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戦利品チェックと【モデル】の効果!?

 戦利品チェック!

 宝箱の中身を確認する。


 角ウサギの肉が四つ。

 角ウサギの皮が一つ。

 魔石が八つ。


 オトナシさんはまた肉以外をハズレだと思っているようだ。


 ちなみに肉は、スーパーで売っている鶏肉のようなサイズ感だ。

 ウサギは結構大きいのに、ほんの一部の肉だけ。

 だけど、動物を解体する手間はない。

 皮をはいだり毛をむしったり血を抜いたり……そういうグロめんどくさい作業はしなくていい。


 このダンジョン、食材集めるのが楽すぎる。

 楽園かよ。


「皮はいつも捨ててたんですけど……クロウさん、どうします?」

「いや……もちろん使いますよ! 魔石もね。クラフトの素材にします!」


 魔石も皮も、俺には利用価値がある。

 捨てるなんてとんでもない!


 皮はウサギの毛が生えた状態だ。いわゆる毛皮だな。


「じゃ、さっそくこれを使ってクラフトしますか! 忍具作成!」

「わあ! なにができるんだろう!」


 作ったのは皮の帽子である。

 日よけ……つばのついた野球帽のような形状だ。


 鉢金を作ったときと同じように金属板による防具としての性能も備える。

 金属は釘を使っている。

 もちろん金属は内側にあって、見えない。目立たない。


 内側はモフモフ素材ではなく、通気性を考慮する。

 直射日光を浴びるより、帽子があるほうが涼しくなるはずだ。


 ――茶色くモフモフしたウサギ帽子の完成だ!


「わあ! かわいい! ウサギの帽子ですね!」

「ここは日差しが強いですからね。使いますか?」

「私より、クロウさんが使ってください。私は日差しに強いので大丈夫です!」


 あ、そうか。オトナシさんには【モデル】がある。

 日焼けしないとか、地味だと思っていたけど……便利だな。


 皮膚が強いってことだ。あるいは再生力。

 生命力のステータスも強化されているオトナシさんは……俺よりも頑丈なんだな。

 もしかすれば、暑さにも強いのかもしれない。


 モデルとか女優は汗かかないとか言うしな。


「じゃ、俺が使いますね!」


 さっそくかぶってみる。


「わあ。かわいくて似合いますよ!」

「かわいい……ですかね」


 男子としては微妙な評価なのだが……まあ誉め言葉だよね。



「ところでオトナシさん。(つの)とか薬草は出ないんですか?」

「角はたまに出ますよー。薬草は出ませんが……なんで薬草?」


 ウサギと言ったら薬草をドロップするお約束だが……。

 ここでは出ないんだな。


「薬草はまあ、お約束というか。ちなみに角……取ってありますか?」

「いえ……。取っておいても消えちゃうんですよね」


 魔石やダンジョン産のアイテムは放置すると消えてしまう。

 だが、外から持ち込んだ箱などに入れておけば消えない。


「箱とか布とかに包んでおけば消えないハズですよ? ほら、ポーションは化粧箱に入れてるでしょう」

「ええ。そうなんですよね……。持って帰ってしまっておいたこともあるんですが……消えちゃうんです」


 しまっておいても消える……?

 それも俺のダンジョンとルールが違うのか?


「そういえば、ダンジョンのアイテムが消える条件って知ってますか?」

「自分の持ち物は消えないって聞きました」

「システムさんに聞いたんですか? 正確には、なんて言ってました?」

「なんでしたっけ? システムさん?」


<ダンジョンのアイテムは放置するとダンジョンへ取り込まれます。持ち主のあるアイテムは取り込まれるまで猶予(ゆうよ)があります>


「へえ……取り込まれる、のか。あとは俺の知ってることと似てるな」

「似てるんですか?」

「自分の持ち物だと思っていれば消えない……正確には認識していれば消えない、ですね」


 リアル・ダンジョン攻略記のリヒトさんから聞いた話だ。


 ――たぶん「認識」が影響しているように思います。

 ――自分の持ち物だと「認識」しているアイテムは消えにくいように思います。


 ――たとえば……。

 ――置いておいた武器や装備はなかなか消えない。

 ――捨てたゴミは早く消える、という感じですね。


 ――視界に入れたり思い出したりして「認識」することが大切です。

 ――強く「認識」すれば、消えずに保つことができます。


「認識……ですか。そういえば、しまったまま忘れちゃってましたね、角」

「それだ! しまってから、たまにチェックしないといけませんね」


 ついでに、角のことゴミだと思ってたよね多分。

 一応とっておいたけど、大事なものだと考えてなかったんだろうな……。

 角は食べられないからな。

 一応とっておこうとしただけ、マシなのかな。


「そうか。キレイな角だったのになー。もったいないですね!」


 一応、ゴミだとは思っていなかったみたいだ。

 印象が薄いと、消えてしまう。


 俺は定期的に箱にしまったアイテムを確認して棚卸をしている。

 装備品は見えるように展示ラックへ飾っている。


 リヒトさんから聞いた内容――「認識」することを突き詰めた結果だ。

 ちゃんと効果があるってことだな。


 逆にシステムさんに説明を受けても、この結論には至らないのかもしれない。

 システムさんの言ってることも正しいが……すべてを教えてくれるわけじゃない。


 「取り込まれるまで猶予がある」とは教えてくれる。

 だけど、猶予を伸ばす方法は教えてくれていない。


 一方で、リヒトさんはなぜ取り込まれるかの理由は知らない。

 だけど、消えない方法を試した結果とその方法を教えてくれた。


 ダンジョンの情報は断片的だ。

 誰かが全部を知っているワケじゃない。

 聞いたり試したり……いろいろと検証していかなきゃな!

 情報収集するのは大切だな。



 システム的には「持ち主のあるアイテムは取り込まれるまで猶予がある」という条件があるらしい。

 ちゃんと、誰の持ち物かを把握しているってことだろう。


 俺の持ち物、オトナシさんの持ち物……という感じだろうか。

 それらはすぐにはダンジョンに「取り込まれない」んだ。


 この情報は俺……リヒトさんに聞いた情報にはないことだ。

 ただ「消える」と思っていた。

 だけど違う。消えたアイテムはダンジョンに取り込まれる。

 取り込むとは……どういうことなのか。


「アイテムが消える……ダンジョンに取り込まれるとどうなるか、聞いてもらえますか?」

「――どうなるんですか? システムさん」


<不明です。または、権限が不足しています>


「うーん。ダメか。取り込まれたアイテムはどうなっちゃうんだろうね」

「栄養になっちゃうとか?」

「そのうち、宝箱から出てきたりして?」


 ダンジョンに栄養として吸収される説。

 宝箱の中身として配置される説。


 そういえば、ダンジョンができた場所にあった品物はどうなっちゃったんだろう。

 俺のクローゼットの中身とか。本とかゲームとかスーツとか……。

 オトナシさんのトイレとか。


 ある日、宝箱からトイレとか出てきたら……嬉しくないな。

 俺のダンジョンの宝箱は、オトナシさんに開けられないようにしよう。

 ……あの本は見られてはならない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 持ち主が認識しているアイテムは消えずらいみたいですが、忍者が使用するマキビシは消えにくいのかが気になりますな。 ゴブリンとかオーガとかコボルト相手にマキビシを地面に撒き散らして相手の機動力を…
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