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六階層の荷物回収……残っていてくれ!

 四階層の階段にも補給物資を用意してある。

 装備品を補充しておこう。


 今の装備はクナイ、ナタ、鎖分銅だ。

 手裏剣ポーチには五寸釘多めで満タンだ。

 マキビシも作り直してポーチに詰めておく。


 防具はいつも通り。

 防刃防炎陣羽織は自律分身に渡す暇がなかったので俺が着ている。


 投げモノは目つぶし玉ひとつ。ほかは拠点に戻らないと在庫がない。


 遅効体力回復丸、遅効薬草丸、強力薬草丸、遅効魔力回復丸が一つずつ。

 ポーションが一瓶。

 さらに麻痺毒を一瓶、追加で作成する。


 食料や水は持ち歩かない。

 兵糧丸を一つつまんで、水も飲んでおく。

 取り戻せれば、リュックサックにも入っている。


 それに、帰ったらシチューが待ってるからな!

 晩飯まではまだ充分時間はある。


「よし、これで準備は万端だ! 装備を取り戻しに行くぞ! 無事でいてくれ!」



 再び俺は六階層にやってきた。

 通路の松明はまだ消したまま。俺のフィールドだ。


 宝箱の罠がある場所まで慎重に進む。

 さいわい、接敵はなし。


 マキビシを撒いた部屋の中に、一匹のゴブリンがいる。

 その先の通路に三体のゴブリンがうろうろしている。


 部屋の中のゴブリンは足を引きづっている。

 うっかり俺を追いかけてマキビシを踏んだのだろう。

 後続はそれを見て、先へ進まず分断されたということか。


 もちろん俺は自分のマキビシは踏まない。


 これはいい。

 俺に気づいていない部屋の中のゴブリンに忍び寄り、首をかき切る。

 剣士ゴブリンだ。

 魔石を回収して身をひそめる。


 外の三匹も、まだ俺に気づいていない。

 ゴブリンはまかれたマキビシを拾ったり片づける考えはないようだ。

 そんな頭はまわらないらしい。


 それなら簡単だ。

 部屋の入り口にマキビシは撒いてある。

 俺は部屋の中から通路に向けて攻撃し放題ってわけだな!


 通路にいるゴブリンに向けて、麻痺毒を塗布した棒手裏剣を投擲する。

 まずは斥候。まだこちらに気づいていない。


 二発の棒手裏剣が命中する。


「グエッ!?」


 その声に反応して、ゴブリン達が構える。

 だが、俺の位置まではつかんでいない。


 さらに、他の二匹へも麻痺手裏剣を投擲する。


「ゲッ!」

「ゴブ!」

「ゴアッ!」


 いい調子だ!

 剣士二匹には命中する。

 盾持ちはとっさに盾に身を隠した。


 俺は懐から鎖分銅を取り出して、隠密を解除する。


「ほら、こっちだ!」


 盾持ちがこちらに気づいて突進してくる。

 だが、マキビシのことはすっかり忘れているようだ。

 さすがゴブリン。


 剣士二匹は追従しようとしてよろめいて倒れる。

 麻痺が効果を発揮したようだ。


「アギャア!」


 盾持ちゴブリンがマキビシを踏んでバランスを崩す。

 そこへ、鎖分銅の一撃が命中する。


 ゴブリンは完全にバランスを崩して、前のめりに倒れる。

 マキビシが撒かれた、まさにその場所へ。


「ギヤアァ!」

「うわあ。痛そう!」


 俺は鎖分銅を振り下ろして、とどめを刺してやる。

 盾持ちは塵と消えた。


 俺はマキビシを飛び越えて、クナイで剣士二匹を始末する。

 麻痺して動けない敵を切るのはたやすい。


「よし! これで四匹!」


 通路にはもう敵がいない。

 通路の先、罠のあった部屋の入り口には忍者刀が落ちている。


「いいぞ! 刀は拾われてない!」


 そのまま走り寄り、回収する。

 クナイを鞘に納めて、忍者刀を構える。


 そこで、罠のあった部屋の中にいたゴブリン達がこちらに気づく。

 数は四体だ。


 いいぞ!

