特典二倍! 初討伐報酬とエクストラ報酬!
豪華に装飾された宝箱を前に、宝石商がばっと俺を見る。
「特別な報酬というと……石が入っているんですよね!?」
宝石商はそう確信しているようだ。
だけど、そうとは限らない。
「宝石商さんの場合はそうかもしれないな。
でも、俺のときはスキルだったぞ」
「私はスキルとお肉でしたー」
リンは美味しいものを希望して、肉と【食品収納】を得た。
つまり討伐報酬は希望を汲んでくれる。
「あたしは……職業っスかね」
トウコは死にかけていたところをゾンビの職業で命を拾った形だ。
討伐報酬が与えるのはスキルとは限らない。
宝石商が求めるのは、やはり石か?
「欲しいものを念じて宝箱を開ければ、願いが叶うかもしれないぞ」
「では……石がたくさん手に入りますように!」
宝石商が目を閉じて、宝箱を開ける。
宝箱が輝きを放つ。
天の声が響く。
<おめでとうございます! ダンジョンボスの初討伐を確認しました! クリア報酬が与えられます!>
<討伐者には、クリア報酬として【コレクター】が与えられます!>
「こ、コレクター……?」
「石じゃなかったみたいっスね!」
<おめでとうございます! エクストラボスの討伐を確認しました! クリア報酬が与えられます!>
<討伐者には、クリア報酬として汎用アイテムが与えられます!>
「あっ!
エクストラ報酬も貰えるんですねー!」
「成長したボスの場合にもらえる報酬だな!」
「あ、スキルオーブが入ってるっス!」
「いくつ入っているんだ?」
宝石商が宝箱をあさる。
「ええと、三つ、ですね……ハイ」
「おっと、微妙な個数だな……」
俺たちは四人だ。
公平に分けるのは難しい。
宝石商は食い入るようにスキルオーブを眺めている。
「これは……!
ガラス玉のようですが、魔石に似て……普通の石とは全く違います。
魔力の色は……七色……いえ、もっと多彩ですね……!」
「ほう。
【石鑑定】ではそう見えるのか。
ちなみに、その石を砕くとスキルポイントが手に入るんだ。
汎用的な報酬ということだから、決まった色を持たないんだろうな」
「これを砕くなんて……とんでもないですよ!
ずっと見ていたいくらいです……はぁ……凄いですね!」
「報酬は山分けの約束っスよね!」
「ボスの討伐報酬は特殊なものだし、宝石商さんに権利がある気がするけどな」
「もー、店長!
よけいなこと言っちゃダメっス!
貰えるものはもらっとけばいいんスよー!」
「そうは言ってもな……」
「ふふ、ゼンジさんはマジメすぎるんですよね。
でも、そこが素敵だと思います!」
「あ、あの……三つありますので、私は一つということで。
その、また手伝っていただきたいので……どうでしょうか?」
「お、いいのか。
それなら、ありがたく頂くよ!」
俺は感謝を示し、二つのオーブを受け取る。
トウコが跳び上がって喜び、リンが宝石商に頭を下げる。
「やたーっ!
あたしが言ったおかげっスね!」
「ありがとうございまーす」
「い、いえ。
私は討伐報酬もいただきましたし……」
「あ、そうだ、宝石商さん。
【コレクター】はどういう効果だったんだ?」
スキルオーブはあとで分配するとしよう。
今は討伐報酬の効果が気になるぜ!