水忍法さらなる可能性を模索しよう!
水忍法を総動員して、気化熱で氷を作れた。
地味ながら【水圧】はなかなか使えそうだ。
「水圧で他に何ができるんスか?」
「いきなり応用的な使い方をしたけど、本来の【水圧】とはイメージが違うよな。
例えば、こう使う!」
俺は【操水】で水を操り、そこに圧力をかけていく。
先端を尖らせ、そこから水流を発射させる。
びっ、と音を立てて水が飛ぶ。
「おーっ!?
水鉄砲っスね!」
「かっこいいですねー!」
指先に水を生成しての指水鉄砲でも同じことができる。
この場合、少量の水を飛ばすので細く鋭い水が飛ぶ。
「強めの水鉄砲くらいで、威力はなさそうだ」
「戦闘には使えないっスね」
「【操水】を併用すればもっとパワーが出るぞ」
「ウォーターカッターができるっスね!」
「まあ、野菜くらいは切れるだろうな」
「お野菜を洗ったり、切ったりできますねー!」
「でも水圧カッターで攻撃するより、【水刃】のほうが強いかな。
水流で押し流したり、固めた水で殴ったほうが速いし」
「【水圧】のスキルレベルを上げたら、もっと強くなりそうっス!
ウォーターカッターで敵も斬れるはずっス!」
ずいぶん推すね!?
「もちろん、成長させれば攻撃用のウォーターカッターもできるだろう。
でも【操水】でも似たことはできるだろうし、優先度は低めかな」
「では、水圧の検証はおしまいですか?」
「いや、まだまだあるぞ!」
俺は自分の腕に水の膜を纏わせる。
水の鎧に【水圧】をかけ、内側へ圧縮して密度を増す。
「水の膜を水圧で強くしたんですか?」
「うむ。
ちょっと触ってみてくれ」
リンが指先で水膜に触れる。
「少し、押し返すような抵抗がありますねー?」
「普通の水よりはマシって感じだな」
トウコがツンツンと俺の腕をつつく。
指は普通に俺の皮膚に届く。
「これじゃ、防御力は微妙っスよね?」
「防御に使うには圧力が弱すぎるんだろうな。
【操水】で固めたほうが硬くなるはずだ。
これでどうだ?」
【水圧】をやめて【操水】で水の表面を固める。
腕に触れる内側は硬くならないよう気をつけて……。
水膜の鎧を腕にぴったりとフィットさせる。
まるで、分厚い氷のプロテクターを装着したかのようだ。
もっとも、氷と違って冷たくはない。
湯を固めているので、温かいのだ。
トウコが腕鎧に触れ、驚く。
「おーっ!?
カチンコチンっス!」
「すごいです……!
水が、まるで氷みたいに硬くなっているんですね!」
リンが感心したように、鎧を指でつつく。
コンコン、と硬い音がした。
【水圧】よりも、鍛えた【操水】が強度は上だな。
「こっちのほうがずっと頑丈だろ?」
「そーっスね!」
「まあ、魔力消費が激しいから、長時間の維持は難しいんだけどな」
「強いスキルは、それだけ消費も大きくなりますよねー」
水の全身鎧をまとって常に無敵!
とはいかない。
工夫が必要だな。
「どれくらい頑丈なんスかね?
ちょっと撃って試していいっスか?」
「撃つなよ!?」
俺は水鎧を解除して、慌てて手を振る。
「いきなり撃ったりしないっスよー。
鎧だけ、あの辺に出してくれればいいっス!」
トウコが湯舟の外を指差す。
露天風呂なので、すぐそこに草原が広がっている。
「離れた場所に鎧を作るのは難しいから、水の板でも作ってみるか」
湯舟の外、少し離れたところへ水を移動させる。
水蛇で索敵するときのように、一方は俺に接したまま伸ばしていく。
お?
思ったより遠くまで伸ばせるようになったな。
効果範囲も成長している。
これもスキルレベルを上げたおかげだ。
スキルレベル三は、二に比べてかなり強力だ。
射的のマトのような板を生成し、硬化させる。
表面は硬く、裏側は少し柔らかくしておく。
「んじゃ、スキルなしで撃ってみるっス!」
トウコが拳銃の引き金を引く。
命中。
ややくぐもった硬質な衝突音が響く。
弾丸を受けた水板が震えて、背後に水滴が飛び散る。
だが、貫通はしていない。
壊れてもいない。
裏側の水がいくらかはじけ飛んだが、固めた表面は維持されている。
リンが嬉しそうに言う。
「壊れませんでしたねー!」
「ああ、
板の表面にキズは残らないみたいだが……ふむ」
金属や木材とは違う。
衝突の瞬間にへこんだり傷ついたりしても、周囲の水がそこを埋めるらしい。
意識してそうしたわけじゃないが、そうなった。
「じゃあ次は分身に水鎧を着せてみるか。
分身の術!」
普段は、射撃の的に分身は使わない。
破壊されるのが明白な状況で使うとリンが嫌がるからだ。
今回は耐える可能性が高い。
分身の強度を調整して、人間並みにしておく。
胸を覆う鎧を形成する。
準備よし!
「じゃあ、撃ってみてくれ」
「りょっ!」
待ってましたとばかりに引き金を引くトウコ。
拳銃弾が分身の胸のど真ん中に命中。
くぐもった硬質な音が響く。
弾丸を防いでも衝撃が無効化されるわけじゃない。
防弾チョッキを着ていても衝撃で骨が折れたりするしね。
分身は無事だ。
少なくとも、分身が破壊されない程度にダメージが軽減できたことは確かだ。
「防げたみたいですね!
分身さんは大丈夫でしょうか?」
水鎧を解除して、着弾したあたりを確認する。
ケガ……というか破損は見られない。
「ふむ……外傷はないな」
「あいまいっスねー」
「俺には分身の痛みや衝撃が伝わらないからな。
ま、分身に痛覚がないのは都合がいいんだけど、ちょっと不便だな」
前にもちょっと考えた分身の感覚問題だ。
あれば偵察や検証には便利だけど、取り回しが悪くなってしまう。
「痛くないほうがいいですよね!」
「そうだな。
でも、銃弾を防げるならかなりの防御性能だ。
これはかなり使えそうだぞ!」
「お水が衝撃を吸収してくれたのかもしれませんねー!」
水鎧にはある程度の厚みがある。
表面は硬いが、裏側は柔らかい水の性質を持たせている。
これによって衝撃が分散したんだな。
そうなる期待はあったが、思いのほかうまくいっている。
これは使えそうだ!




