頭上注意! ブロックは落下する!?
吹き抜けで明るさと空気の問題は解決できそうだ。
しかし、頭上を壊すときは注意が必要らしい。
このダンジョンはルールが独特だ。
まずはルールを把握しておきたい!
ここまでに分かったことをまとめよう。
このダンジョンの足場は砂を固めたような六面体のブロックだ。
岩のように硬いわけではないのに、四角い形を維持している。
手や武器で簡単に掘れる。
掘ればブロックごと消滅して塵になる。
不思議な仕様だ。
しかしこのブロックは空中に浮かないらしい。
「宝石商さん。
バランスが悪くても繋がっていれば崩落しないのか?」
「ブロックのいずれかが接していれば大丈夫です、ハイ」
タテヨコ……というと語弊があるか。
砂のブロックはサイコロのような六面体だ。
六か所のいずれかが他のブロックに接していればいい。
逆に言えば、一か所でも接していれば細長い棒状の足場なども成立する。
普通の坑道のように柱で支えたり梁で補強する必要はない。
まっとうな物理法則で考えるとおかしな話だ。
しかしここはダンジョン。
独自のルールが働いている。
「繋がってればいいんスねー。
じゃ、うまいこと削ってくっス!」
「空気や光が通ればいいから、だいたいでいいぞ!」
さて、ブロックが落下するところを見てみたいな。
ちょっと試してみよう。
分身に掘らせている吹き抜け部分で、周りを削って孤立したブロックを作る。
真下も削って、一ブロックの隙間を作る。
横の一か所で他のブロックと繋がった状態だ。
「ゼンジさん、何をしているんですか?」
「ブロック落としを試そうと思ってな。
リンとトウコも手を止めて見てくれ」
「はい」
「りょー」
「これが最後の繋がったブロックだが……ほう!」
接点を掘って壊す。
完全に孤立して、支えを失ったブロックが落下する。
落下したブロックが底に落ちて止まる。
「へえ、壊れないのか」
「高いところから落とすと、衝撃で壊れます、ハイ」
落下の衝撃に対して、ブロックはある程度の耐性があるのかもしれない。
今は一メートル落としただけだ。
もっと高さがあれば壊れるらしい。
何メートルで壊れるのかも試してみたいところだ。
「連鎖して消えないんスねー」
「れんさ?」
首をかしげるリンに補足する。
「ゲームの話だ。
パズルゲームみたいに、同じ色のブロックを繋げると消えるものもあるんだ」
穴を掘るゲームにもいろいろある。
もちろん、ダンジョンはコンピューターゲームとは違う。
しかし独特なルールが働いていて、似ている部分がある。
このダンジョンの砂ブロックは、全て同じ色だ。
連鎖して消えたりしたら、奈落の底まで落ちることになる。
「ちなみに、宝石商さん。
俺たちがブロックに挟まれたらどうなるんだ?」
「どうって……。
ええと、死んじゃいますね、ハイ」
「そりゃそうか」
砂に埋まるだけでは済まないらしい。
ぶつかった衝撃でブロックが消えるかもと思ったが、そう甘くはないらしい。
圧死するのはイヤだな。
ヒットポイントやステータス由来の頑丈さを持つリンなら耐えられるんだろうか。
とはいえ、試してもらうわけにはいかない。
ここは一風変わったルールのダンジョンだが、気をつけて進めばいい。
いつも通り、安全第一で進もう!