に跳ね返している。

 まぶしい。


 くっ! まじまじ見てしまった……。

 俺を見てトウコがほくそ笑んでいる。


「おっ? めずらしくつれたっスか!? これは脈あり!」

「つられてねーわ!」


 スキあらば狙ってきよる!


「ほら遠慮なくどーぞっス! ちこう寄れ! よいではないか、よいではないか!」

「遠慮するわ! そのセリフは逆だ!」


 忍べ俺!

 にじり寄ってくるトウコから距離を取る。



「お、スライム発見! ――分身の術!」


 半透明でぷるぷるしている。

 サッカーボールほどの大きさだ。

 ゼリーのように弾力がある。アメーバのように液状ではない。


 体の中をよく見れば小さな核が見える。

 ピンポン玉くらいの円形だ。ここが弱点だ。



 俺は分身にナタで攻撃させる。

 スライムは物理攻撃に強い。殴ってもほどんどダメージはない。

 柔らかく姿を変えるので掴むこともできない。

 だが、核を壊せば倒すことができる。

 ナタなら一撃だ。


 分身を使わなくても倒せるんだが、触らずにすませたい。

 分泌される消化液に触れると火傷してしまう。


 分身の一撃でスライムは塵となる。

 小さな宝箱がドロップした。


 ここでは敵を倒すと宝箱に変わる。



「こっちにもいたっス! うらっ!」


 トウコが銃撃して核を撃ち抜く。

 やっぱ銃は便利だな。


 銃声が鳴り響くが、スライムは寄ってきたりしない。

 逃げることもない。


 ほとんど知性はないらしく、音にはあまり反応しない。

 近づくと攻撃してくるくらいだ。


 習性がわかっていればたやすい相手だ。

 知らないと大ケガすることになる。トウコは死にかけてたからな。


「やったっスよ! スライム、チョロいっス!」

「……うん。でも、油断するんじゃないぞ!?」



 ドロップした宝箱を回収する。

 中身はそれぞれ、ゼリーと弾丸だった。


「このゼリーは食えるぞ。リンはけっこう好きらしい」

「スライムってどんな味するんスかねえ。いただくっス!」


 トウコは宝箱からつまみあげたゼリーを口に運ぶ。

 ゆるめのグミとか、わらび餅みたいな感じだ。


「どうだ?」

「うーん。味うすいっスねえ……」


 トウコの表情は微妙だ。


 スライムは色によって味が違うらしい。

 いま食べたのは薄い水色だった。


 リンいわく、緑色がおススメ。

 スライムが食べたもので色が変わるんだろうか?


「肌にいいとか言ってたけど、食うと効果あるのか?」

「感じないっスけど……直接ぬるんスかね? あとでやってみましょーか」

「帰ったらな。とりあえず進もうぜ」

「リョーカイっス!」


 しばらく歩くとエリアの端へとやってきた。


「たぶん、このへんが第一エリアの端じゃないか?」

「ぽいっスねー。へんなのー!」


 目に見える壁や境界線はない。

 よく見ると草の生え方が違っている程度だ。


 髪の毛のツムジみたいに草の生える向きが違っていたり、土が不自然になっていたりする。

 気にしていなければ見落としてしまうな。


 第一エリアと第二エリアでは温度差や植生(しょくせい)に大きな違いがない。

 ぱっと見じゃわからない。


 境界線の位置を地図に書き込んでいく。

 正確に測ってはいないのでザックリした地図だ。

 俺は測量なんてできないし、絵心もないからな。


 丘の上の大木はここからでも見えるから、帰り道はすぐにわかる。

 このエリアでは地図は重要じゃない。

 だいたいわかればいい。


 もっと離れて目印が見えないときに地図は役立つのだ!

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