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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
三章 冷蔵庫は無理ゲーで!

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二周目第三ウェーブ! ~地の底で~

 地下倉庫の入り口にゾンビが押し寄せている。

 階段下にドアはない。

 地上のドアは開けたままだ。

 閉めると暗くなってしまうからな……。


 わずかな時間で、準備を整える。


「押せ! そっちを頼む!」

「リョーカイっス! でも、こんなので効果あるんスかね」


 木箱を押して、簡易的なバリケードをつくっている。

 木箱は立ったときの膝ほどの高さだ。

 積み上げる時間はないので、横に並べるだけ。

 これでもゾンビを防ぐには効果があるだろう。


「まあ、やらないよりいいだろ」

「そっスね」


 さらに、投げるのに手ごろな道具を木箱の上に並べる。


 トウコは銃を作り出し、両脇のホルスターに収める。

 手に持っている一丁と合わせて三丁だ。


 トウコは木箱に短いバールと手斧を並べている。


 気休めでも、できることはやっておく。



 ゾンビは階段を転げ落ち、それを踏みこえて続々と集まりつつある。

 階段の下にあるこの地下倉庫は、ある意味ではゾンビと相性がいい。


 ――問題は逃げ場がないことだ。


 入り口は一か所。

 敵を突破しない限り、外へ出られない。


蝋燭(ろうそく)はここでいいっスかね?」

「トウコの狙いやすい位置に置けばいいぞ」

「んじゃ、このへんで!」


 ――地下は暗い。


 トウコが木箱の上に燭台を置く。

 三本立ての燭台(しょくだい)の火だけが頼りだ。


 俺には【暗視】があるが、完全な暗闇では機能しない。

 明かりを増幅するような効果であって、赤外線などで見ているわけではない。

 原理は不明だが、使っている感じではそうだ。


 俺のダンジョンで暗いのは三階層だ。

 それでも完全な暗闇ではない。発光キノコなどの光源はある。


 ここには月明りも届かない。

 発光キノコのような()()()光源もない。


 俺は長柄のシャベルを手に取る。

 先端の尖った剣先シャベルだ。


 最強武器とも名高い穴掘り道具だ。

 軍隊でもいざというときの最後の武器として活躍する。

 とくに塹壕(ざんごう)戦では銃よりも頼りになるとも。


 突いてよし、切ってよし、叩いてよし。

 もちろん穴も掘れる。ゾンビも掘れる。


 頑丈で壊れにくく、安価に手に入る。

 あからさまな武器ではないので、自宅に置いても安心。

 一家に一本あれば安心である。


「店長、なに()()()()見ながらニヤけてるんスか! もう来るっス!」

「……これはシャベルだ」

「どっちでもいいっス!」


 ええ? どっちでもよくないぞ。

 まあ、トウコは興味ないか……。


 暗闇での戦闘に気が急いているのかもしれない。

 トウコには【暗視】はない。

 ここに来るのを嫌がっていたし、不安なんだろう。


 俺も暗闇でゾンビと戦うのは嫌だな。



 もうゾンビはそこまで来ている。

 でも、まだ余裕がある。


 引きつけてから攻撃すればいいのだ。

 無駄に工具を眺めてニヤついているだけではない。

 距離を測っている。


「カアアッ!」


 階段を降り切ったランナー(走るゾンビ)がこちらへ走り出す。

 すかさず、トウコが発砲する。


 銃弾はゾンビの肩口に命中する。

 当たりはしたが、致命傷にはならない。

 勢いは止まらない。


「あっ……暗くってうまく狙えないっスね」

「もうちょい近づいてからだな」


 蝋燭(ろうそく)の明かりは入り口までは届かない。

 俺の手裏剣の必中距離よりも遠い。


「シャアアッ!」


 蝋燭(ろうそく)の明かりの中に、踏み込んでくる。

 ここが適正距離だ!