 さっき倒した四体のほかに増援は増えてない。


 罠と物量のせいでさっきは苦戦した。

 しかし、負けはしない。

 こうなってしまえば、ただの二連戦だ。


 目も耳も正常だ。魔力も温存している。

 だが、ここで油断はしない。


「判断分身の術!」


 二体の判断分身を生み出す。

 罠の部屋に入るドアの前。ドアの死角の両側に配置する。

 ナタとクナイを投げ渡す。どちらにも麻痺毒が塗布されている。


 条件一つ目、部屋から出てきたモンスターを攻撃する。

 条件二つ目、攻撃されたら回避する。


 二つの条件を与えると、あとの条件が優先される。

 前回は回避より攻撃が優先されて、うまく攻撃が成立しなかった。

 回避を優先させれば、避けつつ攻撃してくれる。


 斥候が喚き、剣士が走りこんでくる。

 盾持ちは呪術師の前で盾を構えて動かない。

 呪術師は詠唱を始める。


 剣士が通路へ飛び込んでくる。

 その途端、判断分身が条件に従って反応する。


 両脇から、同タイミングで判断分身が攻撃を加える。

 剣士はそれを避けられず被弾する。

 そこへ俺が刀を振り下ろす。


「ははっ! ひっかかったな! これぞタコ殴りの術!」


 通路の出口で戦うのはダンジョンの常。

 ローグライクやターン制のゲームでよくある光景だ。

 前回は自律分身がここでボコボコにされてしまったからな。


 しっかり(カタキ)は取ってやったぜ!


 斥候ゴブリンはその様子を見て足を止める。

 こちらの様子を窺っている。


「ちょっとは頭を使うんだな。判断分身、前進だ!」


 分身を操作して、通路から部屋に突入させる。

 狙いは斥候。

 斥候に判断分身が攻撃を始める。


 俺はその横を走り抜け、詠唱を続ける呪術師の下へ向かう。

 盾持ちゴブリンが立ちふさがる。


 俺は刀の峰を返す。


「邪魔だ! ――フルスイング!」


 盾に打ち込んだミネウチにノックバック効果が乗る。

 ゴブリンがもんどり打って倒れる。


 呪術師ゴブリンが後ずさりながら、詠唱を完成させる。


「……ゴブブァァーゥ!」


 ゴブリンが杖を突きだし、その先から火炎が放たれる。


 だが、俺の準備はできている。

 倒れた盾持ちゴブリンに目標を定めていたスキルを発動させる。


「入れ替えの術!」


 俺と盾持ちゴブリンの位置が入れ替わる。

 放たれた火炎が、盾持ちゴブリンを襲う。


「……ウガ? ギィィイアァア!」

「ゲゲッ!」


 目を剥いて驚く呪術師。だが、発動した魔法は止められない。

 俺は踏み込みざま、一刀で呪術師を切り捨てる。


 盾持ちゴブリンが燃え上がり、のたうっている。

 俺は手裏剣でとどめを刺す。


 すべてのゴブリンが魔石に転じたことを確認する。

 増援も来ない。


 判断分身も斥候を倒している。

 一体は倒されて、残った一体は棒立ちで待機している。


「よし! リベンジ成功だ!」


 リュックサックも無事である。


「さて、宝箱の中身は……?」


 念のため、耳と目を塞いで判断分身に中身を回収させる。

 中身はポーションだ。


 罠は発動しなかった。

 罠は宝箱を最初に開けたときだけ反応するのかもしれないな。



<経験が一定値に達しました。レベルが上がりました!>


「おお! 連戦した甲斐があったな!」


 やはり六階層はレベリング効率がいい。

 危険もあるけど、それに見合う価値がある!

五月に入ってからいいね数が多かったのは以下です!

■分身特化型ビルド! 【スキル検証】【判断分身の術】

■狩りの準備とコスチュームチェンジ!


少なかったのは……。

■転送門と扉の関係!?

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