対策して挑む三ウェーブは順調です!?
「さあ、そろそろ三ウェーブが始まる! トウコのレベルは上がってるな?」
「いま、三っス!」
「よし、弾丸はどうだ?」
「バッチリっス!」
トウコは力こぶのポーズを作って笑う。
俺は頷く。
「んじゃあ、トウコの経験値をメインにする作戦でいこう。弾はケチらずバンバン撃っていけ!」
「リョーカイっス!」
ヘッドショット二発でゾンビを倒し続ければ、三発がドロップして増え続けていく計算だ。
自律分身が弾を回収すれば、弾切れはない。
トドメを任せるのでなく、二射して即トドメ。
速攻で塵化にする作戦だ!
弾丸は十分稼いである。
自律分身はサポートとアイテム拾い。
「一階側を俺が担当する。前回と同じだ。ただ、距離はもっと近くで戦う。ボマーが出たら一階の俺と入れ替える」
「余裕があれば、棒手裏剣で援護するぜ」と自律分身。
「シャアアッ!」
「ウウァア」
二階からゾンビの声が聞こえてくる。
一階側からも来るだろう。
「お、来たっ! 三ウェーブ開始っス!」
二階からランナーが走りこんでくる。
階段に姿を見せるや否や、跳びあがって踊り場のトウコたちを襲う。
それをトウコが空中で撃ち落とす。
頭部を狙うのは難しいとみてか、胴体へ二発。命中だ。
踊り場の手前に落下したランナーは衝撃で塵となる。
逆の階段から別のランナーがバランスを崩してよろめきながら走ってくる。
自律分身が構えたシャベルにランナーが突き刺さる。
シャベルが胴を貫通し、自律分身が慌てた声を出す。
「げっ! 柔らかすぎる!」
しかし、腹を貫通したダメージだけでは倒せていない。
「こいつ、タフなゾンビか!」
タフなゾンビは頭部を破壊しないと倒せない!
自律分身に肉薄したランナーが大口を開けて噛みついてくる。
それを防ごうと、自律分身が手でゾンビの顔を押さえる。
「うおおっ!」
俺は腰からナイフを抜いて――よく狙う。
自律分身に当てず、ゾンビに命中させるコース。
最悪外れてもいい。味方に当てないことを優先して投擲する。
――狙いたがわず、ゾンビの側頭部へ命中。
「よし!」
「援護助かったぜ!」
自律分身が突き立ったナイフの柄をえぐるようにして、ランナーにトドメを刺す。
ナイフを俺に投げ返してくる。
俺はそれをキャッチして鞘に納める。
「シャアアーッ」
俺の受け持つ一階側にも敵が殺到してきた。
中庭側と、暖炉部屋側からの二方向。
俺は判断分身をおとりにして敵をコントロールする。
孤立した敵に忍び寄り、背後から暗殺していく。
俺に向かって来るものは、そのまま引き連れて踊り場から距離を取る。
一定の距離を保ちながら、倒しやすい敵から片付けていく。
距離とゾンビの集まる密度を考えながら縦横無尽に飛び回る。
走り、跳び、武器を振るう。
鉈の一撃で脳天を砕く。
マチェットの素早い攻撃で切り裂く。
床には魔石がごろごろと転がっていく。
敵の数が減ったタイミングで判断分身に回収させる。
「おおー。店長の工具フェチ無双っス!」
「よそ見してると危ないぞ、っと!」
トウコがこちらをみて称賛の声をあげる。
そこに近づいたゾンビを、自律分身がシャベルで殴る。
「あざっす! あ、店長! ボマーが来たっス!」
二階からボマーが現れる。
「グエウェエ!」
「まかせろ! 来い判断分身! ――入れ替えの術!」
俺は一階から――射程距離の限界から術の照準を合わせる。
と同時に、判断分身が俺の肩に手を置く。
ボマーが階段を転げ落ちるよりも前に、術が発動する。
俺と判断分身が二階へ。
ボマーは一階へ。
この位置なら、爆発の殺傷範囲外だ。
踊り場の未回収のドロップアイテムも吹き飛ばされないはずだ。
「よし! 入れ替え完了! ――トウコ、撃て!」
「アイアイサーッ!」
トウコが銃を連射し、ボマーに全弾命中させる。
的が大きいボマーは当てやすいんだろう。
ボマーが発光し、爆発の兆候を示す。
俺は二階にいるため安全圏だ。
踊り場の二人は伏せの態勢を取っている。
ボマーが破裂する。
一階にいた数体のゾンビを巻き添えに、派手に爆発が起こる。
「――無事か!」
「おう!」
「オッケーっス!」
――よし、けが人なし!
順調だ。これでボマー対策はバッチリ。
パターンさえ作れれば、あとは同じことだ。
三ウェーブの敵をかたずけ、俺たちは一息ついた。
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