分身特化型ビルド! 【スキル検証】【判断分身の術】
誤字報告ありがとうございます!
残りスキルポイントは8ある。
これを使って【分身の術】をレベル4に上げる。
「新しい忍術も面白そうだけど……まずは基本だよね!」
【中級忍術】から新しいスキルを選んでも、レベルを上げるポイントが足りなくなる。
スキルレベルが高いものしか、現実世界では使うことができない。
外も安全ではない。
今後も、ストーカーのような輩が現れないとも限らない。
そうなれば、外で使えるスキルを用意しておく必要がある。
これは、すぐに必要だ。後回しにはできない。
身を守るすべ……戦う手段が必要だ。
なにも積極的に外でスキルを使うことはない。
安全マージンだ。保険にすぎない。
俺の場合は【分身の術】だ。
これを一点突破の特化スキルにする!
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【分身の術】
レベル4:分身を出現させる位置、強度、動作が強化される。
レベル4への必要ポイント:6
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「おっ!? 必要ポイントは8だと思ってたけど……熟練度か!」
熟練度で2ポイント分のスキルポイントを稼いでいたんだ。
【分身の術】は毎日使ってるからな。
当然、熟練度は貯まっていたんだ。
俺はウィンドウを操作して【分身の術】のスキルレベルを4に上げる。
「【分身の術】レベル4! ポチっとな!」
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【分身の術】
レベル5:分身を出現させる位置、強度、動作が強化される。
レベル5への必要ポイント:16
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「おし。反映されたな。次段階もある、と。スキルレベルの上限は5か? それとももっと先があるのかな?」
にしても、レベル5は遠いな!
レベルを三つ四つ上げなきゃいけないぞ。
修行しがいがあるってもんだな!
目標があるとやる気がでるぜ!
「んじゃ、浮いた二ポイントでもう一つスキルを取る。これは中級忍術から取ろう!」
取るのはこれだ!
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【判断分身の術】
レベル1:判断能力を持った分身を生み出す。
レベル1への必要ポイント:2
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「よし、判断分身もゲット! これで分身の術特化ビルドだ!」
ウィンドウを操作して確定する。
次レベルへと説明が切り替わる。
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【判断分身の術】
レベル2:判断可能な条件を2、増加させる。
レベル2への必要ポイント:4
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次レベルでは条件数が増えるようだな。
判断可能な条件って、なんだ?
条件を増加させるということは、今時点でいくつかの条件を持っているってことかな。
さて【判断分身の術】はどういうスキルだろう。
それに、4に上げた【分身の術】も使ってみたい。
「さっそく使ってみるか……判断分身の術!」
分身が生み出される。
――そして、スキルから情報が流れてくる。
この【判断分身の術】の使い方だ。
この分身は判断能力を持つ。
それは、事前にインプットした条件に応じて判断……行動を決めるというものだ。
「現れた分身はいつもと同じ……普通の実体がある分身だ。で……こいつに条件を与えることができる、と」
さっそくやってみる。
目の前の分身に「条件」を与える。
これはいつも行っている「指示」に近い。
「腰だめ突撃」とか「ランダム回避」をしろという感じだ。
たとえばランダム回避を指示した場合は、分身はただランダムに回避運動を続ける。
前後左右にランダムにステップを踏むような感じだ。
これを【判断分身の術】で行うとどうなるか。
「分身――。条件を与える! 俺が攻撃をしたら、回避運動を取れ!」
目の前の分身は、ただ棒立ちしている。
ここに条件を与えた。
攻撃されたら、回避する。
俺はゆっくりと拳を突き出す。
避けなければぶつかるコースだ。
すると、分身は攻撃されたと判断して、回避行動を取る。
分身は背後へ跳びすざって回避する。俺の拳は空を切る。
「うん、これは便利だな。これまでの分身は俺が直接操縦して回避するか、とりあえず動き回って回避することしかできなかった。これは……幅が広がりそうだぞ!」
同じようで、全然違う。
これまでランダム回避を指示した場合は、ただ回避行動を取り続けていただけだ。
周りに敵がいない場合でも無意味な回避をくり返すだけ。
プログラム通りの動きでしかなかった。
指示した通りの動きだけだ。
ここに、判断が加わる。
判断……分岐命令だ。
こういう場合に、こうする。そういう条件を設定できるんだ。
短いながらも命令をプログラミングできるというワケだ!
