採掘に適するスキルとは!?
「ツルハシで採掘しようと思ったけど……。
爆発することを考えると、ちょっと無理だな」
「丁寧にやればいけるんじゃないっスか?
確率で大爆発っスけど!」
「バクチで採掘できるか!」
「危なすぎますよねー」
「分身でやればワンチャンあるっス!」
「まあ、それならいいか……」
「爆発しない方法があるんでしょうか?」
「水晶を壊さないように、壁から掘り出すのか?
うーん……俺のダンジョンの壁は基本的に壊せないんだよな」
「そういうスキルを使えばいいんスよ!
ほら、土忍法とか!」
「【土忍法】ならダンジョンの壁を操れる……か。
なんとなく、壁は特殊なオブジェクト扱いな気がするけどな」
「それじゃあ、土忍法さんが活躍できなくなっちゃいますねー。
ちょっと、あんまりだと思います」
「たしかに壁や地面を操れないと、土忍法の使いどころがない。
草原ダンジョンなら活躍できるだろうけど……」
不遇スキルになっちまう。
まあ、考えてもあまり意味はない。
「もう土忍法は取れないから試せないのが残念だな。
水や風は採掘に使えそうもないか……?」
「できるっス!
水圧カッター採掘とか!」
岩を切り裂くほどの水流か。
「俺の術じゃそんな威力は出せないが、方向性としてはアリだ。
実際に水力採掘って方法があるらしいぞ。
高圧水流で岩や土を掘るそうだ」
「水ハカセっスね、店長!
もはや水店長っス!」
「なんだそりゃ」
水のことはかなり調べたからな。
「【水噴射】と【圧力】を合わせれば、できちゃうかもしれませんねー?」
「うーん。
水力採掘では、機械を使ってかなりの圧力をかけるらしいが……」
水道の蛇口が三気圧くらい。
消防車の放水が五から十気圧くらい。
家庭用の高圧洗浄機が五十から百気圧くらい……。
さすがに、にわか知識で水力採掘に必要なパワーはわからない。
二百気圧くらいだろうか。
俺の使う【水噴射】は消防車くらいの強さがある。
それでは岩を砕いたり、切り裂くことはできない。
【水噴射】はもちろん、【圧力】などほかのスキルレベルも上げなきゃならない。
ちょっと難しいな。
ぜんぜんスキルポイントが足りない。
「一応やってみるけど期待はするなよ。
【水噴射】プラス【水圧】!」
手を壁に向け、水を噴射する。
【水圧】のおかげで、拡散しがちな水が絞られる。
たしかに狙いはつけやすくなった。
だが、ウォーターカッターには程遠いかな。
高圧洗浄機みたいにはいかない。
さらに【操水】を意識して上乗せしても、カッター状にはならない。
俺は息を吐く。
「ムリそうだな……ふう。
ちょっと休憩だ!」
戦闘直後に大量の魔力を使ってしまった。
「あ、ごめんなさい。
敵さんが来ないか見張っておくので、ゆっくり休憩して下さい!」
「敵は来たらあたしがしとめとくっス!」
「おう、頼むわ」
俺はあぐらをかいて座り、息を整えて瞑想を始める。
採掘を試してみたいが、それは踏破した安全な場所でやろう。
他の熱水晶が近くにない、孤立したものがいいだろう。
本来の瞑想は余計なことを考えず、頭を空にすることが望ましい。
だけど【瞑想】スキルは考え事をしたり喋っていても効果が出る。
この頃は忍法ばかり使っているので瞑想する機会も増えた。
少し時間はかかるが、魔力と体力を回復できるのは助かる。
<熟練度が一定値に達しました。スキルレベルが上がりました!>
<【瞑想】 2→3>
「お、瞑想のスキルレベルが上がったぞ!」
「いいっスね!」
「おめでとうございまーす!」
意識して使うスキルではないから、瞑想は育ちにくい。
【瞑想】するときはスキルを使う意識を強く持つようにしていたのだ。
これで回復量が増える!
日々使うスキルだから、ありがたい!
これからも頼むぜ【瞑想】!
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