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火付け道具を作ろう! 【クラフト】

久しぶりにクラフト!

「まいったな。ライターもマッチもないし……」

「ライターなんて持ってないっス。マッチ……って、なんスか?」


 え?

 なんで聞いたことない言葉みたいなリアクションなの?


「マッチだよ。火をつける使い捨ての……」

「あー。聞いたことはあるような……使ったことはないような……」

「マジか! 知らないのかよ!?」


 ジェネレーションギャップか!?

 かなり一般的なものだと思ってたけど……。


「知らんっス。店長、火をつけるスキルとか持ってないっスか?」

「材料があれば忍具作成でマッチでもライターでも作れそうだが、ムリだな」


 魔石がたくさんあれば、材料ナシでも作れるはずだ。

 だが、魔石もすくない。


「あたしもそんなスキルないっス。一階の暖炉に行けば火はあるっスけど……しんどいっスね」


 距離の問題か、敵の問題があるんだろう。

 とりあえず、あとまわし。

 他の方法がダメならそこに行こう。


「お前のスキルで火、つけられないか?」

「そんな便利なスキルないっスよ? あたしのスキルは銃関連ばっかっス」


 俺はトウコの銃を指さす。


「いや、その銃でな。弾丸には火薬(ガンパウダー)が入ってるだろ? それで発火できないか?」

「店長、名案っスね! で、どうやるっスか?」


 映画ではカチャっとやってバーンとすると火はつくが……。

 詳細がよくわからない。


「えーと……弾頭を外して……中身を取り出すのかな? 映画でチラッと見たくらいだからな……」


 トウコは弾丸を手に持って、弾頭を外そうとする。

 指では外せそうもない。


「――ムリじゃないっスか!?」

「あきらめ早いね!?」

「じゃ、店長やってみてほしいっス」


 トウコが弾丸を差し出してくる。

 お、これは俺も持てる。

 銃は持てないのに、弾丸は実体化している……他人でも触れるのか。


「ナイフでこじったり、ハンマーでぶったたくんだっけ? そんなもんないしな……あ、忍具作成でこれを材料にすれば、マッチが作れるか?」

「おおっ! スキルのコラボっスね!」

「んじゃ、イメージを固めるぞ……作るのはマッチ――」


 マッチは小さな棒の先端に発火する薬物がつけられた火付け道具だ。

 マッチ棒と、箱に塗られた発火材をこすることで火をつける。


 マッチを着火させるには、マッチ箱の側面でこする必要がある。

 あの側面が発火材なのだ。

 マッチ棒とマッチ箱が両方あって、火をつけられる。


 だけど、俺が作るのは日本では売られていない、箱の要らないタイプ。

 これなら、片手で扱える。


 ロウマッチと呼ばれるものだ。

 ロウといっても、蝋燭のロウとは関係ない。

 見た目が似ていたからそう呼ばれているらしい。


 日本で売られているマッチとは薬物の種類が違う。

 まあ、俺はその素材には詳しくないが問題ない。


 靴の底とか壁とかで擦ると火がつくイメージをスキルに伝えればいいのだ。

 映画でよく見るアレだよ。わかるね?

 素材は火薬なんだから似たようなものだ。そうだね?

 頼むぞ【忍具作成】君!


 さらに、防水加工も施す。

 このダンジョン、妙な不運が発動してマッチを濡らされるかもしれない。

 しけったマッチは火がつかない。


 念のためだ。素材はある。ロウソクのロウだ。

 これで、マッチの先端を薄く覆う。

 こうすれば、水にぬれても大丈夫だ。


 強く擦るために、マッチ棒の木軸は太くしておく。少し長めに。


 材料は、四個の魔石と、三発の弾丸、木製のサイドテーブル、ロウソクだ。


「――忍具作成!」

「おおっ!」


 ――術が発動し、素材が光る。

 成功だ!

 完成したのは、十本のマッチだ。


 魔石は全部使ったが、弾丸は一発。他の素材はほとんど残っている。


「お、できたな! 防水ロウマッチの完成だ!」

「おおー! なんかわからんけどスゴイっス!」


 トウコが目を丸くして感動している。


「なにその雑なコメント……で、こう使うんだ」


 俺は床板でマッチを擦る。

 すこしすると、シュボっといい音がして火が灯る。


「スゲーっス! なんかエモいっス! 火が、火がついたっス!」

「そりゃ、マッチだしね。……なんか、異世界転生して現地人にマッチを見せたみたいな気分になるな……」


 トウコがジト目で俺を見る。


「現地人!? 店長、今スゲー馬鹿にしたっスね!? ひどいっス!」

「まあ、うん。マッチは便利な道具だよね」


 マッチでロウソクに火を灯す。

 こうして、俺達は火を手に入れた!

マッチの生産量は年々減少して、だんだん消えていっているそうです。

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