高級料理とジャンクフード……いくらでも食えるね!
短いので二話更新予定!
二人が着替えをすませて戻ってきた。
「お待たせしましたー」
「いやー。満喫したっス! うへへー」
「なにを満喫したの? なにを!?」
くっ!
やはり覗くべきだったか。
隠密のレベルを上げることも考え――
――落ち着け。
隠密は上げないぞ。
なにかが犬塚さんに嗅ぎ取られてしまう。
変質者の匂いがする! とか言われてしまうかもしれない!
リンはいつもの伸縮素材のトレーニングウェアだ。
全身のラインが出ていてとてもイイ。
覗かなくても正々堂々と見れる!
芸術である。スタンディングオベーションだ!
「ど、どうしましたゼンジさん?」
「いや、満喫しているところです。気にせずに!」
「これが着エロっスか……新しい境地が開けそうっス! 脳内スクショ発動ッ!」
「な、なに!? トウコちゃんもヨダレ出てるし……二人ともおかしいです!」
「いやいや……気にしないで。全く普通の反応なので!」
「うへへ……」
二人でリンをじっくりと眺める。
挟み撃ちだ!
ゾンビに追い詰められたみたいに、壁際に下がるリン。
リンはプロポーションの良さに自覚がなさすぎる。
完璧なボリュームに加えてバランスの良さよ!
それなのに引っ込み思案で自信がない。
肉体と精神のアンバランス!
無自覚系主人公もびっくりの鈍感さだ。
だが、そのままでいてほしいので指摘はしない!
「ねえねえ店長! あたしはどうっスか!」
「うん……?」
トウコはホットパンツにシャツ姿だ。
健康的な足がすらりと伸びている。
少し大きめのシャツの裾を横でしばってある。へそ出し状態だ。
煽情的というよりは健康的な肢体。
それを見せびらかすようにポーズをとっている。
背が低いトウコは一見すると夏休みの中学生みたいになってしまいそうだ。
だが違う。体の起伏はしっかりと大人のメリハリを持っている。
これが若さか!
「ふーん。いいんじゃん?」
「塩ッ! 塩対応っス! ここは女子高生のナマアシ! ウホホってなるシーンッスよ!?」
そんなおっさんみたいなリアクション取らんわ!
「いま俺は精神的賢者状態にある! 誘惑は無効だ!」
「くっ! 高級ステーキの横に並べられたピザの気分っス!」
トウコがおおげさに悔しげな顔をして崩れ落ちた。
リンが不思議そうな顔で言う。
「私はピザも好きですよ!」
リンは和食系を好むけど、なんでも食べる。
選り好みはない。
でも今、その話じゃないからね。
「リン姉のは料理の話っスよね。そうじゃないんスよぉ……あたしもチヤホヤされたいんスよぉ!」
なんという正直なモテたい願望の吐露!
トウコは謎にダメージを受けて、床に手とひざをついたポーズのままうなだれている。
いや、自分で言って自分でダメージを受けるとか。
精神的自傷行為はやめろ!
「俺もピザは大好物だぞ。――料理の話じゃなしに」
「大好物いただきましたーっ! なんとか評価されたッス!」
トウコがびょんと立ち上がる。復活したな。
「とりあえず騒ぐのはダンジョンに入ってからにしようぜ」
まだダンジョンに入ってすらいない!
はやくダンジョン入りたいよ!
「そうですね」
「騒ぐッスよー!」
「入ってからにしようぜ!」
俺は二人を草原ダンジョンの入り口に押し込んだ。