表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

263/1461

寄せて、上げて、引き寄せる! 【スキル検証】【引き寄せの術】

久しぶりに一章っぽいテイスト!

 新しいスキル【引き寄せの術】を検証していこう!


「単体の対象を自分の方向に引き寄せる、か。これって、モノにも通じるよな? 試しに――引き寄せの術!」


 俺は拠点の壁に(かざ)ってある展示(てんじ)ラックに狙いをつける。

 引き寄せるのはトンファーだ。刃物は危ないからね。


 ――術が発動する。


 引き寄せたトンファーが勢いよく飛んでくる。

 俺の方向――体に向かって。


「おおっ――あぶねっ!」


 きわどいところで飛来したトンファーを躱す。

 背後の洞窟の壁にトンファーがぶつかって落ちる。


「この術は適当に使っちゃダメなやつだな。手元に飛んできてほしいから、こう手をつきだす感じで――」


 他の術には構えやポーズは必要ない。

 【入れ替えの術】は対象を指定するけど、モノを動かすのとは違う。

 座標を入れ替える瞬間移動(テレポート)って感じだ。


 【引き寄せの術】は空間を超えて瞬間的に手元に来るわけじゃない。

 引っ張ったモノが飛んでくる。

 念動力(サイコキネシス)って感じだ。


 俺は手元に飛んでくるようイメージしながら手をつきだす。


「引き寄せの術! ――よし!」


 今度はキャッチできた。

 引き寄せる力もコントロールできる。


 鎖分銅(ワイヤーふんどう)の扱いに近い。

 ひもで先端の重りを手元に戻すときの感じ。


 強く素早く戻すこともできるし、ゆっくり弱く戻すこともできる。


 引っ張れる時間は一秒ほどで、長く持続しない。

 それでも、この間はコントロールできるということだ。

 引っ張る方向に変化をつければ、軌道を変えることもできる。


「これで戻る魔球、止まる魔球、曲がる魔球ができるぞ!」


 野球のピッチャーをやったら無双間違いなし!

 野球忍者に一歩前進だ!


 戻すときに軌道を曲げておけば、自分に武器がぶつかる心配はない。



 トンファーを投げては引き戻す練習をする。

 ひとりキャッチボールの術! これでボッチでも安心だ!


 ……俺はもうボッチからは解放されたんだった。

 リンやトウコとダンジョンに潜るのが楽しみだな。


 といいつつも、こうして一人でスキルを検証する時間も好きだ。

 新技や新術ってのは人前で練習するもんじゃない。

 まあ、どうせ二人には後で説明するんだけどね。


 現代の忍者は情報共有も(おこた)らない。

 身内に秘密が多いと、連携が取れないからな。


 手の内を隠すのは敵や別グループの相手だけでいい。


 再使用可能(クールダウン)時間は三秒ほどだ。

 これはスキルレベル1にしては実用域だな。


 距離は五メートルほど届く。

 魔石や落とした棒手裏剣(五寸釘)などを回収するにも便利だ。



「モノだけじゃなくて生物にも効くよな?」


 先ほど通らなかったルートでゴブリンを探す。

 いた。実験体一号!


 射程距離の限界である五メートルの位置から術をかける。

 手をつきだし、引っ張るように動かす。


「ていっ! ――引き寄せの術!」


 ゴブリンは見えない力に引っ張られ、つんのめる様にして倒れる。

 俺の元にぶっ飛んでくるほどのパワーはない。


「ア、アギッ!?」

「――もういっちょ!」


 今度は全力で引っ張ってみる。

 ずずっと、倒れたゴブリンが床を滑る。

 さっきよりは動いた。


 でもそれくらいだ。

 引き寄せる力は対象(ターゲット)の重さの影響を受けている。

 ゴブリンの体重は軽いとはいえ、二十か三十キログラムはあるだろう。


 もっとスキルレベルを上げれば重い敵を動かしたり、素早く引き寄せられるようになるだろう。

 これは期待できる!


 俺はゴブリンを【引き寄せの術】で引っ張り起して、トンファーを打ち込む。

 こうして、姿勢を変えさせたり崩したりすることにも使える。


 そして、塵になったゴブリンの魔石を空中でキャッチする。


「うーむ……魔力の消費は【入れ替えの術】くらいかな」


 でも、軽いものを対象にすると使う魔力も軽くなる。

 連発していけるコスパのいいスキルだ。


 それに、音もたたないし目立たない。

 忍ぶ(地味)忍者を目指す俺にはぴったりだ!


「よし! こりゃ使えるぜ!」

文章を書く時間より設定を考える時間が圧倒的に長い……!

新術を出すたび、強過ぎちゃうんじゃないかって毎回びくびくする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