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簡易モードと詳細モード!? ←ナニソレ

「じゃあ、今度は私のできることですね!」

「はい」

「えーとですね。あらためまして。私は魔法使いです。火魔法が使えます!」


 自己紹介みたいだな。


「火魔法ってさ、ファイアボール以外の魔法も使える?」


 オトナシさんがファイアボール以外の魔法を使うところを見たことがない。

 ファイアボール特化のスキル構成なのかな?


「火魔法はファイアボール以外にもありますけど……使いませんねー」

「あるのに使わない? 他の魔法はスキルレベルを上げてないってこと?」


「いえ……火魔法にはいろいろあって、全部使えるんです」


 全部使える?

 全部取っているんだろうか……。


「んん? 火魔法は基礎スキルなのかな? その関連スキルとしてファイアボールとかの魔法があるんじゃないの?」


 オトナシさんが首をかしげる。

 頭上にハテナマークが浮かび上がりそうな表情だ。

 俺もそんな表情になってると思う。


「え? 基礎スキル? いえ、火魔法だけです」

「あれ? 魔法と忍術だと仕組みが違うのか!?」


 ちょっと混乱してきた。


 俺の場合は【忍術】が基礎スキルで【分身の術】が関連スキルだ。


 【忍術】があっても、他の術が使えるようにはならない。

 【壁走りの術】を取らなければ、壁は走れない。


「え? なんかヘンですか? えーと……システムさん! 説明お願いします!」


 あ、丸投げした。


 オトナシさんのスキルである【サポートシステム】が姿を現す。

 視線の先に、ふよふよと空中に浮いたタコウィンナー(システムさん)が現れる。

 ……これも、俺にはできないことだ。


<リンのスキルは簡易(かんい)モードに設定されています。クロウゼンジのスキルは詳細モードに設定されていると推測されます。モードの切り替えはチュートリアル中であれば何度でも変更可能です。以後は一度のみ変更可能です>


「モード!? そんなのがあるのか……。簡易モードって、詳細モードとどう違う?」


<……>


 あ、コイツは俺の質問を無視するんだった。

 あくまでもオトナシさんのスキルだから、他者の質問には答えない。


 オトナシさんが、俺の質問を引き継ぐ。


「システムさん、どう違うんですか?」


<簡易モードでは、詳細モードの基礎スキルに相当するスキルを取得することで関連スキルが使用可能になります。必要なスキルポイントが十ポイントとなります。スキルレベル2で二十ポイント、以降は倍になります>


「なるほどね! だから話がかみ合わないんだ。簡易モードでは基礎スキルとは呼ばないのか……」

「だから火魔法を取ると、いろんな魔法が使えるんですよー!」


 そういう意味ね。

 もし俺が簡易モードだったら【忍術】を取るだけで関連スキルがすべて使えることになる。

 今取得していないスキル……たとえば【隠れ身の術】なんかも使えるようになる。


 あれ?

 ってことは簡易モードのほうが便利じゃね?


 必要なスキルポイントが十ポイントと高いけど、スキル十個分だと考えればコストは同じくらいだ。


 なんか、詳細モードって不遇なのか?

 俺の選んでるやつばっかり微妙だったりしないよな?


「ちなみに、詳細モードの利点がなにかシステムさんに聞いてもらえる?」

「システムさん、どう?」


<詳細モードでは任意のスキルを強化しやすくなります。また、熟練度システムは詳細モードのみに適用されます>


 おっ! ちゃんと利点があった! よかった!


 任意のスキルを強化しやすいってのは、特化スキルを作れることだろう。


 簡易モードでスキルレベルを3から4に上げようと思ったら八十ポイントもかかる。

 詳細モードなら八ポイントで済む。

 この差はデカい。


 俺の場合は【分身の術】がスキルレベル4だ。

 これだけスキルレベルが高くて、他は低い。


 簡易モードでは一つのスキルだけを強化できない。

 一つを伸ばすことができるのが詳細モードの長所だな!


 要らないスキルは取らないことができる。

 取ったスキルを重点的に育てることができる。


 うん。俺にはこっちのほうが向いている。


 そして熟練度システムは詳細モードだけ!

 俺はスキルを低レベルで止めて熟練度で育てる方針だから、詳細モード一択だ。


「しかし、熟練度システムが詳細モードだけとはね……」

熟練度(じゅくれんど)……ってなんですか?」


<スキルを使い続けるとスキルレベルが上昇します>


「スキルポイントを使わずにスキルレベルを上げられるってこと。ポイント節約できるんだよ」

「いいですね! 節約、大事です!」


「簡易モードでスキルレベル3にするには四十ポイントか……。半端ないな!」

「私は火魔法が3なんですよー! ストーカーさんと戦うときに上げたんです!」

「言ってたね。まさかそんなにポイントをつぎ込んでいるとは思わなかった! 四十って……節約、大事だわ!」


 すげー!

 普段からポイントを温存していて、一気に使ったのか。


 スキルポイントはレベルが上がっても五ポイントしかもらえない。

 つまり、八レベル分も温存していたのか……。


 俺は我慢できなくて新しいスキルを取ってしまうな……。


「レベル2に上げて、そのあと3にしたので六十ポイントですねー」

「十二レベル分を一気に!? うそでしょ!?」

「え? ヘンですか……? あんまりスキルとか使わないので……」


 オトナシさんは気まずそうな表情だ。

 別に悪いことをしているワケではない。


 これも、プレイスタイルというか、考え方の違いだ。

 俺は積極的にダンジョンを攻略している。

 新しいスキルもどんどん試す。


 オトナシさんはほとんど攻略をしない。

 戦わないし、クラフトもしない。

 日常生活に使える【モデル】と最低限の戦闘ができる【火魔法】があれば十分だったんだ。


 ダンジョンがあるからって、戦わなきゃいけないわけじゃないか。


「俺との違いに驚いただけ……。ヘンではないよ」

「よかったー。でも、いろいろと違うんですね! びっくりしました!」

「ダンジョンのルールも違うし、スキルにはモードもあるし、覚えることが多くて大変だな!」


 それを知るのが俺の趣味みたいなもんだけどね。


 ……トウコのダンジョンやスキルもまた違うんだろうか。

 ちょっと楽しみだな!

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