続・サポートシステム一問一答!
久しぶりにシステムさんを質問攻めしよう!
狩りも終わったので、拠点へ戻りながら質問を続ける。
「このダンジョンの管理者はリンですか?」
<リンはこのダンジョンの管理者ではありません>
あれ……? 違うのか?
「思ってた感じじゃなかったな。あ、くり返さなくていいよ」
御庭はダンジョンとダンジョン保持者はペアだと考えていた。
持ち主が死ぬとダンジョンは悪性化する。
持ち主はボスモンスターに変異する。
システムさんは持ち主を管理者ととらえている。
でも管理者はリンではない。
認識に矛盾があるのか?
用語にズレがあるのか?
御庭の言っていることは正しいとは限らない。
システムさんは融通が利かない。
正しい質問をしないと答えてくれない。
便利だけど、不便だ。
AIのファンタジー版みたいなものだ。
使いこなすのは難しいな。
考え込んだ俺にかわって、リンが質問を続ける。
「システムさん。ダンジョンの持ち主と管理者は違うんですか?」
<持ち主の定義が不明です>
うーん。つまり、似ているけど違うものか。
イコールではない。
「じゃあ私はこのダンジョンにとって、なんですか?>
<質問の内容があいまいです>
俺にとってリンは大事な恋人である。
明確だな。
「ダンジョンの管理者って?」
<ダンジョンを管理する権限を有する者です>
そのまんまだが……。
ダンジョンには管理者がいる。
管理者はダンジョンを管理する権限を持っている。
「それは今、誰ですか?」
<不明です。または、権限が不足しています>
「管理者になるにはどうすればいいですか?」
<ダンジョンの管理者権限を持つものを倒す。または譲り受けることで管理者権限が得られます>
ダンジョンを管理する権限――管理者権限だ。
その権限は持っているものを倒せば奪えるわけだ。譲渡もできると。
言い方からして、権限は一人しか持てないってことかな。
「おおっ! あたりを引いたぞリン! さすがだ!」
「いろいろ聞いてみるものですね!」
俺たちは頷きあう。
トウコは興味を失って、銃を回しながら左右の手で持ち替えている。
器用だな……。
いや、聞いとけよ!
「管理者権限を持つ者がこのダンジョン内にいるか、聞いてみて」
「どうですか? システムさん」
<はい。ダンジョン内に存在します>
「どこにいますか?」
<不明です。または、権限が不足しています>
「それは人間ですか?」
<不明です。または、権限が不足しています>
「それはモンスターですか?」
<不明です。または、権限が不足しています>
「人間、モンスター以外ですか?」
<不明です。または、権限が不足しています>
「足りない権限とは管理者権限ですか?」
<はい>
「おおっ! つまり管理者権限をなんとかして得ればいいんだな!」
「誰かを倒すんですね!」
「どこにいるかわからないけど――いや、そうか……わかってきたぞ!」
「なにかわかったんですか? ゼンジさん」
前にリヒトさんが言っていたな。
リアル・ダンジョン攻略記での最後の通信だ。
忘れていたわけじゃない。
頭痛がひどくなりすぎるので考えないようにしていたんだ。
気絶するほどの頭痛だった。
リンが心配して、そのあと調査は打ち切っていた。
ダンジョンの中――ここでなら頭痛は起こらない。
いまならわかる。
あの頭痛は隠蔽――認識阻害を受けていたんだ。
御庭から聞いた公儀隠密の情報。
【サポートシステム】のスキルがもたらす情報。
リアル・ダンジョン攻略記の情報。
これがそろって、やっと少しわかってきた!
繋がってきたぞ!




