大ミミズ攻略作戦会議!
黒曜石の硬い地層に到達した俺たちは、一度休憩を取ることにした。
「宝石商さん。
先に一つ確認したい。
この黒曜石の床を壊したら、すぐにボスは襲ってくるのか?」
ボス部屋の外に出てくるのか、という質問だ。
もし出てくるなら、のんきに食事休憩はできない。
「いえ、そんなことはありません。
下に降りてしばらくすると襲ってくるみたいです。
黒曜石ブロックの上まで登ってきたことはありません……ハイ」
「なるほどな。
つまり、こっちから手を出さない限りは、安全だということか」
「では、ここで安全に休憩できますねー!」
「ああ。
休憩中に分身に黒曜石のブロックの破壊を命じておこう」
硬いブロックだが、何度か攻撃すれば壊せるはずだ。
リンが収納から取り出した軽食を皆で囲む。
「これはふつーの料理っスか?」
「うん。
スキル効果はつかないよー」
「今は腹ごしらえができれば十分だ。
うん、美味い!」
食事による能力の底上げはなし。
攻略の予定はなかったから、ミミズに有効な食材なんて用意していない。
だが、問題はない。
勝てないと判断すれば、いつでも引ける。
食事をつまみつつ、方針を考える。
「さて、宝石商さん。
ボスの詳細を教えてくれ。
名前や、どんな攻撃をしてくるか、わかる範囲でいい」
宝石商は、こくりと食事を飲み込んでから、おずおずと話し始めた。
「名前は……わかりません。
私は大ミミズと呼んでいます。
ミミズに似ていますが、普通のミミズとは違います。
大きな口を持っていて、体には石が生えています」
「石が生えている?
確かに、普通のミミズとは違うな」
「攻撃方法はどうなんスか?」
「硬いブロックを突き破って、すごい勢いで襲ってきます……ハイ」
「噛みついてくるってことか?」
「歯はないので、噛むというより……。
丸のみにして消化されるというか……うう」
宝石商がぶるりと体を震わせる。
これも体験済か……。
「他に何かしてくることは?」
「口から液体を吐き出すのを見たことがあります。
たぶん、石を溶かす酸だと思います……ハイ」
「キモいけど、強そうっスね!」
「逆に、弱点はあるのか?」
「太陽の光とか、どうっスか?
たまに道路で干からびてるっス!」
「夏場に灼けたアスファルトで干からびていることがあるな。
日光というより、熱や乾燥に弱いんじゃないか?」
地中の怪物は日光が弱点だったりするが……。
普通のミミズはどうだろう。
たぶん、光そのものが弱点ではないと思う。
このダンジョンの場合は……。
螺旋階段でここまで陽光は届いているが、高温になるほどではない。
熱や乾燥で倒すのは難しいだろう。
リンが期待するように言う。
「それなら、火は効くかもしれませんねー!」
「ああ、たいていの生物は火が弱点だからな」
宝石商が言う。
「火は効くと思います」
「よかったー!」
燃やせば死ぬ。
火はいつでも便利だ。
「私が試したときは倒す前にやられてしまいましたが……」
「死にすぎっスね!
じゃあ、水はどうっスか?
溺れたりしてー」
「さ、さあ?
試したことがありませんので……」
そりゃそうか。
ま、それは実戦で試せばいい。
今日は水芸スーツを装備していない。
スーツからの供給はないので、事前に水を準備しておかなくちゃな。
ペットボトルは一本持っている。
あとは、ボスエリアに入る前に水を生成して纏っておくつもりだ。
「水での攻撃は実戦で試してみよう。
今日はいつもの装備じゃないから【水噴射】がメインになるな」
「ミミズモンスターは水弱点説もあるっス!」
ミミズに小便をかけるとアレが腫れる、という説がある。
まあ、迷信だ。
畑を耕すありがたい虫だから、粗末に扱うなということらしいが……。
モンスターなら、そういうスキルや呪いを持っていてもおかしくない。
いや、小便をかける気はないんだけどさ。
ひとまず、ミミズの攻撃方法はわかった。
明確な弱点はないが、火は効く。
水はわからないので試してみる。
当然、銃や刀による物理攻撃は効くはずだ。
あとは、どう戦うかだな!
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