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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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ファミレス攻略! 日常も戦いだ!?

やたらと現代パートが続く……! スローライフ!

 今日はリンの初出勤日である!

 俺もトウコも職場のファミレス店に出勤している。


 店のスタッフにリンを紹介する。

 リンはコック服に身を包んで、恥ずかしげに立っている。


 なに着ても似合うな! さすがモデル!


「こちらが俺の知人のオトナシさんです。人手不足なので手伝ってもらうことになった。今日からキッチンスタッフとして働いてくれるから、みんなよろしく」

「その……オトナシリンです。皆さん……よろしくお願いします!」


 リンがうつむき気味で挨拶をする。

 緊張しすぎて声が小さい。がんばれリン!


 声は小さいが、スタッフには聞こえている。

 というのも、みんな興味津々(きょうみしんしん)で聞いていたからだ。


 キシダが驚いた様子で言う。


「店長の言ってた(となり)の女子大生ですよね? ……実在したんだ!?」

「実在するわ! なんだと思ってたんだよ!」


 トウコやキシダには隣の気になる女子大生の話をしていた。

 まさか連れてくることになるとはね。


 キシダがリンを見て言う。

 変な目で見るな!


「いや……うわさ通りスゴイな……」

「う、うわさ……?」


 リンが少しひるむ。

 いろいろあるんだよ……。


「余計なこと言うな! キッチンのことはキシダが教えてやってくれ。料理はできるから、うちの店のルールとかね」

「わかりました……なんか、やる気でてきたなあ!」


 キシダは頷く。表情はゆるい。

 トウコがキシダに指を突き付ける。


「キッシー、リン姉はあたしの(よめ)なんで手ぇだしたらダメっスよ!」

「お、おう」


 キシダが微妙な表情で頷く。


「なにそれトウコちゃん……」


 リンは少し引いた感じだ。

 俺のだ! とは言えないので黙っておく。



 ちなみにホールのトウコはメイド服風。

 俺は執事風の制服である。



 リンはすぐに店の作業をこなせるようになった。


 うちはセントラルキッチン方式ではない。

 大手のフランチャイズではなく独自の店舗だからね。


 店の中で仕込みから調理まで行う。

 料理ごとにマニュアルがあるので、誰が作っても同じ味になる。

 人によってばらつきがあっては困るのだ。



 しばらくして、キシダに様子を訊ねた。


「キシダ。オトナシさんはどう?」

「手際いいですよ。ちょっと丁寧すぎる感じはありますね」

「そうか。ほどほどにするように言っておいて」


 店で出す料理はスピード重視である。

 ちなみに俺が家で料理するときもそんな感じだ。


 揚げたり焼いたり茹でたり。

 シンプルでまあまあおいしい料理。


 ファミレスとはいえ、料理はほとんどが手作業だ。

 レンジでチンして提供とはいかない。


 だから効率よく素早く作る。高級料理店ではないのだ。

 それでも味は悪くない。


 リンはやたら手間暇(てまひま)かけた料理をする。

 それは家で食べる料理の作り方だ。

 おいしいけどね。



 俺は店の様子を少し見て、あとは裏方作業をする。


「店長……じゃなくてマネージャー。ちょっと聞きたいんですが……」

「おう。どした?」


 現店長のヤマダさんが俺に声をかけてくる。


 俺はマネージャーと呼ばれるようになった。

 そういう役職があるわけじゃない。名目上のものだ。


 偉いわけじゃない。

 責任を増やされて働かされたくないし!


 ご意見番とかお手伝いさんくらいの感じでいいのだ。


「席の仕切りのアクリル板が割れちゃって……これ、どこに発注したらいいんですか?」

「それは俺が自作してたんだよ。材料はホームセンターで買ったりしてさ」


 買うと高いのである。


「そうなんですか……」

「予備の材料が裏にあるから直しながら説明するわ」

「説明されてもできる気がしませんが……」


 ヤマダさんは困惑ぎみだ。

 日曜大工は店長の仕事じゃないわな。


 誰の仕事だかわからない謎の作業を俺がやりすぎている。


「まあ、たまになら俺が直すけどね。簡単な修理はよろしく」

「がんばります」


 ヤマダさんは手順をメモした。



 店を立て直すためにできることをヤマダさんと相談していく。


 人手不足対策。募集と教育。

 スタッフの給料や勤務時間に無理がないようにすること。

 営業時間の見直し。朝と夜を短縮営業にする。


 思いつく対策はぜんぶやる。

 前まではオーナーが却下してきたことも今はできる。


 すぐに店が回復するような手はない。

 でも手を打てば良くなるはずだ。

 いや、良くするのだ!



 基本的には今いる従業員を大事にする方針でいく。

 新しく雇って育てるよりいいに決まっている。


 仕事はマニュアルがあって誰にでもできるかもしれない。

 でも誰でもいいわけじゃない。


 俺たちは歯車じゃない。代わりなんてない。

 人間なんだからな!



 問題があって、対策がある。

 ダンジョン攻略と考え方は同じだ。


 でも倒すべき明確な敵はいないのが難しいところ。

 ゴブリンやゾンビよりもよほど戦いにくい。


 それでもパンデミックに負けないように頑張ろう!



店長(てんちょ)ー! ちょっと来てほしいっス!」

「打ち合わせ中なんだが、どした?」


 トウコがドアからいたずらっぽい表情をのぞかせている。

 店長って呼ばれるとややこしいぞ!


「忙しいならいいっスけどー。リン姉にホールの制服着てもらったっス! エロメイドが降臨(こうりん)したっス!」

「すぐ行くわ!」

「あ、私もー」


 ヤマダさんまで乗ってきた!


 リンはホールの制服を着せられている。

 服のサイズは小さめで、合っていない。


 布が引っ張られてパツパツである!


「おお……コック服もよかったがこれはスゴい……!」


 もっと大きいサイズもあったはずだが、さてはトウコの采配(さいはい)だな!?

 けしからん。でかした!


「……ちょっとキツいです。もう着替えてもいいですか?」

「いいっスよ! 次はこっちの執事服で!」


 トウコが男性ホール用の制服を持ってくる。

 いいぞ! もっとやれ!


 でも俺は口では止めておく。


「あんまりオトナシさんで遊ぶんじゃないぞ」

「まあまあ、減るもんじゃないっス!」

「ええ……?」


 リンはトウコに服を持たされて更衣室に押し込まれる。

 ちょっとしたファッションショーが始まった。


 現場の士気が妙に高まったのであった。

忙しさに死んだ目になっていたキシダもこれにはニッコリだ!

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