状況に応じた行動は回避だけじゃない。たとえば……。
「条件その二! 俺が攻撃範囲内に入ったら拳で攻撃!」
棒立ちの分身に向かって、俺はゆっくりと近づいていく。
拳が届くような距離、近距離まで踏み込んだ瞬間、分身が反応する。
分身は正拳突きのようなモーションで、俺めがけて攻撃してくる。
「よし! いいぞ。そこへ俺が攻撃を加えると……」
俺は分身の攻撃を回避しながら、拳を突き出す。
すると分身は最初に与えた条件に従って、これを回避する。
回避方向は後方。俺との距離が開く。
ここで分身は棒立ちになる。
今は条件を満たさない。
条件その一。攻撃されたら回避。
条件その二。攻撃範囲内にはいったら攻撃。
いまは、どちらでもない。だから、何もしない。
自律分身みたいに自分で考える頭はない。
あくまでも、特定の条件になったときに事前に仕込んだ行動を取るということだ。
「んじゃ、条件その三……。距離が離れている場合は前進しろ! ……ん? 手ごたえがおかしいな。条件は二つまでか……?」
三つ目の条件は通らなかったみたいだ。
つまり、スキルレベルの限界だな。
スキルレベル2にすると条件が二つ増えるとあった。つまり、1レベルあたり条件は二つまで。
「じゃあ、条件の書き換えはどうだ? 一つ目の条件を上書きして、攻撃範囲内に俺がいない場合は前進だ!」
今の条件はこの二つだ。
条件その一。攻撃範囲内に俺がいない場合は前進。
条件その二。攻撃範囲内にはいったら攻撃。
命令を与えたとたん、分身が動き出す。
目の前の俺に向かって、分身が歩いてくる。
そして、手の届く範囲に来ると、拳での攻撃をしかけてくる。
「おっ! いいぞ!」
俺はこれをバックステップで回避する。
さらに分身が距離を詰めてくる。
突き出された拳を、俺はサイドステップしてかわす。
分身はそのまま、誰もいない方向へと前進を続ける。
「……おっ? どこ行くんだ? ああ……そういうことか」
これは条件通りの動きだ。
攻撃範囲内に俺が居ない場合は前進……俺が横に避けたので、攻撃範囲外になっている。
前進とは、分身から見て前に進むということだ。
その方向には誰もいないから、いつまでも条件を満たし続ける。前に進み続けてしまう。
なるほど、命令に忠実だ。条件だけで判断しているんだ。
そうしている間にも、分身はずんずんと進んでいく。
「では、条件書き換え! 攻撃範囲外の場合は、俺の居る方向へ進む!」
命令の内容はほぼ同じだ。
ただ前に進むのではなく、俺の居る方向を指定する。
こうすれば、変な方向に進み続けることはない。
分身はこちらへと歩き始める……。
なんか、これちょっと楽しいな!
命令の数には限りがあるから、あまり複雑なことはさせられない。
だけど、命令はある程度の柔軟性がある。
たとえば攻撃を命じたときの拳での攻撃は、ちゃんと当たるように狙って攻撃してくる。
ある程度は俺のイメージを反映しているんだ。
細かい動作を指示する必要はない。
「ちなみに今まで通りの操縦はできるかな? うん、できる!」
普通の【分身の術】のようにリモコン操縦するような操作もできる。
これは俺の手間……操作のためにある程度の集中がいるけど、繊細な行動を取らせることができる。
「じゃ、直接操縦するのと、条件がかち合ったらどうなる?」
いま、分身は俺の方向に進み続ける条件で動いている。
そこへ、俺が操縦して後ろへ進むように指示する。
結果は、後ろへ進む。
つまり、俺が操縦するほうが優先度が高い。
操縦をやめれば、また条件通りの行動を取る。
「これは便利だな! 細かい操作は操縦で……条件と組み合わせれば……!」
これまで、俺は同時に複数の分身を操縦できない問題があった。
自分が戦いながら細かい操作はできないからだ。
条件によって動いてくれるとすれば、俺は微調整をするだけでいい。
たとえば攻撃と回避を命じて、移動は操縦で行う。
そうすれば、移動に条件を使わなくて済む。
「これは奥が深い……やりがいがありそうだ!」
修正履歴:2022/09/08
【判断分身の術】スキル取得時に説明が切り替わる描写を追加