「撃て!」


 トウコが発砲する。

 今度は、狙いもぴたりと定まっている。

 頭を撃ち抜かれたランナーが派手に倒れる。


ファーストブラッド(最初のキル)いただきっス!」

「いいぞ!」


 俺は包丁を投擲して、倒れたランナーへトドメを入れる。

 分身を出して、包丁と弾丸を回収させる。


「ウウアア」

「アア……」


 遅れて、ウォーカーが群れをなして押し寄せる。

 分身を下げる。


 トウコが連続して発砲する。

 近いゾンビから順に倒れていく。

 それを踏み越えて、さらにランナーが迫る。


リロッ(装填)!」

「まかせろ!」


 俺はトンカチをつかんで投げる。

 回転しながら飛んだトンカチが、ランナーの額に直撃する。

 顔面が砕け、倒れる。


「シャアアア!」


 次のランナーが叫びながら走ってくる。

 鎌を手に取る。湾曲が少なく刃が短いタイプ。

 投げるにはちょうどいい形状だ。


 手を振って、重心を確かめる。

 あとは【投擲】さんのお仕事。


「おりゃっ!」

「アガッ」


 回転した鎌の刃が、見事に頭部に突き刺さる。


 ……痛そう!


 適当に投げては、刃が刺さらずに柄が当たってしまう。

 経験や練習が必要だ。【投擲】はこの辺りをサポートしてくれる。


「オッケーっス!」


 リロードを終えて、再びトウコが射撃する。

 六発の弾丸が、それぞれゾンビの頭部を打ち砕く。

 安定の全弾命中!


 俺はクギをつかみ出して、倒れたゾンビの頭部へ投擲する。

 柔らかい頭部に、クギが撃ち込まれ、血の花が咲く。


「お? 威力不足か?」

「リロっ! そうみたいっスね!」


 ゴブリンなら頭にクギを打ち込まれれば死ぬんだけどな。


 死体を破壊するには、攻撃が()すぎるのかもしれない。

 銃弾のヘッドショットでもそうか。


 致死的ダメージであることは間違いない。

 だけど、アイテムをドロップさせる条件である死体破壊には()()()()()()()んだ。


「んじゃ、数で補うか! うりゃっ!」


 一本でダメならたくさん投げればいい。

 シンプルな答え!


 俺はつかみ出したクギをまとめて投擲する。

 釘ショットガン投法!


「おお、人力ショットガンっス!」


 コウモリ戦で使い込んだ技だ。

 ゾンビが塵となる。


「これだけやれば、ちゃんと破壊できるな。しかし、クギの消費が激しいわ」

「あたしの弾丸もちょっと少なくなってきたっス」

「んじゃ、回収してくる!」

「死体は全部、潰してほしいっス! ネズミがわかないように!」


 今、ゾンビは少し途切れている。

 階段を転げ落ちて団子状態になって、そのあと立ち上がる。

 場合によっては勝手に死ぬんじゃなかろうか。


 階段下で待ち受けるのは、なかなかいいな。


 シャベルをゾンビの頭部に突き立てて、足で踏む。

 さして力を使うことなく、ずぶりと沈み込んでいく。


「うへえーっ! エグいことするっスね!」

「足をかける部分があるほうがシャベルだ! わかったか!」

「わかったっス! ……こだわりっスねー」


 残りも同じように処理していく。

 分身が弾丸やクギを回収して木箱へ置く。


 散発的に襲ってくるゾンビはトウコが射殺する。

 順調だ。

 弾丸もプラス収支になる。魔石も手に入る。


「補充あざっス! そろそろウェーブも終わるはずっス」

「前にも越えたウェーブだし、余裕だな!」

「フラグみたいな発言はやめてほしいっス!」


 余裕ぶったり、調子に乗った奴から死ぬ。

 ホラーの法則だ。


 ……俺は慎重だ。余裕なんてないぞ!


 気を抜いて言っているわけじゃない。

 不安定なトウコを安心させるための軽口なのだ。

 と、誰にともなく釈明しておく。


 階段側から、鈍く重い音が聞こえてくる。

 俺はびくっと身を(すく)ませる。


「な、なんの音だ?」

「ほら、余計なこと言うからっス!」


 フラグとか、関係ないと思うぞ!


 ずしん、ずしん。

 なにか重いものが転がるような……。


「――グウェエ!」


 あの声は……。


「げっ! 爆発ゾンビ(ボマー)っス!」

「そういや三ウェーブにはコイツがいたな……」


 倒すのは難しくない。

 だが、この閉鎖空間では爆風の逃げ場がない。


 どう処理するか……?

 難問だぞ、これは。

東西(地域)でスコップとシャベルの呼び名は逆転したりする。

小型のものをスコップと呼んだりもする。

バラバラで統一感はない。正解はない。


JIS規格ではサイズではなく形で分けている。

足をかける部分があるほうがシャベル。


小説を掘るのはスコップである。

つまり、足をかけないってことだ。

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