挟まれる前に消せばいいじゃない!
ブロックは接点がなくなると落下する。
挟まれればひとたまりもない。
ここは慎重にいく!
トウコが上に腕をまっすぐ伸ばして銃を構える。
「挟まれる前に撃ち落とせばいいっスよね!」
トウコなら素早く対応できるかもしれない。
俺も空中のブロックを斬れる自信はある。
だが……。
試すのは危ないぞ!
「消すのが間に合わなかったらまずい!
落ちてくるブロックの下に誰もいないことを確認してからだ!」
リンが不安げに眉根を寄せる。
「そうですよねー。
盾で防げるといいんですが、無理そうです」
「ムリだと思います、ハイ。
手で支えようとしてみましたが……気づいたら地上でした」
「ぺちゃんこっスか!」
トウコがうえーっと舌を出す。
リンは気遣うような顔で宝石商を見ている。
宝石商は圧死も経験済か。
経験したくない死にざまだな。
このダンジョンは思ったより死亡率が高いようだ。
モンスターは倒しやすいが、地形やルールが厄介だ。
ふーむ。
分身を数体出せば、落ちてくるブロックを支えられるだろうか。
ブロックの重さはどれくらいだ?
密度にもよるけど、一メートル四方の砂は重さは一トンを超えるんじゃないか。
うーん。
となると支えるのは無理かな?
やはり、迎撃か。
刀で掘るように斬れば、なんとかなるだろう。
もちろん、運に任せたりはしない。
「よし、まずは安全な方法で試してみよう。
孤立したブロックを作って、接合部を破壊するんだ」
「下にそういうブロックを作るんですねー」
「ああ、真下に立つのは危険だから、横からだ。
これでよし!
ちょっと、見ててくれ!」
繋がった部分を分身に切り離させる。
ブロックが落ちる。
俺は落ちはじめたブロックに刃を走らせる。
「ファストスラッシュ!」
刀をひねり、刀の平で掘るように砂を削る。
よし!
ブロックはちゃんと消えた。
「うまくいったっスね!」
「今度はフルスイングでやってみるぞ!」
【フルスイング】でも同じことを試す。
これは成功。
ノックバック効果で吹き飛ばせるかと思ったが、それはできなかった。
吹き飛ぶ前に塵になって消える。
「【ピアススラスト】ではダメか」
「ちゃんと当たったのに、惜しかったですね!」
「突き刺しただけじぁダメなんスよ!
ブロックは刺突攻撃には強いんス!」
攻撃は間に合うが、刺突ではブロックが消せない。
掘ったことにならないからだろう。
二度か三度突き刺せば、突きでもブロックは消せる。
落ちているブロックに素早く二度突き刺すのは手間だし、不確実だ。
素直に【ファストスラッシュ】か【フルスイング】を使おう。
普通の斬撃でも掘れるが、念を入れておきたい。
ブロックを消す条件はまだ少し理解しきれていない。
トウコは一発の弾丸でブロックを消せている。
銃撃は掘るのとは違う。
衝撃や打撃扱いなのかな?
あるいは単に威力が高いからか……。
ともあれ、ブロックは落下中でも消せることがわかったぞ!