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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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風吹く荒野と作業机!?

 宝石商の自宅へやってきた。

 普通のマンションの一室である。


 彼女はいそいそと俺たちを招き入れる。


 大丈夫かな、この人。

 知らない人を家に入れるまでが早すぎる。

 詐欺にでも引っかかりそうで、心配になってしまう。


「ここです!

 は、早く石を見せてください!」


 両開きの戸棚を開け、転送門に飛び込んでいく宝石商さん。

 部屋に残された俺は少しあきれる。


「警戒心ゼロか……。

 大丈夫かな、彼女」

「私たちをだますつもりはないみたい……ですよね?」

「罠だったら、倒しちゃえばいいんスよ!」


 倒すって言ってもなぁ。

 まあ、そういう雰囲気はないし問題ないと思うが……。


 戸棚の中で、転送門が渦巻いている。

 俺たちのダンジョンと見た目は変わらない。


「ま、入ってみるか。

 一応、気は抜くなよ?」

「はい!

 なにかあったら、私がゼンジさんをお守りますね!」


 小さなガッツポーツでほほ笑むリン。


「おう、頼もしいな。

 本当なら俺が守ってやると恰好つけたいところだけど」


 トウコが銃を創り出し、くるくるとガンスピンさせる。


「もし罠だったら、あたしが速攻で撃ち抜くっス!」

「いや、射殺するのはちょっと待て」

「なら膝にしとくっス!」


「まあ、それならいいか」

「いいんでしょうかー」


「よくないな。

 まあ、状況次第だ。

 相手がその気なら、戦うしかない」

「もちろんっス!」


 ま、どうせ杞憂だろう。

 大切なのは、心を決めておくこと。

 備えておくことだ。


「じゃ、入るぞ」

「はい」

「りょっ」


 俺が差し出した手をリンとトウコが掴む。

 リンが転送門に触れ、俺たちは同時にダンジョンへ転移した。



 意識が暗転する。

 胃がすとんと落ちるような、上下が反転するような感覚。

 転送門を通るときは、いつも不思議な気持ちになる。


「……む。

 ずいぶん眩しいな」


 室内から明るい場所に出ると、少し目がくらむ。

 トウコが銃を下に向けて構え、きょろきょろと左右を見回す。


「外みたいっスね」

「少し、私のダンジョンに似ていますねー」

「そうだな。

 屋外型のダンジョンか」


 薄曇(うすぐも)りだが、太陽は出ている。

 砂煙が立ち上って不鮮明ではあるが、地平線までよく見える。


 遮るものが何もない平地。

 砂漠……いや、荒野か?

 建物や、山林などは見当たらない。


 埃っぽい風が流れる。

 リンが長い髪を手で押さえ、目を細める。

 トウコの短いスカートがはためく。


 俺は手でひさしを作って周囲を見回す。


「ふーん。

 鉱山みたいなダンジョンだと思ってたんだが、ぜんぜん違ったな」

「私もそう思っていましたー」

「山なんて一つもないっスね」


「あそこに宝石商がいるな。

 行ってみよう!」


 転送門から少し離れた場所で宝石商が作業をしていた。

 作業机が置かれ、パーテーションで三方向を囲ったスペースがある。


 荒野のど真ん中に机があるのか。

 かなり異質な印象を受ける。


 宝石商は引き出しからガラスケースを取り出し、机に並べている。

 彼女は作業を止め、こちらに気づく。


「あ……こ、こちらへ」


 リンがぺこりと頭を下げる。

 トウコと俺も続く。


「おじゃましまーす」

「ちーっす」

「ここが宝石商さんのダンジョンか。

 ずいぶん風が強いんだな」


「そ、そうなんです。

 すぐコレクションが砂まみれになってしまって……」


 イスと机は部屋から運び込んだものだろう。

 オフィスを仕切るようなパーテーションで囲ってはあるが、建付けは甘い。

 風が吹くたびにガタガタと揺れていて不安定だ。


 日差しも強く、乾燥した風が吹いている。

 机の上にも砂が乗っている。


 まあ、屋外に室内用の調度品を置いてもこうなるよな。


「この様子じゃ、そうだろうな」

「吹きさらしの中では、お肌が傷みそうですねー」

「ワイルドな拠点っスね!」


「そ、そんなことより!

 石です!

 持っているんですよねっ!」


 興奮して上気した顔を向けてくる宝石商。

 目が血走っていて怖いんだが……。


 いきなり本題か。

 このダンジョンを少し見て回りたいが、それは後にしよう。


 トレードを始めるか!

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― 新着の感想 ―
宝石屋さんはどこまでダンジョン攻略しているんだろうね。 本当に警戒感がない人なら、ダンジョンの情報を教えて攻略に協力するのも手だよね。 仲間に引き込めればいいのだし。
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