空気と光の通り道!
「照明問題についてだが……。
螺旋階段のように掘り進むのはどうだ?
真ん中に吹き抜けを作ってさ」
「明り取りの吹き抜けですねー。
いい考えです!」
「リアダンの階段みたいっス!」
「い、いいと思います、ハイ」
これで方針が決まった!
「じゃあ掘りまくるぞ!
分身に条件を与えて……よし行け!」
足元の床を掘り、着地するよう条件を設定する。
掘って着地してのくり返しだ。
これでどんどん下へ掘り進める。
「分身さんが吹き抜けを作るんですねー。
では、私は階段を作りながら、敵さんを倒します!」
分身が中央に吹き抜けを掘っていく。
ひたすら掘り進むような単純作業は分身の得意分野だ。
吹き抜けの周囲にリンと俺で段差を作っていく。
「あ、この下に敵さんがいます!」
「じゃ、分身を止めて、一か所穴を開けるぞ!」
穴を掘れば敵がいる空洞に繋がることがある。
そこには虫型モンスターが繁殖していて、群れを成している。
数は多いが、倒すのはたやすい。
虫型モンスターは頭上への攻撃手段がないのだ。
「こいつら、登ってこれないんスねー!」
「そうみたい。
ちょっとかわいそうだけど、ファイアボール!」
上から魔法を放てば、一方的に攻撃できる。
離れていれば酸欠のおそれはない。
「【操風】!」
吹き抜けには十分な空気がある。
【操風】で風の流れを作っておけば、ある程度の深さまでは問題ないだろう。
横方向に敵がいても、やはり対処は簡単だ。
移動速度が遅いので、一気には出てこられない。
先頭のモンスターがつかえて、奥のモンスターはこちらにこられない。
「ピアスショット!
おー、五匹くらい一気抜きしたっス!」
トウコがほくほく顔で、銃弾を拾い集める。
弾不足の心配もないな。
宝石商は魔石が出なかったので残念そうにしている。
ザコ魔石でも、一応欲しいのかな。
横穴の奥は吹き抜けの光が届かないので薄暗い。
暗視があれば見えるが、もっと深くなると厳しいかもな。
「トウコ、頭上の吹き抜けをもう少し広げてくれ」
吹き抜けを作り始めたのは途中からだ。
上には余分なでっぱりが残っている。
「リョーカイっス!」
トウコがショットガンを上に向ける。
「あ……上は……」
宝石商が不安そうな顔で言いかけ、黙ってしまう。
続きをはよ!
「上を掘るとマズイのか?」
「繋がっていないブロックができると、落ちてきます……ハイ」
「うぇ?
このブロックって浮かないんスか?」
「え……?
他のブロックと繋がっていなければ落ちてきますよ」
当たり前のこと、と宝石商は思っているようだ。
まあ、足場が浮くなんて通常はあり得ない。
「足場が浮くゲームもあるな。
いちおう、ここでも重力は働いているってことか」
「は、はい」
いずれにしろ、頭上を壊すときは注意が必要らしい!
ふーむ。
ひとまず吹き抜けで光と空気の通り道はできた!
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