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忍者的火付け道具を作ろう! 【クラフト】【香炉】

 暗闇は敵だ。

 人類は昔から、闇から逃れるために必死だった。

 文明を進化させ、消えない火を手に入れた。


 だけどここに電気はない。

 もっと原始的な照明を用意するしかない。



「火術、火遁術が使えればなぁ……」


 火術は火薬玉、煙玉、火矢、火付け、火薬や鉄砲を扱うものだ。

 伊賀忍者が得意としていたらしい。


 火遁術は火を使って逃走する技術。

 (とん)術は、逃げたり隠れたりする術で、攻撃を目的としない。


 火を扱うスキルは俺のスキルの選択肢には表れていない。


 【中級忍術】にないということは【上級忍術】なんだろうか。

 条件が足りなくて選べないのか。

 今こそ必要だ! 出ろ!


 ……ムリか。

 スキルリストを確認しても、取得可能にはならない。


 そんなに都合よくはない。


 漫画みたいに口から火を噴いたり、手から炎を生み出す術はない。

 ……今後に期待だ。


 すぐに火が手に入るような術はない。

 しかたない。


 ならば知識チートだ!

 スキルで無理なら知識と技術である!


 ダンジョンが自宅に表れてから、忍者の動画や記事を読みまくっている。

 その忍者知識で忍者道具を作る!


 スキルでやることを道具でやる。

 チートというには大げさだが使えるはずだ。



「持ち運べる火を作ればいい! 先人の知恵だな!」


 作るのは小さな香炉(こうろ)

 お香を入れる道具だ。


 仏具(ぶつぐ)としても使われる。

 燭台も仏具といえる。

 花立(花瓶)もあれば仏具の三点セット、三具足(さんぐそく)が揃ってしまうな!


 花瓶を置く台……花台なら武器としている。

 リーチ!



 香炉といっても、線香を立てるタイプではない。

 持ち運び式の小型のものだ。

 近いのは蚊取り線香ケースだろうか。


 忍者はこうした道具の中に火種を持ち歩いたという。

 明かりのためでなく、いつでも火が使えるようにしていたらしい。


 軍法侍用集(忍術書)には以下のように書かれている。

 ――窃盗火を持事

 ――しのび火を持つ事肝要也

 ――ちいさき香炉に火をいけきんちやくに入持也


 しのび火を持つことが肝要……という。

 火を入れた香炉を巾着に入れて持っていたというが……。


 忍びが火を持つことが肝要という意味なんだろうか。

 「しのび火」を持つということだろうか。


 昔の言葉で書かれているので、詳細はよくわからない。

 他の記述も、わかりそうでわからない。


 板に挟んだり、竹筒に入れて持ったりする?

 杉の墨をフノリで練り固める?

 タバコを使う?


 どの程度燃え続けるんだろうか。

 熱くないんだろうか。

 排気は? 匂いはするのか?

 ロウソクを入れる?

 炭を使うんだろうか……。


「うーん。イメージしやすいのは炭かな?」


 囲炉裏(いろり)などでも、灰をかぶせた炭から火が起こせる。

 うん。炭だろう。

 それ以外の材料はよくわからないし。


「これでいこう! イメージを固めるぞ……小さな香炉だ」


 小さな香炉を思い浮かべる。


 金属製。吊り下げ型。置いても使える。

 急須の出っ張りをなくしたような形。


 (ふた)を閉めると空気が遮断(しゃだん)され、火は消える。

 このあたりは前に作った火消し壺に似ている。


 (ふた)に工夫をしておく。

 スクリューキャップとかツイストキャップのようなしくみだ。

 ひねるとしまる。

 このねじ山を多くしておき、締め具合で空気が少しずつ入るようにする。


 流入する空気を調整して、火を完全には消さずに維持する。

 空気が少なければ強く燃え上がらない。

 炭が燃え尽きないってワケだ。


 いろいろと複雑だ。

 あいまいな部分もある。


 でも、忍具作成君ならやってくれる!

 忍具作成君はできる子だ! 信じてる!


「いけ! 忍具作成!」


 材料はガラクタ金属と木材だ。


 金属から香炉を。

 木材から炭を。


 固めたイメージを【忍具作成】へ伝える。


 ――術が発動する。


 手の中に香炉ができあがる。


「よし! よくやったぞ忍具作成(ブラザー)!」


 今日は大活躍の忍具作成君をほめておく。


 炭にマッチで火をつけて、蓋をゆるく閉じる。

 これで準備はオーケーだ!


 ランタンと香炉、マッチで暗い中でも安心だ!

 これで暗闇に勝てる!


 仏具忍者の誕生である!

軍法侍用集 より一部引用あり。


侍用集はサムライ用の集ですが、忍者についても書かれています。

理解不足で内容が誤っていたらご指摘ください。

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