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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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悪性ダンジョンの害とは……スタンピード!?

 御庭が悪性ダンジョンについて語りだす。


「さて、悪性ダンジョンとは周囲に害をなすダンジョンだ。僕ら公儀隠密はその害を防ぐために活動している」

「害って、具体的にはどういうものですか?」


 トウコのダンジョンは悪性の手前だった。

 にもかかわらず、あの凶悪さだ。


 悪性化したダンジョンはどれほどなのか……。


「悪性化しただけでも、もう害がある。ダンジョンが外へあふれ出すんだ。中身ごとね。これを異界(いかい)氾濫(はんらん)とか浸食(しんしょく)なんて呼ぶ。けど、こう言ったほうが通りがいいかな。――スタンピードだよ。厳密には違うけどね」


 スタンピード。

 英語の意味では、動物や人が暴走したり熱狂することだ。


 いま御庭が言っているのは、異世界モノやダンジョンモノでよく聞く単語(ワード)のほうだろう。

 魔物の暴走。ダンジョンの暴走。


 ダンジョン内のモンスターが外にあふれ出る災害だ。


「そんなことが、この現代日本で起きているんですか?」


 ……あり得るだろうか。

 ニュースでもネットでも、そんな話は聞いたことがない。

 いや、聞いたことがないだけか……。


「実際に起きているよ。そしてそれは隠蔽(いんぺい)される。普通の人々に知られることはない。この頃、行方不明者が増えてるなんてニュースをよく見るだろう? その一部は、ダンジョンの災害が隠蔽(いんぺい)された結果なんだ」


 たしかにニュースでは行方不明者や自殺者が増えていると報じられている。

 パンデミックの関連だと思っていたが……。


 隠蔽の力は思ったよりも強いんだな。

 個人レベルじゃなく、集団……世界全体に及ぶほどなのか!?


「その災害の規模ってどれくらいなんですか? 隠蔽で隠しきれるものですかね……」

「規模はダンジョンによる。小さいものなら民家数軒程度。大きいと工場とか学校くらいの範囲が被害を受ける」

「民家数軒って……こう言っちゃなんですが狭くないですか? モンスターがあふれてきたら、もっと遠くまで被害が出るんじゃないですか?」


 漫画やアニメ(ファンタジー)の感覚だと、スタンピードは村や街を壊滅させるような規模だ。


 たとえばトウコのダンジョンが悪性化したとする。

 無数のゾンビがあふれて、ランナーが走りだし、さらにボマーが爆発する。


 そのときの被害は家数件とか学校程度では済まないと思うんだが……。


「ああ、すまないね。ダンジョンが外にあふれ出る……という部分の説明が足りてなかった。単にモンスターが外にあふれ出るだけじゃない。()()()()()()()()()()()()んだ。広がる速度はそう速くはない。じわじわと広がる」


 御庭は胸の前で両手をで輪を作り、じわじわと広げていく。


 イメージしたスタンピードとは違うな。


「……ダンジョン自体が広がる?」

「その通り。そして浸食された現実世界の生物は中に閉じ込められてしまう。もちろん、ダンジョン化した領域にはモンスターがいるわけだから、閉じ込められた人たちは無事では済まない」


「中に閉じ込められる? ダンジョンの中に入るってことですか?」


 トウコの冷蔵庫なら、洋館に閉じ込められるってことだろうか。


「ちょっと難しいんだけど、ダンジョンの中ではないんだよね」

「えーと……。中ではないって?」


 ちょっとなに言ってるかわからない。


「うん。ダンジョンの入り口があった場所を中心としたドームみたいな空間ができる感じだよ。つまり、建物なんかはそのままだ。トウコ君の冷蔵庫で考えるなら、キッチンや家はそのままってことだね」

「ああ、なるほど。この部屋にゾンビ……モンスターがあふれる感じですね」


「そうそう」

「じゃあ、閉じ込められるってのは……家の外に出られなくなるってことでしょうか?」


「それはダンジョン化した領域のサイズによるね」

「ああ、浸食される範囲は建物とは関係ないんですね」


 ダンジョン化される範囲はドーム状……円形だ。

 建物単位ではないんだ。


「うん。そうだね。ダンジョン化した領域の(はし)まではいける。そして端に見えない壁ができる感じだよ」

「壁? 逃げ場はないのか……エグいな!」


「エグいよね。でも逃げ場がないわけじゃない。……この壁って、なんだと思う?」

「あふれてきたダンジョンの端っこですよね?」


 クイズ好きだね御庭!?

 その壁の正体が解れば、逃げることができる……のか?


「うん。ダンジョンの端であり、境界線だ……と言えばわかるかな?」

「境界線……?」


 ちょっと意味が解らない。


 ダンジョンは入り口から外側へ広がっていく。

 その端っこは境界線……ああ!


「なにとの境界線かってことですか?」

「そう。ダンジョンは外へ広がりたい。じわじわと広がっていく。外側からはこれを止めようとする力が働く」


 御庭は両手の平を胸の前で拝むように合わせる。

 なーむー。


 両側から押して、力がせめぎあうようなジェスチャーをする。

 なますてー。


「止めようとする力? ……あ!」


 ダンジョンを広げさせない力。

 これまで聞いた内容と一致する。


認識阻害(ブロック)切り離し(パージ)の力ですね?」

「正解! ダンジョンはどんどん広がろうとする。世界はそれを止めたい。このせめぎあいの境界線が見えない壁だね」


 なるほどね!

 しかし、頭痛くなってくるわ!


 自分で説明しろと言ったけど、後悔してきたわーっ。

 複雑複雑ゥ!



 三行で説明してくれんかね……。


 悪性ダンジョンはただ外にモンスターがあふれるだけじゃない。

 ダンジョン自体がじわじわと膨れ上がってくる感じだ。

 それをこの世界が食い止めようとする。


 そのせめぎあいが境界線であり壁になる。


 こういうことだな!

 四行だよ!?

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