ダンジョン向けファッション! 調子に乗って散財してしまう……
本日二回目! 平日は一回にしようと思ったのに!
装備更新回。感想反映会。
頭の中にイケメンスタイリッシュ忍者を思い描いていた人、すまない。
これが現実なんだ……。
さて、調べ物はほどほどにしてダンジョンへ。
しかしその前にちょっとした準備運動だ。
ダンジョンへ入る前に簡単に体をほぐす。
肩を回したり簡単な柔軟体操だ。
入ってすぐ戦闘の場合があるから、念のため。
装備を身に着ける。
安全靴を履いて、ヘルメットをかぶる。
買ったきり使っていない草刈り鎌も、今日は試してみるか。
腰袋には釘と電動丸ノコギリの替え刃。
ろうそくとライターも腰袋の中だ。
音を立てないように、布ですきまを埋めている。
ナタも使っていないけど、腰袋といっしょにぶら下げている。
部屋に立てかけてあるバットを手にクローゼットへ飛び込もうとして――
――俺は愕然とした。
鏡の前に立つ。
「なんということだ!」
鏡に映っていたのは、どこの建築現場に出しても恥ずかしくない完全防備の職人の姿だ。
誰がどう見ても忍者とはわかるまい……!
ふふ、世を忍ぶ仮の姿……偽装である。
嘘である。
実用性ばかりを考慮して、見た目がおろそかになっていた!
俺が目指すべき方向性は忍者……スタイリッシュ忍者だ。
これは、見直さねばなるまい!
まずは靴。
安全靴は鉄板入りで防御力がありそうなのだが、歩きやすさに難がある。
足運びは【歩法】のおかげで違和感が小さかった。
ステータスが上がってることも影響しているな。
もっと身軽な靴にすれば、さらなる向上が望めるじゃないか。
足に攻撃されたこともないから、防御性能は必要ない。
忍者らしい靴ってなんだ。足袋だろうか。
親指とそれ以外の指が分かれた日本の履物だな。
靴底にゴムが張り付けられて、直に外を歩けるようになっているのが地下足袋らしい。
歩きやすいんだろうか。
高所作業にも使われるんだから、壁を走ったりするのにいいかもしれない。
エアークッション入りの地下足袋なんてのもあるのか……良さげ!
な、なにい! 安全地下足袋だとっ!?
特殊樹脂でつま先が保護されて防御力も両立されている一品だ!
スパイク付きもあるのかっ!
ということは……ある!
安全スパイクエアー地下足袋!
ファスナータイプ! 防水機能もある!
これだ! これこそ俺に足りなかったものだ!
……落ち着け。
スパイク機能は要らないだろう。
安全エアー地下足袋をポチる。
色は黒。
足裏のゴム部分に黒色がないのが惜しいところだ。
足袋用靴下も忘れずに購入だ。
調子が良かったら、足袋風のおしゃれ靴もあるようだから、買ってみるかな。
到着は明日か。楽しみだな!
配送業者の人には頭が上がらないね!
ダンジョンに居て不在かもしれないから置き配で玄関前、と。
今日は普段履きのスニーカーにしておく。
これでも安全靴と比べれば、だいぶ身軽だ。
「うーん。こうなるとヘルメットも邪魔くさいな……」
ヘルメットは代替品が思いつかないな。
今使っているのは現場用の黄色いヘルメットの黒色版である。
おしゃれではないが、安心感はあるんだよな。
直接役にたったことはないけど、頭部は守りたい。
しかし、見た目を一新したい気持ちになっているんだよなあ……。
野球用、アメフト用、バイク用、自転車用、剣道用……。
被り物は色々あるけど、忍者感を醸してくれるアイテムはない。
ましなのは、ほとんど帽子みたいに見えるタイプか。
ううむ。決まらぬ。
ほら、ファッションはトータルコーディネートだからね。
一体感が欲しい。
よし、今日はヘルメットはなしにしよう。
代わりに黒のニットキャップをかぶっておく。
ないよりはまし。
当たらなければ、どうということはないんだ。
偉い人も言ってた。
それに、忍者は装備をしないほうが強いという有名なゲームもある。
全裸忍者最強説だ。
俺の場合、服を脱いでも強くなったりしない……はずだ。
試さないぞ。
いつか女忍者に出会うことがあったら、確かめてみたい。
腰袋は黒系統のフェイクレザーだ。
見た目は悪くない。そこはかとなく忍者っぽくもある。
これはこのままでいいだろう。
服は黒系統のストレッチパンツと、黒い長袖シャツである。
闇に溶け込む黒ずくめ衣装だ。
それほどダサくはない。
黒はファッション的に無難だ。
まあ、ダンジョンの中で誰に会うわけでもないけれど。
今日はバットは部屋に置いていく。
ちょっと心もとないが、荷物が多すぎると邪魔になる。
今日は武器とモノリスの検証が主なので、大掛かりな戦闘は避けるつもりだ。
ダンジョンに入る。
最初の部屋に敵なし。
「安全確認ヨシ! 今日も無事故で無理なくいこう!」
指さし確認ヨシ! ご安全に!
うむ。やってることも現場系だ。
ぼっちだけど、声出していこうぜ!
これまでダンジョンに潜って結構な数のモンスターを退治してきた。
たが、全滅していなくなるということはないらしい。
おそらく、モンスターは時間経過で補充される。
どうやって増えているのかはわからない。
子供のゴブリンというのはみかけない。
親から生まれるんだろうか。
これまで、オスのゴブリンしか見たことがない。
メスのゴブリンって居るのかな。
あまり見たくない気もする。
ゴブリンの生態、謎だな。
そのうち調べてみるか。
【隠密】のある俺ならこっそり観察するのは簡単だ。
理由は不明だが、敵は湧く。
湧いてくるとはいえ、倒しておけば数は減る。
最初にダンジョンに入った頃よりもモンスターの数は少なくなっている。
倒しておけば、元の数に戻るのには時間がかかる。
一階は安全な状態を保っておきたい。
最初の部屋は荷物置き場にしているので、入られたくない。
魔石をしまっている箱が破壊されたりすると困る。
それに、出入口もある。
今のところはダンジョンの外にあふれ出てくることはない。
最初のゴブリンで試した限り、外へは出てこなかった。
とはいえ、絶対ということはないから用心はしておきたい。
具体的には、間引きを行う。
武器のテストにもちょうどいい。
ゴブリンの背後に忍び寄り、草刈り鎌を喉元に突きつける。
そのまま首をかき切る!
血が噴き出して、ゴブリンが即死する。
【暗殺】【致命の一撃】の乗った斬撃は、たやすくゴブリンを塵に変えた。
うむむ、ちょっとグロいな。
打撃武器だと血はあまり出ない。
鎌についた血は、しばらくすると塵となって消える。
血の脂で切れ味が落ちる心配は少ない。
基本的にはカマは手前に引くようにして斬る。
草を刈り取るためのものだからだ。
俺が使っている鎌は片手持ち用で、刃の湾曲の少ないタイプ。
そうでないと、刃の部分が敵に当てにくくなる。
とはいえ、振ってみた感じは微妙だ。
鎌の先端のむきを意識して、振る方向が制限されるというか。
忍者っぽくはあるんだが……主武器としては違う気がする。
適当に振り回してもいいバットとは違うな。
……バット大好きか、俺。
この頃、感想をいただけるようになってきました。
やる気が出ますね!
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